◇ やっとのことで曖昧すぎる合意 = 地球の温暖化を食い止めようと、世界の国々がUAE(アラブ首長国連邦)の首都ドバイに集まった。COP28と呼ばれる第28回国連気候変動枠組み締結国会議である。だが、そこでまとまった成果文書をみると「およそ10年間で、化石燃料からの脱却を加速する」「再生可能エネルギーを30年までに、現状の3倍に拡大する」という合意だけ。「脱却を加速する」とは、なんと曖昧な表現だろう。再生可能エネルギー3倍も、すでに別の会議で決まった内容の引き写しだった。
当初の原案では「化石燃料の段階的な廃止を目指す」と書いてあった。だがサウジアラビアが強硬に‟廃止”に反対、産油国の多くも同調したため、こんな意味不明の表現になってしまった。欧米諸国は‟廃止”を主張したが、産油国のなかには「化石燃料そのものの表記に反対」の声も出て譲らず。島しょ国も原案の修正に抗議したが、結局は議長国の調停案を受け入れざるをえなかった。
それでもマスコミの約半数は、好意的な評価を下している。というのも会議の途中では‟化石燃料”の語句が全く抜け落ちたり、10年という期限の設定も危うくなっていたからである。それが‟脱却を加速”で、なんとかまとまった。だから評価できるという解釈も成り立つのかもしれない。しかし地球温暖化の阻止という目標からみると、この程度の合意ではほとんど効果が期待できないのではないだろうか。
地球の気温上昇を産業革命以前の1.5度以内に収めないと、状況は加速度的に悪化する。だが現実はすでに1.1度も上昇しており、これが洪水や干ばつなどの異常気象を惹き起こしている。それなのに世界の石炭使用量は、まだ増加中。再生可能エネルギーを3倍にすると言っても、そのための具体的な計画はない。そこへ‟脱却を加速”で、地球温暖化が止められるとはどうしても考えられない。
(続きは明日)
≪20日の日経平均 = 上げ +456.55円≫
≪21日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
当初の原案では「化石燃料の段階的な廃止を目指す」と書いてあった。だがサウジアラビアが強硬に‟廃止”に反対、産油国の多くも同調したため、こんな意味不明の表現になってしまった。欧米諸国は‟廃止”を主張したが、産油国のなかには「化石燃料そのものの表記に反対」の声も出て譲らず。島しょ国も原案の修正に抗議したが、結局は議長国の調停案を受け入れざるをえなかった。
それでもマスコミの約半数は、好意的な評価を下している。というのも会議の途中では‟化石燃料”の語句が全く抜け落ちたり、10年という期限の設定も危うくなっていたからである。それが‟脱却を加速”で、なんとかまとまった。だから評価できるという解釈も成り立つのかもしれない。しかし地球温暖化の阻止という目標からみると、この程度の合意ではほとんど効果が期待できないのではないだろうか。
地球の気温上昇を産業革命以前の1.5度以内に収めないと、状況は加速度的に悪化する。だが現実はすでに1.1度も上昇しており、これが洪水や干ばつなどの異常気象を惹き起こしている。それなのに世界の石炭使用量は、まだ増加中。再生可能エネルギーを3倍にすると言っても、そのための具体的な計画はない。そこへ‟脱却を加速”で、地球温暖化が止められるとはどうしても考えられない。
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