経済なんでも研究会

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NISA改正は 誰のため?

2022-12-29 07:41:00 | おカネ
◇ 成長政策がなければ意味がない = NISA(少額投資非課税制度)を、大幅に改正することが決まった。年間投資ワクを、積み立て型は40万円から120万円に、一般型は120万円から240万円に引き上げる。両者を使うと、年間360万円の投資が非課税となる。さらに、この制度を恒久化し、生涯の投資限度を1800万円とした。こうした大改正は、24年1月から実施される。

このNISA大改正は、岸田首相の強い意向によって実現した。6月末時点でNISAの口座数は約1700万、投資総額は28兆円。非課税ワクを大幅に拡大し、個人の資金を‟貯金から投資へ”強く誘導することを狙っている。だが実際には、すでにNISAのワクを使い切っている投資家が、手持ちの株式をNISAに移動させるケースが多くなりそうだ。これだと‟貯金から投資へ”にはならず、富裕層が非課税の恩恵を受けることになってしまう。

10月の毎月勤労統計をみると、パートタイム労働者は1635万人。全労働者に占める比率は31.64%にも達する。これらの人たちの平均的な月収は9万9556円だ。例外はあるかもしれないが、これではNISAを利用する余裕もないに違いない。したがって今回のNISAの大改正は、約3分の1の労働者には恩恵が及ばないことになる。

こうした人たちにもNISAの恩恵を受けられるようにするには、まず所得の増加が必要。そのためには成長政策が伴わなければならない。また‟貯金から投資へ”が進んだとしても、企業が設備投資や人件費を増やさなければ意味がない。このためにも成長政策が必要だ。NISAの改正は結構だが、いまの岸田内閣には肝心の成長政策が欠けている。

        ≪28日の日経平均 = 下げ -107.37円≫

        ≪29日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

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