経済なんでも研究会

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GDP速報が提起した 問題点 (上)

2024-02-22 07:52:14 | 景気
◇ 貧しくなった日本人の生活 = 内閣府は先週、昨年10-12月期と23年のGDP速報を発表した。それによると、昨年10-12月期のGDP実質成長率は年率換算でマイナス0.4%。民間の事前予測はプラスだったが、個人消費と公共支出の落ち込みが大きくマイナス成長となった。これでマイナス成長は2四半期連続。アメリカなら「景気後退に陥った」と判定される。ところが企業の業績は絶好調、株価は史上最高値に最接近。いったい、なぜだろう。

GDPを構成する項目をみると、個人消費は年率換算で1.0%の減少。企業の設備投資は0.3%の減少、住宅投資は4.0%の減少、政府の公共支出は2.8%の減少だった。輸出は11.0%も伸びたが、内需の縮小を埋め切れなかった。個人消費の減少は、コロナ後の消費回復が一巡したうえに、物価高の影響で消費者が節約志向に傾いたためだと思われる。

物価高の影響で、23年の名目GDPは591兆4820億円。前年比では5.7%も増加した。ところが、これをドル換算すると4兆2106億ドルに。ドイツのGDPを2500億ドルほど下回った。新聞やテレビは「ドイツに抜かれ、世界4位に後退」と大きく報道している。しかし、これは円の対ドル相場が異常に安くなっていることが原因だ。だから円相場が少し上がれば、すぐに3位に戻る。なにも仰々しく騒ぐことはない。

それよりも重要なのは、1人当たりGDPが減少し続けていること。00年にはG7(主要7か国)でトップだったが、22年には最下位。それどころかOECD(経済協力開発機構)38か国中、なんと21位にまで落ち込んだ。円安の影響だけでは、とても説明できない。1人当たりGDPは、その国の国民の平均的な生活水準を表わすと言ってもいい。だから重大なのである。GDP速報が提起した問題は、まだある。

                          (続きは明日)       

        ≪22日の日経平均 = 上げ +836.52円≫

        【今週の日経平均予想 = 2勝2敗】


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