経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

今週のポイント

2019-09-23 08:24:30 | 株価
◇ 手がかりを失ったNY市場 = FRBは18日、追加の利下げを決定した。だが引き下げ幅は最小の0.25%だったため、完全に織り込んでいた市場の反応は鈍かった。むしろ0.5%の引き下げを期待していた投資家を失望させたほど。また次官級で再開した米中間の貿易交渉も、全く進展なし。ニューヨーク株式市場は、この2つの手がかりを失った形で4週間ぶりに反落した。ダウ平均は先週284ドルの値下がり。

日経平均は先週91円の値上がり。これで3週間の続伸、5か月ぶりに2万2000円台を回復した。アメリカの利下げにもかかわらず、円相場が50銭ほどの上昇にとどまったこと。サウジアラビアの石油関連施設炎上が、価格の急騰を招かなかったことが安心材料になっている。しかし市場の空気は、そんなに明るくはない。

買い材料には乏しいが、投資先がないので株価が少し下がれば買いが入る。だがアメリカでも日本でも、実体経済と株価の乖離が進んでいる。だから大幅な上昇は望めない。今週もニューヨークでは、こんな状況が続くだろう。一方、東京は来週に迫った消費税の引き上げに全神経が集中せざるをえない。個人消費の動向が判明する10月半ばまでは、警戒感が付きまとうだろう。

今週は25日に、8月の企業向けサービス価格。27日に、東京都区部の消費者物価。アメリカでは24日に、9月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。25日に、8月の新築住宅販売。26日に、4-6月期のGDP確定値と8月の中古住宅販売が発表される。

       ≪24日の日経平均は? 予想 = 下げ

100歳以上が 7万1238人に

2019-09-21 07:28:37 | 寿命
◇ 長生きすればいいわけではない = 厚生労働省は9月15日時点の人口を推計して発表した。それによると、総人口は1億2617万人で前年比26万人の減少。このうち65歳以上の高齢者は3588万人で、前年より32万人増えた。全人口に占める割合は28.4%、25年には30%に達する見込みだ。国際的にみても2位のイタリア23.0%、3位のポルトガル22.4%より、かなり高い。

厚労省はまた100歳以上の人口も発表した。それによると、満100歳を超えた長寿者の人数は7万1238人。1963年の統計では、わずかに153人だったが、98年には1万人を突破。さらに平成の30年間には23倍に増えて、7万人台に載せている。医療や生活環境の向上が貢献した。人口比率で最も多いのは高知県、次いで鹿児島県となっている。

ただ、いちばん気がかりなことは、100歳以上のお年寄りが健康な生活を送っているのかどうか。7万人のうち、どれほどの人が元気で暮らしているのか。人口を推計する場合は、健康かどうかまでを推定することは難しい。しかし100歳以上の調査は各自治体からの報告を積み上げているので、健康度の調査は簡単にできるだろう。

ふつう、高齢者の健康度は“健康寿命”で計られることが多い。これは介護を必要とするかどうかが、見極めの基準になっている。だが100歳以上の人にとって、この基準は厳ししぎるに違いない。たとえば介護は受けていても、杖を突けば歩けるか。自分の意志でモノが食べられるかなど、新しい指標を作ったらどうだろう。本格的な長寿社会を迎えて、人口統計も視点を改めるべきである。

        ≪20日の日経平均 = 上げ +34.64円≫

        【今週の日経平均予想 = 1勝3敗】   

景気は↘ 株価は↗ どうして?

2019-09-20 07:44:57 | 株価
◇ 実体経済との乖離が進む株価 = 世界経済はゆっくりしたスピードで悪化している。米中経済戦争の影響で輸出が縮小。生産の減退で、特に製造業の状態が悪い。その一方で非製造業が頑張っているから、全体の景気が急落することは免れている。しかし世界全体の景気が下降局面に入っていることは明らかだ。IMF(国際通貨基金)も最近の試算で、19年と20年の世界の成長率予測を下方修正した。

景気が下向けば、企業の業績が悪化することは当然だ。たとえば主要企業の4-6月期の決算をみると、アジア諸国の純利益は21%の減少。日本の上場企業も7.3%の減益となった。アメリカはまだ3.8%の増益を維持しているが、ここ数年の2ケタ増益からみると業績はかなり悪化している。先行きについても、悲観的な見方が次第に広がってきた。

企業の業績が下向けば、株価は下がるはずである。ところが最近の株価は、まるで好景気のさなかのように上昇している。たとえばダウ平均は、先週末まで8日間の連騰。史上最高値まであと140ドルにまで迫っている。日経平均も9日間の連騰。ほぼ2万2000円の水準を回復した。なぜだろう。

最大の要因は、想像を絶するほどの世界的なカネ余り。そして次の要因は、米中経済戦争やイギリスのEU離脱問題などが長く続いたことで、投資家が慣れてきたこと。こうした国際問題は必ずしも緊張の連続ではなく、時たま中休みを生じる。すると投資先をなくしていた過剰な資金が、どっと株式市場に戻ってくる。こういう循環が続いて、株価は上昇してきた。だが株価と実体経済の乖離は、次第に拡大しつつある。どこかで限界に達すると思うのだが・・・。

       ≪19日の日経平均 = 上げ +83.74円≫

       ≪20日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

危険! サウジ攻撃の 延焼性 (下)

2019-09-19 07:40:34 | 原油
◇ 当面の焦点はサウジの報復 = 原油の供給面だけからみると、被爆したサウジアラムコ会社の重要施設が、サウジ政府の言う通り「数週間で復旧できる」のかどうか。テレビ画面で見た限り、損傷はもっと大きいような印象を受けた。復旧が長引けば、世界経済に与える悪影響も予想以上に大きくなる危険性がある。国際原油価格がどこまで上がるかを、慎重に見守る必要がありそうだ。

政治的には、予測不能な点が多い。まずサウジアラビアが報復手段に訴えるのかどうか。おそらく報復する可能性が強いが、イエメンを攻撃するのか。それともイランに照準を合わせるのか。いずれにしても無人機の製作拠点などを徹底的に破壊する作戦に出るのではないか。そうすると中東での緊張感は、一気に高まることになる。

サウジアラビアがその準備を整える前にも、無人機による再攻撃があるかもしれない。こうした情勢に陥ったとき、トランプ大統領がどんな行動に出るのかも不明である。サウジとイランが一触即発の状態になった場合、もしアメリカがサウジを全面的に支援すれば、問題はアメリカ対イランの直接対決に発展しかねない。イランがホルムズ海峡を閉鎖する手段に出る可能性だって、否定はし切れない。

イエメン国内のフーシ派は、ことし5月と8月にもサウジのパイプラインや天然ガス施設を攻撃したことがあった。しかし損傷はそれほど大きくなく、サウジは報復を限定的なものにとどめている。だが今回の傷跡は大きく、大規模な報復に出る危険性は高い。最悪の場合は、第5次中東戦争になる結果も否定はできない。日本はエネルギーの確保に向けて、対応策の立案を急いだ方がいい。

       ≪18日の日経平均 = 下げ -40.61円≫

       ≪19日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

危険! サウジ攻撃の 延焼性 (上)

2019-09-18 05:33:25 | 原油
◇ 原油の国際価格が急騰 = サウジアラビアの重要な石油関連施設が14日早暁、無人機に攻撃されて炎上した。東部のアブカイクとクライスにある2箇所の精製工場とみられ、損害は甚大。サウジ政府によると、日産570万バレルの生産停止に追い込まれたという。この量はサウジが生産する原油の約半分、世界全体の供給量の5%に当たる。ニューヨークやロンドンなどの国際市場では、たちまち原油価格が10%以上も急騰した。

隣国イエメンの反政府勢力フーシが、犯行声明を出した。しかしアメリカはいち早く、イランの犯行だと断じている。その根拠は、被害の状況からみて無人機は北東方向から侵入したと判断されること。またイエメンからだと1000キロ以上も飛行したことになり、正確に重要な施設を破壊することは難しいなど。しかし、とにかくイランがフーシ派を支援していることは間違いなく、無人機を供与していることも確かだとみられている。

サウジ政府によると、施設の修復には「数週間かかる」という。この間は世界的に原油の供給量が減るわけで、アメリカ政府は非常用に備蓄している原油の放出を決めた。最近の原油価格はOPEC(石油輸出国機構)の減産にもかかわらず、世界的な需要の減退とアメリカのシェール増産で、ずっと1バレル=60ドルを下回っていた。それが今回の事件で100ドルに向かうという見方も出始めている。

サウジアラビアの原油生産量は、世界全体の12.7%を占める。日本にとっては最大の原油輸入先で、全体の38%がサウジ産油だ。したがってサウジの生産量が長期にわたって回復しなかったり、国際価格が高騰すれば、日本への影響はきわめて大きい。景気にとっては大きなマイナス要因、円相場にも上昇圧力が働く。しかも今回の無人機による攻撃事件は、これから多方面に燃え広がる危険性を持っている。

                                 (続きは明日)

       ≪17日の日経平均 = 上げ +13.03円≫

       ≪18日の日経平均は? 予想 = 下げ


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