経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

今週のポイント

2019-09-16 08:04:28 | 株価
◇ 日米ともに株価は連騰 = ダウ平均株価は先週422ドルの値上がり。先々週から続けて8日間の連騰となっている。18年5月以来の記録で、この間の上げ幅は1100ドルに達した。終り値はことし7月の史上最高値まで、あと139ドルの水準に迫っている。アメリカとヨーロッパの金融緩和。それに米中間の閣僚級協議の再開を前に、両国が強硬な姿勢をやや和らげたことが投資家を安心させた。

日経平均も先週は789円の値上がり。こちらも先々週から数えて9日間の連騰。17年10月以来の記録だった。この間の上げ幅は1368円に達した。終り値は4か月半ぶりの高値となっている。ニューヨークの株価が上がると、東京の割安感が改めて意識される。加えて円相場が1円ほど下落したことも、買い材料になった。

アメリカも日本も、実体経済の動きは芳しくない。にもかかわらず株価が上がるのは、カネ余りだからに他ならない。今週も18日にはFRBが2度目の利下げに踏み切るだろう。それを材料に、株価はさらに連騰記録を伸ばすのか。それとも実体経済の陰りに目が行き、いったんは調整に入るのか。そんなとき、中東情勢が一気にキナ臭くなった。

今週は18日に、8月の貿易統計と訪日外国人客数。19日に、7月の全産業活動指数。20日に、8月の消費者物価。アメリカでは17日に、8月の工業生産と9月のHAHB住宅市場指数。18日に、8月の住宅着工戸数。19日に、8月の中古住宅販売と9月のカンファレンス・ボード景気先行指数。また中国が16日に、8月の鉱工業生産、小売り売上高、固定資産投資額を発表する。なお18日には、FRBが利下げを決定する見込み。

       ≪17日の日経平均は? 予想 = 下げ

中小企業って 何だろう??

2019-09-14 08:08:40 | なし
◇ 実はものすごく複雑な定義 = 消費増税に伴って、キャッシュレス決済のポイント還元制度が始まる。小規模な店舗では5%が還元されるから、消費者にとっては見過ごせない。なにしろ現在たとえば1万0800円の代金が、実質的には1万0300円になる計算。うまく活用すれば、10月からは増税でなく、減税になるとも言えるわけだ。

この5%のポイント還元を実施するのは、中小企業のお店だけ。新聞などでは、中小企業というのは「資本金5000万円以下もしくは従業員50人以下」の商店と解説しているところが多い。ところが、この記事を読んで「これが中小企業の定義だ」と覚え込んだら、大間違い。中小企業の定義は、ものすごく複雑なのだ。

「資本金5000万円以下もしくは従業員50人以下」というのは、中小企業基本法による小売業の場合を指すだけ。同法では、製造業・建設業・運輸業などは「資本金3億円以下もしくは従業員300人以下」と定義されている。またサービス業は「5000万円以下もしくは100人以下」となっているから、5%還元の出来るお店も小売り業とは微妙に違ってくる。

調べてみると驚いたことに、中小企業を定義づけた法律は21もあった。たとえば法人税法では「資本金1億円以下」であり、会社法では「資本金5億円未満かつ負債総額200億円未満」となっている。ポイント還元を実施するお店は、国から補助金を受けられる。このため、資本金をあわてて5000万円に減らす企業も少なくないそうだ。

       ≪13日の日経平均 = 上げ +228.68円≫

       【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】   

陥し穴にはまった 郵政民営化 (下)

2019-09-13 08:34:24 | なし
◇ 修復には何年もかかる? = 日本郵政グループは、いま大きな問題をいくつも抱えている。たとえば郵便局は、電子メールなどの普及で取扱量の減少が止まらない。その半面、ネット通販が増大して宅配便は人手不足。その調整がうまくできない。土曜日の郵便配達を止めたいが、それには法律の改正が必要だ。ゆうちょ銀行が年6000億円、かんぽ生命が4000億円の販売手数料をを郵便局に支払うことで何とかつじつまを合わせているが、銀行にとっても生保にとっても、これが大変な重荷となっている。

日本郵政としては、全国に展開する郵便局や社宅を活用して、不動産業務にも乗り出したい。また海外にも進出したい。だが、これも法律改正が必要で、そのためには民営化が条件になってくる。今回の第3次株式放出でその基盤を固める計画だったが、かんぽ生命の思わぬ不祥事で、その戦略も挫折してしまった。

日本経済全体が活況を持続している時代ならば、事態の修復はそれほど難しくないのかもしれない。しかし将来展望が不透明な現状では、正常化には多くの時間を要しそうだ。なにしろ3社の株価を、いまの2倍にしなければ話が始まらない。関係者は修復に要する時間は「1年や2年では済まないかも」とみているようだ。

今回の不祥事は、日本郵政グループが「まだ親方日の丸意識から抜け出せていない証拠」だと指摘する人も多い。だとすると問題の修復には、さらに多くの時間が必要になるかもしれない。たしかに大事件を惹き起こしたにもかかわらず、責任官庁である総務省からは何のコメントもなし。もちろん責任を追及する声も上がらなかった。15年前に民営化を閣議決定した小泉純一郎元首相は、いま何を想うのだろうか。

       ≪12日の日経平均 = 上げ +161.85円≫

       ≪13日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

陥し穴にはまった 郵政民営化 (上)

2019-09-12 08:06:36 | なし
◇ 株価の暴落でお先真っ暗 = いまから15年前の04年9月、小泉内閣が郵政民営化を閣議決定した。これを受けて07年4月に、国営だった郵便・貯金・保険の3事業が民営化。国はその後の10年間に、保有する株式の大半を売却することになった。そして07年10月には、日本郵便・ゆうちょ銀行・かんぽ生命保険の3社を傘下に抱える日本郵政グループが誕生している。

このグループの株式保有関係は、ちょっとややこしい。まず親会社の日本郵政が日本郵便の株式を100%、ゆうちょ銀行の株式を89%、かんぽ生命の株式を65%保有する。その親会社・日本郵政の株式を、国が57%保有するという構図だ。国は民営化を進めるため、これまでに保有する約45億株のうち10億5000万株を売り出している。

ことしも政府はこの9月に、第3次の売り出しを予定していた。特に今回は1兆2000億円の収入を見込み、これを東日本大震災の復興資金に充当することを決めている。ところが、思わぬ大問題が発生した。かんぽ生命が顧客の不利になると判っていながら、18万件もの不都合な契約を結んでいたという事件が発覚。

日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命の株価が暴落した。この3社の時価総額は15年2月のピーク時で19兆円を超えていた。それが現在では、半分程度にまで減っている。これでは政府も、株式を売り出すわけにはいかない。政府の株式保有比率が減らないと、郵政グループの民営化は進められない。計画は一頓挫、お先真っ暗になった。

                                  (続きは明日)

       ≪11日の日経平均 =上げ +205.66円≫

       ≪12日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

成長率は 大幅な下方修正 : 4-6月期

2019-09-11 07:23:42 | 景気
◇ 米中経済戦争の黒い影 = 内閣府は9日、4-6月期のGDP改定値を発表した。それによると、年率換算した実質成長率は1.3%。速報値の1.8%から大幅に下方修正された。前1-3月期の2.2%成長に比べても、鈍化は著しい。理由は法人企業統計の調査で、企業の設備投資が予想以上に減退したことにある。この調査で、設備投資は前年比6.9%の減少だった。

この結果、GDP統計でも企業の設備投資は、速報値の1.5%増が0.2%増に引き下げられている。他の需要項目をみると、最もウエートが大きい個人消費支出は2.4%増で、速報値と変わらなかった。また住宅投資は、速報値の0.2%増から0.1%増へと下方修正。その一方で、公共投資は1.0%増から1.8%増へと上方修正されている。

企業の設備投資が減退したのは、米中経済戦争の影響が大きい。中国向けを中心に輸出が伸び悩んだことから、製造業の業績が悪化。米中交渉の見通しも判然としないことから、設備投資意欲が阻害されたものと考えられる。GDPの速報値が発表された8月上旬の時点ではまだ表面化していなかったが、ここへきて経営者の不安がGDP統計にも反映されるようになったと言えるだろう。

問題は先行きだ。米中経済戦争は長期化する兆候をみせているから、設備投資の鈍化傾向は今後も続く可能性が大きい。現状は輸出との関係が薄い内需が、成長を支える形になっている。GDPの需要項目で言うと個人消費だが、その動向が10月からの消費増税でどうなるか。設備投資に加えて個人消費までが不調になると、成長率は確実にマイナスに転落する。最大の関心事だ。

       ≪10日の日経平均 = 上げ +73.68円≫

       ≪11日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

Zenback

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