経済なんでも研究会

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‟利下げ”は来年3月? / アメリカ

2023-12-06 07:14:53 | アメリカ
◇ 追い詰められる日銀 = ニューヨーク株式市場の空気が一変した。つい最近までは「年内にもう1回、最後の利上げ」という予想が圧倒的だったが、先週はこれが一挙に「来年3月には利下げ」へと変わった。このため金利は急低下、株価は急上昇。ダウ平均は年内にも、史上最高値を更新する勢いをみせている。きっかけはウォラーFRB理事の‟利下げの可能性”を示唆した発言。この人が引き締めを主張するタカ派であるだけに、そのインパクトは非常に大きかった。

インフレ収束の兆しが最初に現われたのは、先月14日に発表された10月の消費者物価。前年比3.2%の上昇で、前月より0.5ポイントも鈍化した。また小売り売上高や雇用統計など、景気の鎮静を示す数字が続出している。さらにFRBが発表したベージュブック(地区連銀経済報告)でも「全米の経済活動は10月以降、鈍化した」と明記した。こうしたところへ、ウォラー発言が飛び出したわけである。

投資家を対象にした最近の世論調査によると、「来年3月までに利下げがある」と考える人の割合は35%にのぼった。FRBの政策決定会合であるFOMC(公開市場委員会)は、来年1月と3月に開かれる。すると、やっぱり「3月の利下げ」が有力なのではないか。市場では、いま「12月と1月は据え置き、3月に利下げ」の見方が急速に拡散している。

政策金利の引下げが見込まれると、市場では債券が買われ各種の金利が下がる。このため日米の金利差が縮小、円の対ドル相場が急騰した。いま日銀はゼロ金利政策を終了させるための環境づくりに、専念している。しかし円高がさらに進行すると、ゼロ金利の終了は困難になるだろう。金利を上げれば円高が加速し、その副作用が大きくなってしまうからだ。そうかと言って何もしなければ、ゼロ金利から脱出できず、日銀は内外から批判を受けることになりかねない。

        ≪6日の日経平均 = 上げ +670.08円≫

        ≪7日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

今週のポイント

2023-12-04 07:40:44 | 株価
◇ 先週は「NY上げても、東京は下げ」でした = ダウ平均は先週855ドルの値上がり。終り値は3万6246ドルで、ことしの最高値を更新した。3万6000ドル台を回復したのは、1年11か月ぶりのこと。11月中は2898ドルの上昇だったが、市場では強気ムードがなお支配的。年末にかけて史上最高値の更新を目指す勢いだ。

日経平均は先週194円の値下がり。終り値は3万3500円を割り込んだ。一貫して高値警戒感が強く、たとえばダウが500ドル上昇したあとも値を下げている。11月は2628円の上昇だったが、その勢いは一気にしぼんだ。原因は円相場の急激な上昇。輸出関連銘柄を筆頭に、利益確定の売りがだらだらと続いた。

先週のこの欄では「NY下げても、東京は上げ」と書いた。ところが結果は全く逆。その原因はFRBのウォラー理事が「インフレ率の低下を確信できれば、金利を引き下げられる」と述べたこと。これでニューヨーク市場の株価は高騰、長期金利は大きく下落した。その結果、円の対ドル相場が急騰。相場は146円台にまで上昇した。もちろんウォラー発言を予想することは不可能だったが、結果的に間違ったことは確か。改めてお詫びをする次第です。

今週は5日に、11月の東京都区部・消費者物価。7日に、10月の景気動向指数。8日に、7-9月期のGDP改定値、10月の毎月勤労統計、家計調査、11月の景気ウオッチャー調査。アメリカでは5日に、11月のISM非製造業景況指数。6日に、10月の貿易統計。8日に、11月の雇用統計、12月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が7日に、11月の貿易統計。9日に、11月の消費者物価と生産者物価を発表する。

        ≪4日の日経平均 = 下げ -200.24円≫

        ≪5日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

≪番外編 +2≫

2023-12-01 07:05:09 | なし
◇ 説得力に乏しい‟好循環”の実現性

・病室の天井を見つめながら、こう考えた。岸田内閣の支持率は危険水域にまで低下したが、どうしてだろう。物価高対策として補助金の大判振る舞い、加えて減税まで実施する。だが先行きには防衛費の増額や少子化対策が控えていて、増税が必要らしい。一般の国民には、この減税と増税の関係がよく理解できない。岸田首相の説明に、説得力がないからである。

・いま国民が最も心配しているのは、将来の生活である。年金はきちんと貰えるのだろうか。医療や介護などは十分に機能しているのだろうか。若者も高齢者も、みんなが心配している。だから貯蓄ばかりが増えるし、子どもが産まれない。それなのに岸田内閣は補助金など、現状に膏薬を貼るばかり。選挙対策だと勘ぐられても、仕方がない。

将来について、岸田首相は「賃上げが物価を上回り、経済の好循環が始まる」の一点張り。しかし29日に成立した補正予算をみても、現金給付などの膏薬貼りには2兆7000億円を支出するのに、持続的な賃上げの実現には1兆3000億円しか投じない。これで‟好循環”が起きるのだろうか。その説得力が、あまりにも希薄すぎる。だから国民から信用されない。

        ≪1日の日経平均 = 下げ -55.38円≫

        【今週の日経平均予想 = 1勝4敗】  

     

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