魅惑のワインと出会う100の方法

デイリーからカルトワインまで、日々探し求めては飲んだくれているワイン屋のおはなし。

同級生の訃報-アンブロワーズ白

2017年11月17日 | 音楽
高校の同級生の訃報を聞いた。

彼は音楽家でプレーヤーでありコンダクター(指揮者)だった。

同じクラスになったこともあるし、奇遇なことに同じく酒店の息子同士だった。


おい、まだ50代だぞ!
いくらなんでもだぞ!



彼の指揮を見たのは数年前。客席で見たけど、演奏後に挨拶にもいかなかった。

卒業して数十年だし、そんな場で会うのは照れくさい。勘弁だ。

数年前たまたま道で出会って言葉を交わした記憶はある。元気にやっていたようではあったが。




彼はファゴットで私はトランペット。
何度も何度も彼と練習をした。いっぱいした。



高校3年生でもうすぐ卒業も見えてくる秋、彼に提案した。
体育祭でのファンファーレを「どうせやるならおれ達で作らないか?」と。
ふたりしてそれぞれのファンファーレを書き上げ、演奏をした。


たかだか16小節程度の小曲の響きは拙いけど青春の残像だ。
(もしも万が一、その楽譜が吹奏楽部に眠っているとしたら貴重な作品なのかもしれない)


彼は音大、音楽家への道を進み、出来そこないで劣等生の私は今、ワイン、酒と共に生きている。
しかしふとしたタイミングでミュージシャンになることはある。まあ、人生はそれぞれなんだよ。





そして、今日は彼へ献杯。


今でも心に残るのは彼が指揮をした吹奏楽コンクールの演奏曲。
そして彼とそれぞれに作ったファンファーレの響き。


今でも鳴ってるよ。そしてこれからも・・・。






そんな夜なのだが、献杯に私はこのワインを試飲している。


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2015 ブルゴーニュ ブラン(ベルトラン・アンブロワーズ)
   (仏、ブルゴーニュ地区、シャルドネ種、白、2千円台半ば)


スーパー当たり年2015年に当然ながら大成功を収めたアンブロワーズの基本、ベーシックワイン。

香りですが、開けたてから蜜の香りが来ます!
とてもよく熟した果実から放たれるレモン、カリンなどの柑橘、さらにキンモクセイなどの花、
そしてデリシャスリンゴを思わせる蜜などが混じります。


味わいは厚めのボディと熟成感(年を取る熟成感ではなく、果実がよく生育した熟した感じ)で、
豊潤さが溢れます。ちょっとゴージャスささえ漂い、でもクリアで若くてピチピチとして
弾けます。奥にとろみや蜜の風味もしっかりと持っていて、熟成したらもっと前面に出てくる
でしょうが、今はフレッシュさと同居しています。

これは今飲んでもフレッシュでありながらラグジュアリーさもあり、持っていて寝かせても
奥に潜むゴージャスさが徐々に出てくるであろう白です。
そしてこのクラスとしては異例の、どこかきらめきを持った魅力があります。素晴らしい白です。

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こんなショックな日にワインの感想を書いていたりするんだけど、それは素晴らしいワインで
良かったと思う。

喜びも、悲しみも、晴れの日も雨の日も・・・ワインはずっとそばにある。
もちろん音楽もだ。



ほんの2か月ほど前、彼が無理を押して指揮した動画がyoutubeに残っていたので、それを聴いている。
彼の出したかった音、表現したかった音を、辿っている。

今さらだが、冷静な顔の奥、彼はすごい情熱家だったことを気づかされた。


コメント
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