今日はちょっと作家にでもなった気分でかっちょぶって書きます。
あんまり笑わないで読んでくださいね。
ではいきまーす。
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山が美しい。
春の息吹から、さらに力溢れてくる季節。
濃い緑、淡い緑、いろんな緑が生い茂り、重なり合い、リズムとグラデーションを作り、
生き生きとした躍動感がある山肌はすごくいい。
田舎の山道をバイクで走る。
「茂木びわ」の産地を抜ける道だ。長崎名産の全国区の知名度を持つ美味しい枇杷。
今市場に少しづつ出始めた。
果実、それ自体を店頭で見ただけでは思いは馳せられないが、それらが育つ風景というのがある。
青い果実の状態はこんな感じ。
そこから紙の袋をかぶせて、鳥からの被害を防ぐ。
大変な手間だろう。現在、ビワ畑は紙袋にたくさん覆われた光景になっている。
しかしこれこそ、一気に果実が熟し、出荷される直前の状況だ。
つまり一年の中で一番力を溜めて、溢れんばかりのエネルギーがみなぎっている状態だ。
例えば十三、十四夜。そう、満月のすぐ手前。
これから、今年のこの地のパワーが一気に噴き出してゆく。
溢れてゆく。日本中のたくさんの場所で。たくさんの食卓で。
これから食べられる全国の茂木ビワはこんな風景を見ながら育った。この地に住む人
たちが育てた。工場でもなければ、養鶏場のブロイラーでもない。もちろん遺伝子組み
換えでもない。人と自然の産物、そのものを受け取るということなのだ。
途中から海へと続く道を進んでみる。
ずっとずっと降りて行く。
山肌をくねくねと下る。
それは重力に従って樋を流れる雨水。バイクと僕は雨水になる。
ポトポト、トコトコ・・・そして海に出る。
目の前に広がる光景。
波が音を刻む。風は海の香りを運ぶ。花は季節を彩る。
汗を拭いながら、冷たいお茶をひと口。
今度は本を持ってきて海辺の木陰でひと時を過ごしてみようか。
とてもいい風だ。
通り道にある直売の棚からビワとデコポンを買ってきた。
4~5個入って100円だから安い。どこのデコポンが美味しいかは毎年買うので予想が
ついている。ビワに関してはこの地域はどこも美味しい。ただ、まだ穴場の販売所がある
かもしれないし、それを見つけるのも走り屋として、もとい、スピードも迫力も、まったくカッコ
よくもないので「走り屋くん」(と呼ぼうか)の楽しみだ。
これからの季節、しばらくはこの道を走って何度か直売所で買い物をするだろう。
そしてこの地を、この風を、この陽ざしを、作った方々の労力を、この時間を、そして
何よりもこの溢れる自然の力を体の中に蓄えていくのだ。
この土地、この季節が大好きだ。
走り屋くんのささやかな楽しみはこうして本格シーズンの幕を開ける。