魅惑のワインと出会う100の方法

デイリーからカルトワインまで、日々探し求めては飲んだくれているワイン屋のおはなし。

とりあえず飲んでみましょう

2015年05月23日 | ワイン ~2019年
昨日はとある方が、「このワイン処分した方が良いでしょうか?」とお尋ねで
1本のワインを持って来られました。(うちの商品ではありません)

フランス産の2005年の白。

何年も放ったらかしで、開けようとコルクスクリューを入れてはみたものの、固くて
開かなかった。もうコルクスクリューを差し込んだし、ダメになっているのでは
ないか?と心配だったご様子。


実はそのコルクはプラコルクですし、なんてことはなくて、私がソムリエナイフを使って
“あと少し、手で引っ張れば開く”状態までして、「とりあえず飲んでみてください。
酸っぱすぎたり苦すぎたりしたら無理に飲まなくて処分されてみてはいかがでしょうか。
ワインって案外タフだったりすることもあるんですよ。」

・・・・・そんなやり取りがあってお返ししました。

最初は「置いて帰る」とも仰られたのですが、「ではとりあえず飲んでみます。」と
心変わりしていただけたことがとても嬉しかった。

だってもしも美味しいワインだったら、葬り去るのは心苦しいです。
この1本がワインがお好きになる何かのきっかけになるかもしれないしね。

そんな思いでいっぱいでした。

その後、どうだったか、どんな味だったかは知る由もありませんが(初めてご来店の方
だったし)、何とか飲める状態だったらいいな、と思った次第です。




さて、今夜はこれ。




2012 マランジュ 1er ラ・フュシィエール(ドメーヌ・トマ・モレ)
  (仏、ブルゴーニュ、ピノ種、赤、税込み4千円台前半)

下のクラスの「ACブルゴーニュ」がとても良かったので、上のクラスもお試しです。

香りは最初はココアなどの香りが混じってきますが、最初だけで、イチゴ、チェリー、
ロウ、ミント、赤い革、アニスやシナモンなどのスパイス、赤い花の明るく若いエレガント
な香りです。しかし奥の方に肉系の旨味や甘みが乗っています。


味わいはとてもチャーミングで正統派のブルゴーニュの若い姿です。
酸は溌剌として、タンニンは歯切れよく、いずれもとてもきれいな果実味を見事な
までに支えています。とにかくきれいで美味しいです。それぞれの部分が支え合い
きれいなハーモニーを奏でています。

ひとつ前に飲んだACブルゴーニュのエロティックさとはまた違って、こちらは
清純で凛々しい美しさです。正統派です。

うちの奥さんも「トマ・モレってすごいね」と言葉を発しました。
そう、この造り手はすごいんです。


・・・・・ところが、2日目が少し弱い。
なぜだか分かりませんが、美味しくはあるものの、弱いんです。
普通にはまったく問題のないレベルです。でもこれはちょっと保留です。

このあたりが何ともワインの難しさだったりします。ボトルの問題なのかどうなのか?
輸入元と話したり、この造り手の別アイテムを飲んだりと、いろいろと試行錯誤したい
と思います。

結局「飲んでみなければわからない」というのは鉄則です。

コメント
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