黒と緑のエチュード
たぶんムシヒキアブの一種だと思う。
八月の白昼堂々青虫を引きずっている黒装束の忍者は・・・・。
庭の端から端まで約三メートル、自分の体の二倍半はある獲物をものすごい速さで運んでいくのだ。
観察しようと近づくと、一瞬のうちに飛び立ち姿を消した。
これは失礼しましたと離れると、一呼吸おいたばかりでもう舞い戻っている。
その間、青虫はだらりと身を伸ばした状態でピクリともしない。
おそらく麻酔注射を打ち込まれて、鮮度をたもったまま餌になるのを待つだけなのだろう。
虻の仲間にはシオヤアブという強烈なのがいて、こいつは仲間はおろかマメコガネ、蝉など自分より大きい相手にまで背後から襲いかかり、毒液で麻痺させて獲物にしてしまうそうだ。
蜂も捕食の対象で、かなりの重量でも抱えたまま飛ぶというから驚きだ。まさかスズメバチにはかなわないんだろうが・・・・。
体長三センチ、茶系のニイちゃんだから、こいつが飛んでくると人間でも思わず首をすくめる。
ムシヒキアブにはそこまでの獰猛さはない。
しかし、体重だったら十倍もあろうかという青虫を引きずって、瞬く間に草むらに消えようとしているのだ。
どんな脚の構造なのか確かめたくなるではないか。
どこかでこちらの様子を窺っていて、危険な距離ではないと判断した瞬間に舞い戻って猛然と運びはじめる。
本格的な観察者じゃないから、デジカメをズームにして一応撮ることは撮ったがお見せできるかどうかわからない。(*容量オーバーでした)
ムシの種類も、図鑑を見てたぶんムシヒキアブだろうと思うだけで、アメリカミズアブだったりしたら目も当てられない。
こいつは別名便所バエとか便所バチとか呼ばれる奴で、子供の頃から頭に染み込んだ蔑称のイメージは急には拭えない。
<たぶん>と<だろう>。
色も形もアメリカミズアブと紛らわしいが、やっぱり獲物の運び方が「ムシヒキアブ」なんだと自分で決めた。
昆虫好きの人、昆虫学者など、なんだか尊敬してしまう。
こちとらは黒と緑のエチュードなんてしゃれてみて、不完全な下書きを終わりにする。
コンチワーッ!
「黒と緑のエチュード」なんて、なんと洒落た詩的なタイトルでしようか。
ところが、中身はなんだか恐ろしげな昆虫残酷物語。その辺の筆の遊びはさすがですな。
好奇心と観察眼も、たいしたもんです。願わくば、場所的、地形的説明も少し入ると、さらに迫力と実感が。
自然界のこんなドラマがいつも人知れず行われているのですね。
楽しませていただきました。
練りに練られた窪庭さんの文章はもちろんいいですが、こういう見たものをそのまま教えてくれるストレートなのも実に楽しいですね。
写真、容量オーバーだったとのことですが、ぜひ見たかったです。
このコーナーで容量が一杯だったのであれば、このお後にもうひとつ次の回を設定してそちらで写真だけを載せれば見られると思います。
ぜひ見せてください。
よろしくお願いします。その虫の写真が見たいよー。知恵熱おやじ
『ムシヒキアブと青虫』の写真、なんとか載せたいといろいろ試みたのですが、1メガ以上のものは取り込めないとの表示が出てダメなようです。
いまのところズームで撮ったものは容量オーバーになって仕舞うようなので残念です。
技術的なことなので、クリアできたら発表します。
どなたかgooブログに詳しい方のご教示をお願いします。