高田松原に隠しておいた思い出は
いまも陸前高田の海を漂っているだろうか
青春の甘くしょっぱい思い出は・・・・
松林をなぎ倒し大地を震わせた大津波
奇跡的に生き残った一本の松は
多くの人の思いをつなぎとめたが
ついに力尽きてモニュメントになった
青い嘆きと灰色の苦汁をまつわりつかせ
いまも復興のシンボルと目されているが
三つ編みの黒髪から覗いていた少女のうなじ
毛根の周囲には透きとおるためらいが
六月の風となって鼻腔をくすぐった
高田松原は思い出を埋めたまま流れ去った
いくら探し続けても欠片も見つからない
大海原の潮流に乗ってどこかへ運ばれたのか
思い出は新たな命を生み出さないが
せめて一本松の子孫は再生してくれ
塩漬けとなった松原の跡に戻れる日に
多くの人の願いとともに
たくましい再生の息吹を見せてくれ
香しいうなじのように蘇ってくれ
(奇跡の一本松の枝の挿し木と、マツボックリからの実生は逞しく育っている)
津波のあとには何も残らないくらいの悲惨な災害でしたが、残された被災者がみんな同じ思いで復興していくためには、人間、やはり何か目に見えるシンボルが必要なんでしょうね。
実際に見に行かれたんですね。
しかも、風雨の激しい日に・・・・。
枯死した一本松を切断し鉄筋で繋いだ松は、風雨に耐えて立ち続けていましたか。
まさに、目に見えるシンボルの役目を果たしていたんですね。
胸が熱くなります。
残された被災者が、みな同じ思いで見上げ復興を誓った・・・・シンボルとはそういうものなんですね。
また、別のプロジェクト(住友林業)が松原の再生に取り組んでいるとのことで、こちらにも心を動かされました。