どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

新むかしの詩集(1) 「朝」

2011-05-03 00:27:01 | ポエム

     乗り遅れた朝




     「朝」



  おまえの朝は

  枠のない窓

  絹布の

  最後のひと巻きが

  天からすべり落ちると

  まだ 脈打たぬ

  手首のあたりに

  幽かな

  不幸の残り香が漂う

  敷布が白すぎるのだ

  影だけが

  生まれるのは



  虚空から吊られた

  ふうりんが

  堅い尾を

  だらりと垂れるほど

  疲れた午前

  乗り遅れた電車の

  ひびきも もう

  そのままでは

  西北から届かぬ

  

  燃えさかる

  夏天の奥ふかく

  音のレールは消え

  おまえの

  薄い耳殻には

  熱い塵が降りつもる






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