ミッション系女学校の生徒たちが
晴れがましい笑顔を見せて通り過ぎる
三年間の学び舎に別れを告げ
誰もがふっくらと輝きはじめる
貴女がたはみな女性らしく
良き妻 良き母親となって
社会の模範となってください
いつでも見られていることを忘れずに
校門から東西に伸びる塀沿いに
純白のベルトとなった花にらの群生
夏から秋 そして冬と
ほとんど意識の中から消えていたのに
卒業の季節になると
いっせいに花ひらき
互いの顔を見つめながら
校訓の一節をつぶやくのだ
だが制服の中の胸は
すでに膨らみはじめている
開花をうながすエネルギーは
もう抑えきれない
晴れがましい笑顔は
花にらとの決別
頬を染める血の色は
脈打つ生物の宿命
生徒たちの去った校庭には
記念樹の金木犀とプレートが立てられ
抑えられた嬌声がこもる教室では
三月の暦がハラリと落ちる・・・・
(『花にらの聖域』2013/03/31より再掲)
ミッション系女学校は、熊本城のお堀の近くにあったので、校門から伸びるお堀への道が懐かしいです。
近くにミッション系の女学校があるのですか。生徒とすれ違ったら、やはりドキドキでしょうね。