どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

ポエム198 『ムスカリは風に乗って』

2018-06-03 00:28:47 | ポエム

 

     ムスカリ

    (城跡ほっつき歩記)より

 

 

 

 

  ブルーの水晶を散りばめたような姿は

  やはり外国からのお客様でしょう

  はるばる渡航して来ていかがですか

  日本の気候風土はお肌に合いますか

 

  そのことでしたらご心配はいりません

  おそるおそる訪れたのは確かですけれど

  いまでは野原に進出してのびのびやっています

  わたしの顔色を見れば一目瞭然でしょう

 

  ところでお客様はどこの国からお出ででしたっけ

  なんでも高い山脈が気候を分ける南側の地でしたよね

  たしかコーカサスの風に乗って来たとか聞きました

  乾いた空気に包まれて気持ちよかったでしょうね

 

  わたしの故郷はコーカサス山脈の麓にあって

  ジョージアとアゼルバイジャンとアルメニアにまたがる地域

  ロシア連邦から独立する以前から花行脚を続けています

  黒海からカスピ海まで横に伸びる風土に磨かれてきました

 

  さまざまな人種と言語・宗教の混交は世界で最も複雑

  エキゾチックな顔立ちの美人も作り出しました

  数知れない侵略に晒された歴史を体内にとどめて

  コーカサスの顔立ちは厳しさの中に優しさを秘めています

 

  かくいうわたしの名はムスカリです どうぞ覚えてくださいね

  山脈をおおう空にも地の果ての二つの海にも

  わたしを育てた思想が横たわっています

  ムスカリムスカリムスカリむずかしい呪文じゃありません

 

  ブルーの心とブルーの瞳をたずさえて

  コーカサスの魅力を世界中に広めなさい、と

  日の出ずる国には研ぎ澄まされた青が似合うから

  ムスカリはコーカサスの風に乗ってこの地を訪れtました

 

  ムスカリはコーカサスの風に乗って

  ムスカリはコーカサスの風を連れて

  

 

 

 

 

 

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4 コメント

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シルクロードの旅 (城跡ほっつきある記)
2018-06-04 22:53:50
こんばんは。

この画像は4年ほど前に群馬県内の中世の山城である小川城を訪れた際に城跡近くの草原で撮影したものです。
おそらく元々は栽培されていたものと思いますが、画像からも分かるように草原でほぼ自生しているというような印象でした。

本種は元々はヨーロッパ南東部、西南アジアのコーカサス原産で、園芸種も多く花色は青紫、赤、紫、白など様々なのですが、上記画像のように花の先端に白色の縁取りのある青紫色の「アルメニアカム」(南コーカサスのアルメニアの地名に由来か)という品種名のものをよく目にします。

多年草の球根植物で、おおおむね陽当りと水はけの良い環境を好むようで、その開花時期は関東南部では3月末ころから5月末頃となります。
草丈は大きくとも25cmくらいまでと小柄なのですが、時々目にしている野生化しているものは矮性化しているものが多いように感じられます。

別名を「グレープヒアシンス」あるいは「ブドウヒアシンス」とも云うとされていますが、一般には学名であるムスカリの方が知られていると思います。
なおムスカリの語源については、その芳香からギリシャ語の「麝香」(じゃこう)に由来するとされているようです。
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恰もムスカリが偏西風に乗りシルクロードを旅しているような光景が浮かんでまいりました。

いつもご素敵なご紹介いただき有難うございます。

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シルクロード北ルート (tadaox)
2018-06-05 19:12:00
(城跡ほっつきある記)様、詳細な解説をいただき一層イメージが固まりました。
ムスカリは確かにシルクロードの北ルートを通って東方にもたらされた可能性がありますね。

はるばる偏西風に乗って運ばれてきたと想像すると、楽しさが増しますね。
いりいろありがとうございました。
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シルクロード (ウォーク更家)
2018-06-11 14:05:14
ロシア連邦から独立したジョージアとアゼルバイジャンとアルメニアにまたがる地域ですか。

コーカサス山脈の麓から、コーカサスの風に乗って、シルクロードを通って、はるばると日本にやってきた花なんですね。

最近、相撲でジョージアという国を知ったくらいで、ほとんど知らない地域だけに、ムスカリの写真と共に想像を膨らませると、爽やかなイメージが広がっていきます。
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知らない国への憧れ (tadaox)
2018-06-11 18:05:53
(ウォーク更家)様、今日は台風の影響で一日中しとしとと雨が降っています。
いつもあちらこちらの街道をたどっておられますが、原動力は未知の魅力への新しい発見でしょうか。

日本にもたくさんの花々が栽培されておりますが、もともとの原産地を知りたいという思いがいつもあります。
今回のムスカリは、コーカサス地方(とくにアルメニアに由来するらしい)との示唆もあり、想像力を刺激されました。

いってみれば未知の国への憧れ、ムスカリという旅人へのねぎらいでもあります。
コメントありがとうございました。
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