野薊
(城跡ほっつき歩記)より
悩みの多い野薊が
頭が重いと嘆いている
きれいだけれどトゲがある
だから近寄りがたいんだって
初夏の野原の片隅で
馴染みの野草といっしょだが
湿った夕暮れが近づくなか
なんだか機嫌が悪そうだ
嫌われ者だって言い張るのかい
野薊がそうだよと何度もうなずく
スキンシップをとれないことが
友だちに敬遠される原因だと
、
だけど味方もいるじゃないか
ちょうちょもハチも心を許しているよ
花魁気取りの化粧をしたんだから
小紫のつもりで澄ましていればいいのに
首をかしげた野薊が
お言葉ではございますがと横を向く
化粧がケバいと言われては
なんだか立つ瀬がありません
それはともかく鋸歯の葉は
牛や馬への拒絶のサイン
自分の意志とは離れたところで
受け継がれてきた血筋の悩み
夕闇せまる野っぱらは
悩みをかかえたものたちが
それぞれ愚痴をもらす場所
野薊だけが特別じゃないよ
いつまで首をかしげているの
そのうち梅雨がやってきて
むしむしジメジメなめくじまでが
腐った心を舐めに来る
野薊の姿はやがて人の目に
蔦屋のノートに書き留められて
いづれ浮世絵 かわら版
浮き世は憂き世と悟るべし
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一般に秋咲きが多いとされるアザミの中では初夏に咲く数少ないアザミですので、5月から8月頃までに咲いているものは、この「ノアザミ」と見てまず間違いが無さそうです。
日当たりの良い野原、土手、畦道、里山などに生育する多年草ですが、小生のように中世の城跡を尋ねますと比較的良く見かけます。
この画像も、10年ほど前に福島県の白川城付近で撮影したものです。
花の下にある総苞片の先端は反り返らず刺状になり、草丈は大きくとも1mほどまでとされていて、有名な「本草図譜」に掲載されているように、江戸時代から園芸品種が栽培されていたとのことです。
また若葉の時期には山菜として食用にもなるともいわれており、他に飼料として用いられたりした他には薬効作用のあることから民間療法にも利用されたようです。
なお画像の個体は偶々がっくりと頭を垂れておりますが、どちらかといえば直立しているものの方が多いように思われます。
6月上旬のちょうど今くらいの時候に撮影したものなのですが、早くも夏バテしていたのかも知れません。
そうした姿がポエムの題材へと昇華され、ノアザミになり代わり御礼を申し上げます ^^
今回もご紹介をいただき有難うございました。
気がつきませんでした。
この野薊は悩み事があるように見えたのですが、たまたまこの個体が首を傾けていたのは、季節がら夏バテだったんですね。了解しました。
時には勘違いもアリですか・・・・。