ムギナデシコ
(城跡ほっつき歩記)より
そよ風に誘い出されて
ムギナデシコが空に漂う
花弁に書き込んだ矢印が
天気図に幸せの風向きを描くのだ
そよ風の息継ぎは微かだが
花びらに伝わる 1/f のゆらぎ
空き地から立ち昇る草いきれと
重力の気配がせめぎ合う真昼の胸騒ぎ
ああ アンティークの蓄音機よ
目に見える音を五線譜に刻んでくれ
夢見る花は六月の航路に乗り
遠くハワイに憬れるのだ
あした天気にな~れ
そよ風の空き地で子供の声がする
ムギナデシコの花びらが聞き耳を立て
一緒に遊ぼうよと 幸せ色で誘うのだ
バイバイ バイバイ
夕暮れはそこまで忍び寄っている
風も空き地も子供たちも「また明日・・・・」
火照った花びらがサヨナラを躊躇っている
今日も楽しかったよ また明日
遊び足りない童子が「あした天気にな~れ」
明日という言葉には何かが隠れている
ムギナデシコが吐き出すため息の痕跡か
郊外の野原にキセキレイの声がひびく
ピピッピーッピピッピーッ 花びらが震える
夕焼けの広場は みんなの広場
ピンクに染まった子供の顔に スキップする花と鳥
ムギナデシコは少し頭でっかちです。
だからムギナデシコは風が吹くと目を回します。
ムギナデシコはとても思慮深いのです。
だって点々模様に実線模様もあるのですから。
ムギナデシコはお洒落です。
ドレスはグラデュエーションなのですから。
ムギナデシコは健気です。
一年草だけど翌年も芽を出すのですから。
と、ムギナデシコが申しておりました。
ご紹介いただき、ムギナデシコに成り代わりお礼言上申しあげます。
か細い花茎に頭でっかちの花、風が吹くと目を回すこともあるんだなと愉快になりました。
花びらに現れた点線と実線の奇抜な模様・・・・お洒落なグラデュエーションと健気な気質、なるほどムギナデシコさんの呟きはいちいち頷けるものです。
声無き声をお届けいただき、この花に対する愛着がいっそう深まった感じです。
本当にありがとうございました。
ムギナデシコ
なんてかわいい花でしょう
ゆらゆらと風にそよぐ姿は
遊び足りない
子供たちの余韻でしょうか?
日が暮れても
ゆらゆらと明日の元気に
続くのでしょうね
メディアでは
嫌な話題が続く中
安らぎを与えていただきました
ムギナデシコの花は、塚越さんの画像で初めて見たのですが、造形的にも花の心も風に乗って空に泳ぎだそうとしているように見えました。
あたかも無邪気な子供のようで、空き地に集まる虫も鳥もみな呼応しているように思えるのです。
遊べないのは大人たち。・・・・憑かれたように敵意を掘り起こし、興奮することで自己証明したがっているようです。
ニュースは大波のように我らの頭上を通り過ぎて行きますが、当事者の胸中にあるものをできるだけ丁寧に推測する努力が求められている気がします。
夕方、「福は内、鬼は外」と子供の声がしておりました。
いつも温かいコメントをいただき、ありがとうございます。
おやすみなさい。