どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

ポエム260 『ツンツン思い出つくしんぼう』

2020-03-05 00:14:15 | ポエム

 

     土筆とスギナ

    (季節の花300)より

 

あの人は湘南に住んで

江の島の海を満喫していたな

えぼし(烏帽子)岩まで遠泳したり

こっそり素潜り漁をしたとも言っていた

 

漁業を営む人にとっても

漁業権をうんぬんするほどとは思えず

1、2匹モリで突いたのだろうが

遊び心を抑えられなかった口ぶりが懐かしい

 

杓子定規な生き方ではなく

呑み助特有のだらしなさもあったが

そこが魅力なのだと憧れをいだいた

多くの人に愛されたのも郁子なるかなと

 

海の男というだけではなく

山里にも親しい友がいたらしく

春になるとツクシ狩りに呼ばれるんだと

自慢げに話してくれたものだ

 

とどのつまり網の上でツクシをあぶり

たまり醤油につけて酒の肴にする目的だが

土筆パーティーと呼ぶ呼び名が羨ましくて

彼らの酒盛りに参加した気分になったものだ

 

家の近くの土手でふとツクシをみつけ

今は亡き友人の口ひげを懐かしむ

焼いた土筆に醤油をつけて口に運ぶと

髭もないのにプーンと香る胞子が唇を擽るのだ

 


コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« どうぶつ・ティータイム(242... | トップ | ポエム261 『サクラ狂う』 »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
自由人の鏡・・・ (tienetuoyaji )
2020-03-05 11:47:08
Kさんこそ本当の意味での”自由人”だったかもしれませんね。
自然を愛し、音楽を愛し、人を愛し、飄々と生きた・・・ときに気のおけない仲間でふらりと小さな旅に出たねー
いい時代だった
返信する
佳き哉 (tadaoc)
2020-03-05 15:32:06
(tienetuoyaji )様、自由人と呼ぶにふさわしい人だったですね。
ときどき思い出しては、佳き人生だったなあと羨ましく思うと同時に、平々凡々ながら我らが日々も佳き哉と反芻するところです。
返信する

コメントを投稿

ポエム」カテゴリの最新記事