どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

どうぶつ・ティータイム(212) 『夏の畑は最後のにぎわい』

2018-08-06 00:00:02 | エッセイ

 

     猛暑にひび割れも

 

 数日間ルス(スルーという感覚)して帰ってみると、青かったトマトがいっせいに赤くなっていた。

 わんさか枝を広げたトマトは奔放に実を付けていて、目の高さから地面すれすれまでどこから捥いでいいのか迷うほどだ。

 緑の葉っぱの陰から、見つけて~と声を上げるものもいる。

 毎夕水やりをしていたのに、急にほっぽらかしにされて、トマトの皮にひび割れが生じていた。

 もともと南米アンデス地方が原産地だから、暑さや日照りに強いと聞いていたが、このところの猛暑はやはり堪えたにちがいない。

 

 キュウリも適当な時期に採ってやれなかったから、ちょっとひねこびてしまった。

 皮も硬そうに見えるが、果たしてどんな味か。

 それにしても、植物はがんばりやだなあ。

 たくさんの収穫をもたらしてくれたキュウリやトマトだが、しだいに枯れかけた葉も目立つようになった。

 猛暑はまだ衰えそうもないが、畑の仲間はそろそろ終わりが近いことを予感しているのかもしれない。

 ご苦労さん、ご苦労さん。

 目には見えないが、人間を見守ってくれているものの気配を感じる。

 みんな、前向きにしっかり生きようぜと、励ましてくれているようだ。

 草いきれする家庭菜園の日々が、ことのほかありがたく感じられた。

 

          (おわり) 

 

  

   

 

 

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4 コメント

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夏野菜 (iwadonosansou2 いわどの山荘主人)
2018-08-06 05:33:19
定年後の趣味の野菜作りが高じて直売小屋までに発展してしまったのです。
ことしのトマト栽培は勢いがよかった当初に比べて7月の後半は急に元気がなくなりました。
去年は8月いっぱい実を付けてくれていたのに・・、
これが暑さがこれから恒常化することになれば農法の仕方も考えなければと思ってます。
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野菜の直売所は息ぬく暇なし? (tadaox)
2018-08-06 20:17:10
(iwadonosansou2 いわどの山荘主人)様、今日も暑かったですね。
蒸し暑さに参りました。

長年、野菜の直売所を開いてきた経験から、今夏の署さはどうだったのか知りたいと思っていました。
6月末から気温が高かったので、トマトは早めに生育してしまったようですね。

お客さんは毎日期待して来てくれるでしょうから、それに応える気配りなどもあるでしょう。
どんなに暑くとも、息ぬく暇なし・・・・。

温暖化というより熱波の襲来、これからの農法はよほど研究しないと負けちゃいますね。
興味深いエピソード、ありがとうございました。
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最後のにぎわい (ウォーク更家)
2018-08-27 12:53:05
我が家の”猫の額”菜園も、野菜の枯れかけた葉が目立つようになり、いよいよ最後のにぎわいです。

そうですか、トマトの皮にひび割れですか。

今年の猛暑は異常だったので、例年育っていた野菜がダメだったり、色々と異変がありました。

この猛暑を耐え抜いた野菜たちに対しては、ホントに、ご苦労さん、ご苦労さんという感じです。
返信する
野菜は人が頼り (tadaox)
2018-08-27 16:41:40
(ウォーク更家)さま、盛り返したこの暑さは殊のほか堪えます。
野菜たちにとっても経験したことのない暑さで、人間のサポートが必要なのかもしれませんね。

昔の飢饉が現実のものにならないとは、誰も言い切れない状況でしょう。
どこの国でも異常気象に見舞われていますから、輸入に頼っていると食料を求めて行列といったことになりかねませんよ。

ま、野菜たちは頑張って・・・・いますが。
ありがとうございました。
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