ムラサキツユクサ
(城跡ほっつき歩記)より
寝台列車でゴトゴトと
北を目指してひた走る
ときおり止まる駅の名は
車窓に映る夢の中
眠れぬままに目を閉じる
上段からはうめき声
見知らぬ男の人生は
いまの俺にはうっとうしい
そっとしといてと書き置いて
ユウコはどこへ消えたのか
残されたのはアパートの
窓辺にたたずむムラサキツユクサ
花が欲しいと買い物の
ついでにもとめた鉢ひとつ
ユウコが提げるビニール袋に
笑顔を二つ忍ばせて
通信不能の不安を胸に
心当たりをさがす旅
まずは南部の実家を訪ね
去った気持ちを聞きたい、と
娘はいねえどと母親の
顔色察して引き下がる
都会の男は甲斐性なしと
もらしたホンネに理由を知り
ユウコがそれを望むなら
未練を断つのが男だと
昼の列車の固い席
腰のつらさと二人連れ
ウニ弁当を開くとき
なぜか悲しい思い出が
俺の歩みを包んで染めて
振り切る決意を鈍らせる
車内販売のワゴン車が
注いで渡した紙コップ
ブラック珈琲を啜るたび
別れの味がほろ苦い
うえの~うえの~のマイクの声が
一つの帰着を知らしめる
ガタンと止まった降り口の
渦巻く熱波に涙も乾き
何十年を経て住む庭で
とつぜん疼く胸の澱
好きほうだいに野花は咲くが
とりわけ目立つムラサキツユクサ
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私は演歌大好き。
この猛暑じゃあまり実感がわきませんが、ちょっと湿度の多いこの風土にはお似合いですねー
年取るとふとした瞬間になぜか若い時の、その時は傷つけたことさえ気づかなかったあの人の顔が思い出されたりして・・・今頃どこでどんな暮らしをしているのかなあーと
なんだろうね。気の弱りかな。
脈絡もなくそんなことを思い出すのは。
でも、そういうのもないよりはあったほうが人生の彩どりが豊かになるんだろうね。
今夜好きな演歌を聴いてみるかな
あと数時間で13号が近づくとは思えない静けさの中で・・・・。
歳取ると後ろを振り返ることが多くなるのは当然かも。でも、前を見てないわけではないんですよね、お互いに。
誰もの経験の中にある演歌の素を、少しずつ引っ張り出して作品になればいい。
人生の味の素と感じてもらえるかどうか。
ところで、どの程度の風雨を連れてくるんだろうな、この台風。
進路予測の進化が、もっと細かい被害予測につながれば助かるのですが。