どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

むかしの詩集とフォト日記(10) 「黄金バット」

2010-12-22 00:26:33 | ポエム

    ゴールデンバット(昭和年代)  ゴールデンバット(現在)



       「黄金バット」



  ピースを喫う俺たちの目は

  消えかかった火の色をしている



  ゴールデンバットが好きな父は

  燃えさかる焚火の目をしていた



  古い日記によると

  父は大菩薩峠の野猿を訪ね

  その倫理観を訊いた

  ボス猿は<情熱>と答えた

  調査票には抗争が列記してある



  最近の情報では

  ほぼ六十九年周期で大地震が起こるそうだ

  戦争にも二十年周期説があった



  1940年代

  日本男児の誕生を祝して

  しきりに花火が打ち上げられた



  ねんねこの中でそれを聞いた俺たちは

  無邪気さを装うのが得だと計算した

  提灯だ日の丸だと騒ぐ父が

  何も知らずに笑いかけた



  父よ裏切りを許せ!

  子のために開拓者となったあなたを

  否定しなければならぬ



  激動の昭和は終わった

  いま新たな混沌を迎え

  再び黄金バットの高笑いが聴こえる



  紙芝居・・・・

  テレビジョン・・・・

  正義の味方はいつも男の胸の中で生き延びる



  専売公社も名を変えて生き延びた

  JTからの提言

  <ピースからゴールデンバットへ>



  我慢できずに叫ぶ者がいる

  <平和からゴールデンバッドへ・・・・>

  <ピースから大惨事世界大戦へ・・・・>






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4 コメント

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読み応えごたえある散文詩 (くりたえいじ)
2010-12-23 12:11:37
スケールの壮大な散文詩。
主役にゴールデンバットとピースに置いて、昭和から平成の世界を駆け抜けるといった感じ。

昭和の戦後、ゴールデンバットは1箱20本で30円、ピースは10本入りで40円。
そして、あれを吸う人、これを吸う人とは、人種がはっきりと分かれていたように思います。

しかし、「黄金バット」の詩の世界は、そんなことにはこだわっていない。
もっと問題点を孕んでいたことを示唆しています。

読み応えがありましたよ。
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思い出しました (窪庭忠男)
2010-12-24 00:46:12
(丑の戯言)様、ゴールデンバットとピースの値段をよく覚えてましたね。
値段のみならず一箱の本数まで。そして、それぞれの愛煙家の身分・生活レベルも確かにおっしゃるとおりでした。
   
タバコ談義のついでに、小生『いこい』の味に曰く言い難い愛着を持っていましたので、他の方はどうだったかと・・・・。
   
禁煙後30年を経て、なお脳内に残る妖しい記憶です。
返信する
懐かしいタバコ群 (くりたえいじ)
2010-12-26 12:43:30
補足させていただきます。
そう、後発の大衆的たばこ(?)に〈いこい〉があったのを思い出しました。〈ゴールデンバット〉、〈しんせい〉の一段上に位置するもので、二十本入り四十円でしたっけ?
そのあと、黄色い箱の〈パール〉が出て、ぼくは長年、愛飲してました。
さらに〈富士〉なんていう高級品も出てきたんでしたっけ。太くて硬巻きで、たまに吸いました。
JTになる前の専売公社の爛熟時代だったのでしょう。今や懐かしいタバコ群が思い出されますね。
本文からかけ離れたことを書いてスイマセン。
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尽きませんね (窪庭忠男)
2010-12-27 15:09:45
   
補足ありがとうございます。
タバコの洗礼を受けた頃は、ほかに「光」という強力な銘柄があり、頭がくらくらした覚えがあります。
   
丑さんが愛用したという「パール」「富士」も何度か吸ったことがありますが、「ピース」と「ホープ」が両切りたばこの双璧だったような気がします。
     
フィルターが付くようになって、男はヤワになりました。
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