ゴールデンバット(昭和年代) ゴールデンバット(現在)
「黄金バット」
ピースを喫う俺たちの目は
消えかかった火の色をしている
ゴールデンバットが好きな父は
燃えさかる焚火の目をしていた
古い日記によると
父は大菩薩峠の野猿を訪ね
その倫理観を訊いた
ボス猿は<情熱>と答えた
調査票には抗争が列記してある
最近の情報では
ほぼ六十九年周期で大地震が起こるそうだ
戦争にも二十年周期説があった
1940年代
日本男児の誕生を祝して
しきりに花火が打ち上げられた
ねんねこの中でそれを聞いた俺たちは
無邪気さを装うのが得だと計算した
提灯だ日の丸だと騒ぐ父が
何も知らずに笑いかけた
父よ裏切りを許せ!
子のために開拓者となったあなたを
否定しなければならぬ
激動の昭和は終わった
いま新たな混沌を迎え
再び黄金バットの高笑いが聴こえる
紙芝居・・・・
テレビジョン・・・・
正義の味方はいつも男の胸の中で生き延びる
専売公社も名を変えて生き延びた
JTからの提言
<ピースからゴールデンバットへ>
我慢できずに叫ぶ者がいる
<平和からゴールデンバッドへ・・・・>
<ピースから大惨事世界大戦へ・・・・>
主役にゴールデンバットとピースに置いて、昭和から平成の世界を駆け抜けるといった感じ。
昭和の戦後、ゴールデンバットは1箱20本で30円、ピースは10本入りで40円。
そして、あれを吸う人、これを吸う人とは、人種がはっきりと分かれていたように思います。
しかし、「黄金バット」の詩の世界は、そんなことにはこだわっていない。
もっと問題点を孕んでいたことを示唆しています。
読み応えがありましたよ。
値段のみならず一箱の本数まで。そして、それぞれの愛煙家の身分・生活レベルも確かにおっしゃるとおりでした。
タバコ談義のついでに、小生『いこい』の味に曰く言い難い愛着を持っていましたので、他の方はどうだったかと・・・・。
禁煙後30年を経て、なお脳内に残る妖しい記憶です。
そう、後発の大衆的たばこ(?)に〈いこい〉があったのを思い出しました。〈ゴールデンバット〉、〈しんせい〉の一段上に位置するもので、二十本入り四十円でしたっけ?
そのあと、黄色い箱の〈パール〉が出て、ぼくは長年、愛飲してました。
さらに〈富士〉なんていう高級品も出てきたんでしたっけ。太くて硬巻きで、たまに吸いました。
JTになる前の専売公社の爛熟時代だったのでしょう。今や懐かしいタバコ群が思い出されますね。
本文からかけ離れたことを書いてスイマセン。
補足ありがとうございます。
タバコの洗礼を受けた頃は、ほかに「光」という強力な銘柄があり、頭がくらくらした覚えがあります。
丑さんが愛用したという「パール」「富士」も何度か吸ったことがありますが、「ピース」と「ホープ」が両切りたばこの双璧だったような気がします。
フィルターが付くようになって、男はヤワになりました。