どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

ポエム05 『露草の花』

2012-09-07 00:35:10 | ポエム


      ツユクサ 

      (城跡ほっつき歩記)より

 

 

あの青色はどこから手に入れたのか
はるばると旅をして トルコで見つけてきたのか
若い娘の指から盗んできたのか


土耳古石なら満更でもないが
あの透き通る青には 空の匂いがする
あるいは 女神の湖から掬いとってきたのだろうか


日陰でもめげない露草よ
疲れた老人にエキスを与えよ
たくわえた滴で 衰えた眼を潤せ


この世には人声が満ちすぎている
巷という巷では 声高な主張が火花のようにスパークする
止まれ 黙れ 静思せよ


十九世紀の哲学者のように
思考のレンズを持って
知の道を歩こうじゃないか


癒しのための小鍋に露草を浮かべ
ふつふつと煮詰めてみるのもいいだろう
飲めば 青いエキスが喉をくすぐる


なにげない神秘の花 ツユクサ
癒しの薬草 つゆくさ
露草の透き通った青が 体内を血となってめぐりはじめる

    



 
  


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6 コメント

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植物の不思議 (窪庭忠男)
2012-09-08 01:39:15
(小頭@和平)様、いろいろな野草や草花を観察していると、いつの間にかその住環境に変化が生じていることに気づくのでしょうね。

人間が主役と思い込んでいるだけで、日ごろ目立たぬ野草の姿に触れたときなど、小なるものの不思議と偉大さに瞠目させられるようです。

今回もまた貴重な画像を使わせていただき、ありがとうございました。
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感謝 (小頭@和平)
2012-09-07 22:27:09
いつも素敵なポエムとともに画像をご利用、ご紹介いただき、恐縮しております。

植物図鑑などによりますと、露草は本来水田の脇などの水気の多い土地に生育するとされているようですが、この画像のについては自宅(半世紀前までは武蔵野台地上の平地林でした)の玄関脇で生育していたものを撮影したものです。

数年前までは全くと言ってよいほどその姿を見せることはありませんでしたが、おそらくは床下の湿気を排気する関係で次第に良好な生育環境となってきているようです(笑)
なお今朝がたも朝のゴミ出しの際に観察いたしましたところ、その葉にはキラキラと輝く小さな朝露をのせておりました。

また、このような拙画像にコメントをいただいた皆様にも、この場をお借りいたしまして御礼を申し上げます。
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清楚な女の子・・・・ (窪庭忠男)
2012-09-07 21:21:26
(丑の戯言)さん、露草の花には清楚という言葉がぴったりですね。

さらに母親が作ってくれた衣装をまとい、キラキラと輝く女の子がそこにいる・・・・やさしい丑さんの姿が目に浮かびます。

「さあ、どこかへ出かけて露草に会いに行きましょう」
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譬えようのないブルーの美しさ (窪庭忠男)
2012-09-07 21:03:22
(知恵熱おやじ)さんの想像通り、(小頭@和平)さんの植物図鑑の画像を見て心を動かされました。

素敵な写真は、日々の仕事の合間に撮ったもののようで、商業写真とちがった息遣いをともなって訴えかけてくるのです。

<花びらを透過する逆光のブルーの美しいこと>・・・・画像の提供者にとって、この上ない評言ではないかと想像し、小生もうれしくなりました。

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清楚な女の子 (丑の戯言)
2012-09-07 13:28:20
この世で最も小さい花とも思える露草の花。
それを見詰めていると、こんな詩が立ちのぼってくるのでしょうか。

そして、それき愛情に満ちているようです。
最も目立たないような花でも、じっと眺めていると、そんな心、そんな詩が生まれてきたのでしょうか。

余分な私的感想ですが、露草の花からは清楚な女の子を思い浮かべます。
愛情豊かな母親が作ってくれた衣装をまとい、歓びをキラキラと輝かせいる感じです。

さあ、どこかへ出掛けて露草に会いに行きたくなりました
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一枚の写真から・・・ (知恵熱おやじ)
2012-09-07 07:09:54
この一枚の写真と出遭って、窪庭さんの心とスパークを起こし生まれたポエムなのでしょうか。

花びらを透過する逆光のブルーの美しいこと。
そして私のような鈍感な野暮天でも夢見心地にさせられるような青を、言葉で紡ぎだした詩。

ずいぶん以前、曽野綾子の小説に『天上の青』というのがありましたっけ。実際に存在した凶悪な犯罪者大久保某をモデルにした作品ですが、垣根に咲く美しい朝顔の青が人を悪に駆り立てたように受け取って読んだことを思い出しました。

この世のものとは思えないような美に遭遇するとき、人の心と肉体には理性を越えた邪悪な何かが芽生え暴走させるのかも。そんなことを思わせる詩と写真でした。
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