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(城跡ほっつき歩記)より
秋も深まったこの季節に
ポッポと咲きいずる秋明菊
事件の多い年だったから
七歳の少女のようにいたいげだ
菊の花には似てないけれど
もらった名前はシュウメイギク
花言葉は「薄れゆく愛」「耐え忍ぶ愛」
少女のはずが艶めかしい
行方不明になるなよ秋明菊よ
遥か昔に日本にやってきて
この風土に根付いた帰化植物は
ヒマラヤ辺りから連れてこられたと聞く
生まれた国では何と呼ばれていたのか
生んだ母親は元の名を呟くのみ
連れてこられた場所ではキクと呼ぶのだが
忍び泣く声が秋を震わすのだ
「つらい」 秋はこんなに辛い季節だったのか
秋明菊の白い花は悲しみの色
ポッポと咲きいずる花はどこか痛々しい
無邪気に帰化して命を長らえてくれ
キクとして愛でられていても
お母さんはヒマラヤで待ちつづけている
いつの日か故郷に帰る日が来るだろう
人生は不条理だが見捨てない星もあるのだ
地球が創った奇跡のような生命
生命の一つひとつに刻まれたDNA
たとえ帰化してもヒマラヤの記憶は拭えない
希望という星がある限り母の胸に抱かれる日は近い
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