どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

ポエム140 『カタクリは宇宙の鏡』

2016-11-14 00:19:16 | ポエム

 

     カタクリ

    (城跡ほっつき歩記)より

 

  

カタクリは地上のスティーヴン・ホーキング

天窓をみつめて宇宙の夢を見つづける

夜が明けると周りは緑の渦に囲まれ

彼を支える家族や友人が漂流しはじめるのだ

 

カタクリの葉のまだらは星雲の妖しさ

始まりも終わりも見定められない時間の概念に

ホーキングは時空の特異点をピン留めした

あらゆる真理は卓越した仮説によって覆される

 

カタクリの花は内気そうに下を向いているが

実はお茶目で好奇心のかたまりなのだ

友人の誰よりも早く女の子をゲットし

むらさきのマントで気を引く伊達男になる

 

人は証明できない理屈に可能性を視る

科学者は侮辱するか熱烈な信奉者のどちらか

ホーキングは幸運にも天才に位置づけられ

ケンブリッジを空の高みにまで押し上げる

 

筋萎縮症もジェーンの献身も暗黒の中の輝き

ブラックホールから漏れ出す光こそ宇宙の謎

カタクリの地下茎が良質のでん粉を産むように

神は人知れず始まりを創造したのかもしれない

 

神は天の支配者という前提がいやなんだ

ホーキングだからこそビッグ・バン理論がよく似合う

宇宙のすべてを説明するたった一つの方程式を

そろそろ見つけなければならないが・・・・

 

カタクリは地上のスティーヴン・ホーキング

博士を支えるたおやかな献身が重力に撓う

等しく美しいふたりの女性は聡明すぎはしないか

愛の姿はたった一つの方程式で証明できるのだろうか

  

 

  

<参考>=『博士と彼女のセオリー』は、 2014年にイギリスで製作された伝記映画で、理論物理学者のスティーヴン・ホーキング 博士と彼の元妻であるジェーン・ホーキングの愛の物語でもある。

 

 


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