あちこちで野焼きのニュースが報じられている。野焼きで想い出すことに、田舎の茅場焼きがある。当時は茅葺き屋根が当たり前であった。従って、わが家では専用の茅場を持っていた。質の良い茅を育てるには、今頃茅場を焼くのである。
父の判断では、風の無い夕刻、近所の子ども達をも動員して茅場に向かい火を放つのである。1ヘクタールほどの広さでもあっという間に燃えてしまうが、春先の愉しい行事の一つであった。その様は、赤々と燃える炎と伴に脳裏に浮かぶ。今ではトタン葺きで、茅場はすっかり荒れてしまっていて当時の面影はない。