
国立ロシア美術館はレニングラード(現サンクトペテルブルク)に100年ほど前にニコライ2世により建てられ、ロシアの美術史を総括する民族的至宝といわれる絵画や彫刻など40万点のコレクションを誇ります。今回はその中から101点の作品を体系的に展示した、ロシア美術展としては我が国で初めての大規模なものということです。
ヨーロッパの美術の潮流と呼応するものではあると想うのですが、古典派やロマン派の絵画という時代の中で、やはりロシア特有の大地や風景を描いたものや、後に10月革命に繋がる激動の20世紀を予感させる貧しい社会現実を告発するものなど、その時代や人々の生活がとても幅広く集められています。荒れ狂う海波に翻弄される帆船を描いた想像力豊かな作品は、やはり社会の動乱の渦中にあって生きて闘い続ける名も無き人々の姿を彷彿とさせます。
会場に入り初めの展示が『クレムリン宮殿から望むモスクワの風景』ですが、微細に描かれた宮殿内部の自然公園的な発想のゾーンが、現代都市の住環境のスタイルに通じるところもあり面白く感じました。また著名な画家の美しい娘を描いた肖像画も、全体から父親の溢れる慈しみや娘の内面性が伝わってくる思いがしました‥‥。
最後にご一緒した皆さんとミュージアムに併設の『カフェ・ソラーレ』に行き、大阪ベイに沈む冬の夕陽を眺めながら、少し疲れた身体にガトーショコラ&コーヒーを美味しく頂きました。