昨日の記事でiPhone 4Sの発表のことを書いたばかりでしたが、アップルのCEOだったスティーブ・ジョブズ氏が5日死去したことが報じられました。8月24日にCEOを辞任し取締役会長に退いていたことで、健康状態への懸念が噂されていましたがそれがいよいよ現実となりました。
20年近く前に当時勤めていたデザイン事務所で、新たなデザイン・ツールとしてマッキントッシュを使い始めて以来、ずっと愛用のパソコンとしてデザイン・ワークはもちろんのこと、最近では音楽活動の頼りになるパートナーとしていつも僕の横にありました。アップルの創業者としてGUI(マウス方式)という優れた操作法のパソコンをいち早く商品化したり、アップルの経営から離れていた時期にも後のMacやiPhone・iPadなどのOSの元になる先進的なシステムを開発し、また現在の音楽やアニメーションなどエンターテイメント分野にも大きなIT変革を与えたカリスマ経営者でした。
またジョブズ氏といえば新商品をプレゼテーションする度にそのステージが話題となりましたが、新商品紹介の演出効果の細部に常にこだわるなど、同社の個性的なCMと同様にクリエイティブでセンセーショナルな印象を与えるものでした。自分の声でユーザーに直接語りかけるジョブズ氏のスタイルを、今ではソフトバンクの孫社長や日産のカルロスゴーンCEOなど多くの世界中の経営者が参考にしています。
毎月愛読している『マックピープル』の3つの連載コラムでも期せずしてこの訃報を予想していたように、そのテーマがジョブズ氏退任後のアップルとMac(そして世界の)未来というものでした。世界をリードする商品とサービス開発の陣頭指揮に立っていたその未来ビジョンが、どのように後継者たちに残され受け継がれていくのかが今後注目されます。
※ スタンフォード大学の卒業式でのスティーブ・ジョブズ氏のスピーチ(2005)