★さちゅりこん――渡邊史郎と縦塗横抹

世界が矛盾的自己同一的形成として、現在において過去と未来とが一となるという時、我々は反省的である。(西田幾多郎)

日本灼熱沈没

2018-07-23 23:19:46 | 文学


「この作品は完全なるフィクションであり、いかなる実在の人物、事件もモデルにしていない」

ではすまないのであった。

中上健次が昔、『解体される場所』という討論会で、吉本隆明が「あちらの安いモンが入ってきたら日本の農家はやる。[…]日本の農家の方がカルフォルニア米よりも旨いのをつくる」というので、「オレンジとミカンだったらミカンの方が食いやすい」「オレンジなんてどうやって食うの?」とか言っていたが、わたくしは案外オレンジも旨いと思う。たぶん中上は嘘を言ったのだ。フィクションを守ろうとしたのである。

それにしても、やつらは愛国心が足りなかったなとか思ってしまったのは、この暑さのせいであろう。また、食べ物の話題となると急におかしな夢想的な何かがわたくしの頭に入り込むのも事実である。