伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年に続き2023年も目標達成!

わたし、定時で帰ります。1~3

2024-05-31 01:35:08 | 小説
 企業のウェブサイトの構築・運営の請負を主要な業務とする会社ネットヒーローズに入社して10年32歳の制作部員東山結衣が、定時で帰ることを心がけ実践しつつ、中間管理職としてみんなが定時で帰れる会社にしようと奮闘するお仕事小説。
 会社の業績を上げ評価されたいために時間無制限で働こうとするワーカホリック、無茶な要求を続け際限ないサービスを要求する顧客企業、勤務時間中サボって必要もない残業をして残業代を稼ぐ従業員など、時間外労働削減の障害となる原因を挙げて問題提起をしています。しかし、この作品では、社長が幹部職員が健康を害したことから時間外労働削減を提唱し、採用面接で定時帰宅を宣言した東山結衣を採用し、さらには定時帰りをする女性管理職をロールモデルとして広報に利用するという設定で、東山結衣の姿勢が公式には(表向きは)会社のトップが支持していることになっています。それでもなおさまざまな社内事情で東山結衣は苦戦を続けることになるのですが、読者にとっては自分と同様の境遇とは感じにくいでしょうし、ふつうには考えにくいくらい恵まれた条件でなおこんなに苦戦するというなら自分も闘えるというようには感じにくいのではないかと思ってしまいます。そして経営トップは悪者にしないでおこうというスタンスには、私はやはり馴染めません。


朱野帰子 新潮文庫
わたし、定時で帰ります。 2019年2月1日発行(単行本は2018年3月)
わたし、定時で帰ります。2 打倒!パワハラ企業編 2021年3月1日発行(単行本は2019年3月)
わたし、定時で帰ります。3 仁義なき賃上げ闘争編 2023年12月1日発行(単行本は2021年4月)


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