Fsの独り言・つぶやき

1951年生。2012年3月定年、仕事を退く。俳句、写真、美術館巡り、クラシック音楽等自由気儘に綴る。労組退職者会役員。

旅について

2011年09月07日 21時06分59秒 | 日記風&ささやかな思索・批評
 旅について赤坂憲雄は「幾通りかの旅がある。風景に触れるだけの旅があり、あらかじめ存在する先入観を壊したり、再認するための旅があり、さらには、足を止めてそこに暮らす人々の話に耳を傾け、メモを取り、思念を揺らしめらす旅がある」(東北学/忘れられた東北)と述べている。
 私はこんな立派なことは書けない。しかも私は口下手だし、メモを取るのも好きではない。だから風景に触れるだけの旅ばかりしているといわれるとそうかもしれない。しかし私は旅の手段についてこだわりがある。歩くことである。
 私は旅が好きで、しかも歩くことが好きだ。めったにない他都市への出張でも、気ままな旅でも行った先では時間の許す限り歩くことにしている。市街地での電車で一駅、バス停3つ位ならば歩くことにしている。
 歩いてばかりはいられないので当然電車かバスかタクシーかであろうが、私は躊躇なくまずは電車を選択する。それがなければやむなくバスだ。タクシー・乗用車はできるだけ避ける。そうしないと方向感覚がなくなるだけでなく、街の風景を楽しむことができない。
 大都市といわれる政令指定都市でも、いわゆる地方都市でも、チェーン店を除き古い商店には都市によって微妙に作りや雰囲気が違う。これといって指摘はできない場合があるのだが‥。特に老舗や建物が古い場合、屋根のつくり、瓦の色艶、屋号のつくり、門構え、店名の描き方、商品の陳列の仕方など違いがある。古い住宅に限らず新しい住宅地でも門構え、玄関のつくりなど微妙に違いがある。
同時に都市の景観はどんな具合か、その都市のランドマークは何か、町全体の勾配や水の流れはどうなっているか、丘と平野部や河川と都市の景観の関係はどうか、などが頭を駆け巡る。
 当然雪のあるなし、降水量の違い、風の強弱など風土の差は当然だがそれ以外の何かを感じることがある。それが何なのか、その場で頷ける場合もあるし、判らないまま忘れてしまうことのほうが多い。それでもせめて観察することは忘れない。直近の旅での経験と比べてどうか、横浜と比べてどうかということは忘れないようにしている。
 それが歩くときや、電車の車外を眺めるときの楽しみである。