先日届いた岩波書店の「図書8月号」を忘れていた。本日はリュックを軽くすることも考えてこれを持参で出かけた。
横浜駅近くのオフィス街にあるいつもの喫茶店まで歩いた。猛暑の予想であったが、33.9℃と少しばかり低い最高気温。別に涼しく感じたわけではないが、喫茶店では眠気に襲われなかった。そして暑い季節のウォーキングのあとは短い文章のほうがいい。
本日目を通したのは、次の10編。
・【表紙】ああ、あの美しかった川は 加藤清允
・哲学の真剣勝負 野矢茂樹
・「もはやない」状況と「まだない」状況 酒寄進一
「私たちが生きている今は「まだ1928年ではない」のか、それとも「もはや1928年ではない」のか、どちらだろう。私は今を「無為に過ごし、ケストナーのように「焚書」に立ち会いたくはないと切実に思う。」
・物語を語らぬ絵本 木下眞穂
「「戦争は、自分がどこて怖れられ、歓迎されるのかを、よくわかっている」「戦争は、何も知らない人たちの柔らかな夢に入り込む」――。『戦争は、』の一文一文すべてが、今の状況をなぞっていることに戦慄を覚える。」
・女性落語家増加作戦 柳亭こみち
・プッチーニが聴いた「越後獅子」 桂小すみ
・ウンガレッティの“俳句”と感性 ディエゴ・マルティーナ
・反対語から考えを深める 塩瀬隆之
「「平和の反対語は?」と尋ねられたら、何という言葉を思い浮かべますか?最初にうかぶ言葉の一つは「戦争」ではないでしょうか。しかし、私達戦争を直接に経験していない世代は、戦争についてちゃんと理解できているとは言い難い。・・そう考えると実は私たちは平和というものを考える土台を、そもそもちゃんともっていないのではないでしょうか。」
・世の中疎む? 親しむ燈火なのよ 前田恭二
・船戸与一さんの場合 山田裕樹
最近、この図書の各編の論点が私の思いと少しかけ離れていると思えるものが多くなっているように感じる。少しばかり期待しすぎる点や、素直に読めない論稿が多くなっている。時代への対処の仕方や、状況への判断にズレが生じているのかもしれない。刺激が少なくなっているという言い方が当たっているかもしれない。
ただし、もうしばらくは読み続けてみたいとは思う。