酒井抱一の作品が見たくなって、山種美術館で購入した「琳派と秋の彩り」(2015年)展の図録をめくってみた。秋の植物と月を配した作品が3点あるが、「秋草鶉図」に当時は一番惹かれた。黒く変色した月はもともと銀であったために黒く変色している。銀の色を想像しながら見ると、描かれた秋草が浮き上がってくるのではないかと思う。
制作年は特定できていないようだ。秋草の根元に身を寄せる鶉も印象的である。鶉が夜に活動するのか、わからないが、銀の月に照らされる鶉のぬくもりと毛並みが、秋の草草に溶け込んでいるように伝わってくる。
東京国立博物館にある、「夏秋草図屏風」が有名で私も気に入っているが、この作品もまた忘れがたい。
一点気になったのでコメント失礼します。
月ですが銀ではなく、始めから黒く塗ったと考えられているようです。他を明るく月を黒くし、明暗を反転させ夜を表現したなんて、酒井抱一は凄いと思います。
銀箔ではなく初めから黒ですか。
私にはちょっと興覚めなお話しですね。
こんど山種美術館に行きましたら、学芸員の方に確認したいと思います。