ようやく「スペイン史10講」(立石博高、岩波新書)を読み終わった。教科書的な通史は、本当はもっと以前に読んでおくべきであったと思うが、致し方ない。
特にフランコ以降の歴史についてはほとんど知らないに等しく、また現状についても伝わってくる報道はあまりない。
筆者が最後にしるしているスペインの今後についてのまとめは覚書として、記しておきたい。
「いまやスペインは自治州国家体制を城、事実婚や同性婚を認めるなどヨーロッパ諸国の中でもマイノリティ保護の厚さを誇る民主主義国家となっている。しかし、さまざまな問題を抱えているのも事実である。」
「スペインにおけるフランコ主義の残存が云々されることがある。しかしナショナル・カトリシズムを基軸としたフランコしゅきぱ、もはや社会的影響力をもちない。「カトリック・スペイン」は各地のに凝る協会の多さから抱きやすいイメージだが、実際にミサに通うカトリック信者の数はここ民の二割に過ぎない。右翼的ナショナリズムの台頭は、現代の問題として分析されなければならない。」
「自治州国家体制のあり方も揺らいでいる。歴史的自治州が自治権限を強化するなかで、自治州間の相違は憲法改正の是非を含めて議論しなくてはならないだろう。‥歴史的自治州内部もまた均質的ではなく、言語権を含めて固有言語話者以外の人々の諸権利に関する議論も必要だろう。」
「歴史的記憶法についても課題がある。内戦と独裁期に行われた弾圧や不当行為の実態ははっきりしない。独裁期の反人権行為を歴史的事実として暴くことは、民主主義の徹底にとって不可欠である。‥しかし反乱軍支持者を極右ファシストとして描くだけでは十分ではない。」