Fsの独り言・つぶやき

1951年生。2012年3月定年、仕事を退く。俳句、写真、美術館巡り、クラシック音楽等自由気儘に綴る。労組退職者会役員。

「湘南幻想美術館」 その3

2024年04月26日 22時39分17秒 | 芸術作品鑑賞・博物館・講座・音楽会等

   

 本日は「湘南幻想美術館」(太田治子)から8編に目をとおした。
 目をとおした中で、一番惹かれた作品はどれか、と言われたらちょっと困ってしまう。



 あえて云えばルネ・マグリットの「王様の美術館」であろうか。このマグリットの作品は、人物の形に層状の雲と手前から黒い森が切り取られている。夜空なのだろうか、青い空が現実離れしている。そして中央に建物が寂しげに立っている。表題からするとこれが美術館らしい。人物の顔は左右対称だが、人物の形に切り取られた風景は左右対称から少しずれ、背景の建物のバルコニーは丸い石が、左右対称を破戒している。左右対称からの微妙なズレが、不安定な現実を表象しているかのようである。太田治子の紡ぐ物語も過去の危うい非日常を生きる祖父の思い出であり、この絵の不安定な雰囲気を反映していると感じた。



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