メランコリア

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ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

『2001年宇宙の旅』

2007-12-31 23:55:55 | 映画
『2001年宇宙の旅』~2001: A Space Odyssey(1968)アメリカ/イギリス
製作・監督:スタンリー・キューブリック

デビッド・ボーマン船長:キア・デュリア
フランク・プール:ゲイリー・ロックウッド
ヘイウッド・フロイド博士:ウィリアム・シルベスター
HAL 9000(声):ダグラス・レイン
月を見るもの(ヒトザル):ダニエル・リクター
フロイドの娘:ビビアン・キューブリック

毎年、大体、年末年始は田舎に帰って、年越しは家族とのんびりコタツでTVを見ていることが多い。
父は早く寝てしまって、母と眠い目をこすりながら深夜まで、
年末特別ロードショーなんかでやってる、『風とともに去りぬ』とか観て泣いたりして。
今年も年越し特番っぽい映画を観て締めようって思って借りたのがこちら。
観たのは随分前(たぶん十数年前)だから、もうストーリーはほぼ忘れてた。

それでなくても象徴的な映像だけで進む今作を、劇場さながら部屋を真っ暗にして
観てたら、途中けっこー寝てしまって、戻したりしてたらさらに意味不明に
どこか見逃してましたか? いや、もともとそういう作品なんだろう。
哲学的かつ観念的で、映像美を楽しむタイプ。
冷たい無機質な美しさはキューブリックならでは。
全編にオーケストラの壮大なクラシックを使って、やたらもったいぶって、
ストーリーの進行が遅いから眠気を誘うけど、詳細にわたったリアルさは見事。

まず、宇宙の話なのに、いきなり人類の創世って、猿人シーンが20分もある。
初めて道具として使った骨が宇宙船に変わるシーンは有名。
月への移動がカンタンになり、そこでフシギな物体・モノリスを発見。
そこからさらに18ヶ月が過ぎて、木星探査に向かう宇宙船を動かす
完全無欠なコンピュータ・HAL9000が異常になり、乗組員を殺してしまう。
唯一、生き残ったデイブは、物体モノリスに遭遇。時空を超えて・・・

後半はセリフや、音すらない。説明ももちろんないから、何だか分からないうちにエンディングに。
最初と最後は音楽だけで真っ暗だし、途中にインターミッションとかも数分あったりして、
とにかくフツーの映画の型を完全に破ってる独自の世界。
そいえば今作って、有名なスターは使ってないし、ヒットしてすでにクラシックにすら
なっているのにも関わらず、出演者は無名のままだよね。

1968年の時点では、30年後はこんな感じ?って撮った2001年も、すでに6年前。
登場人物のファッションや、モダンアートみたいなインテリアや、カメラマンが
持ってるカメラ?などなど、当時考えうる想像の未来世界と実際を照らし合わせて観るのも一興。


こんな曲もあったね。モノリスつながり。
Monolith/T-Rex

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『男と女 II』

2007-12-31 17:58:09 | 映画
『男と女 II』~A MAN AND A WOMAN:20 YEARS LATER(1986)フランス
監督: クロード・ルルーシュ
出演: アヌーク・エーメ、ジャン=ルイ・トランティニャン、リシャール・ベリ、
エヴリーヌ・ブイックス、ニコール・ガルシア、フィリップ・ルロワ ほか

「映画に作者はいない。ただ、重労働と多少の奇跡があるだけだ~Pascal Jardin」

不朽の名作の続編て、正直、期待出来ない上に、20年という長い年月が経ってなぜ?
て疑問も残るけれども、これはヤラれたなって納得してしまう、とても魅力的な
「2人のその後」に仕上がっていた。
また、映画製作へのシニカルなオマージュすら含んで、さすがルルーシュってうなってしまう。

story
スクリプトガールだったアンヌはいまやプロデューサーとなっていて、
巨額をかけた作品が大コケになった窮地にいる。
女優になった娘から「劇場でジャン・ルイを見かけた」と聞いたとき、
ふと2人の昔の物語りを映画化したいと思いつき、ジャンに連絡をとる。
愛息アントワーヌは競艇のレーサーとなり、めでたく結婚。
その奥さんの妹と暮らしている(!)ジャンは、戸惑いながらもアンヌとの再会の喜びを噛みしめ、当時のことを思い出さずにはいられない2人。
でも、2人の関係に気づいたジャンの彼女は、砂漠のど真ん中でクルマの調整中に
「パリに帰りたい」と言い出し、間違った方向を教えた上に、水や食糧も捨てて、
2人で心中しようとはかる。

女の執念もコワイけど、あっさり昔の女に乗りかえちゃうジャンもどーかと思うよね
作品中でも言ってる通り、前回は夫の死後から間もなくて、アンヌの気持ちが揺れていたから、
その後、時を重ねて、ちょうど満ちたってことなのかな。
途中、途中に精神病棟から連続婦女暴行犯が脱走して、妻と子、裁判で助けてくれた判事?と
会うってゆうサスペンスもまじえてるから、単なる焼けぼっくいに火の話だけに終わらせてない。
それもまた、映画化してゆくって過程も面白いし。

こんな大人な恋愛もステキだな。
前作の名シーンをここぞってところで挟み込む演出もニクイ。
有名なテーマ曲も口笛のアレンジになってる。


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