メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

『壬生義士伝』(2002)

2009-12-23 17:58:39 | 映画
『壬生義士伝』(2002)
監督:滝田洋二郎 原作:浅田次郎
出演:中井貴一、佐藤浩一、中谷美紀、夏川結衣、伊藤英明、伊藤淳史、三宅裕司 ほか

何年か前、美容院で映画の話になって、それほど映画好きとも思えない男子スタッフから「これはおススメです!」と激押しされたのを思い出す。
気になってたはいたけど、今ほど時代劇にハマる前だったから「いつか」くらいにして保留していた。
幕末ものとしてMKさんの口にものぼったので、やっぱり観ることにしたら、
前作『壮烈新選組 幕末の動乱』と絶妙に話がつながった!(ナイス!!!
池田屋事件などで新撰組が公認の世直し軍団として鼻高々だった頃から、次第に倒幕の機運に押され散り散りとなるまで。
中井貴一、佐藤浩一を筆頭に、いずれも安心して見ていられる演技者ばかり。
それにしても、前作と比べて近藤勇のキャラが全然違う!まるで真逆です!驚×3000
清廉潔白な真の武士像から一転、牛肉鍋をかっ食らう悪代官みたいな人物になっちゃってて混乱します。。

story
明治。斉藤一は孫が風邪で熱を出したので町医者にみせる。
そこで昔ともに新撰組で戦った吉村貫一郎の写真を見つけ驚愕する。
当時、新撰組に新しく加わった南部藩出身の吉村は師範に抜擢された。
彼の田舎臭さとお国・家族自慢にウンザリする斉藤一。
吉村は金のためなら人がいやがる介錯もすすんでやり、周りからは「守銭奴」呼ばわりだが、それには深いワケがあった。
飢饉の上、下級侍の安月給では家族を食べさせることができず、最愛の妻しずも口べらしに自ら入水しようとして貫一郎に止められる。
脱藩は罪と知りつつ貫一郎は国を出て、新撰組に加わり、金を稼いでは家族に仕送りしていた。

不安定な政治情勢の下、伊東甲子太郎一派は離脱。吉村も誘われるが「二度も裏切れない」と固く断る。
斉藤はスパイとして伊東派に加わり、坂本龍馬が暗殺され、命を狙われるからと一緒に暮らしていた女ぬいとも別れる。
その後、斉藤は死に場所を求めて新撰組に戻るが、吉村からぬいが自害したことを知らされる。

大政奉還ののち、組は後ろ盾を失い、朝敵とされる。吉村は1人官軍に向かって突き進む。
鳥羽・伏見の戦いで吉村は瀕死の状態で同郷の親友だった大野次郎右衛門を頼るが、
「お前のために1国を犠牲には出来ない。お前も南部武士ならここで潔く腹を斬れ」と命じる。。


そもそも吉村って主人公からしてフィクションなのか。
大義名分よりも家族を食わせるために容赦なく人を斬った吉村もけして善人とは言えないが、これも時代か。
一方、なぜか常に絶望していて、死に場所を求めている斉藤は対照的。
なのに、早死にしたのは吉村で、斉藤は孫までいる生きながらえているのが皮肉。
吉村がなぜ死に急いだのか、なぜボロボロになってまで親友宅に逃れたかもイマイチよく分からなかった。

吉村のラストのシーンが長い長い! 人一人の命が消えるのだから自然だろうけど、映画としてはどうか。
今の映画ってリアリティばかり求めて、やたらと長いのが気になる。

100%時代劇だと思ってたから、明治から始まって意外だった。
ついさっきまでチョンマゲ結ってた人が、西洋医学の医者としてすっかり現代っぽい生活をしてるのがフシギ。
そんなに近い過去だったのか、侍って。


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『おわりの雪』

2009-12-23 14:16:13 | 
『おわりの雪』
ユベール・マンガレリ/著 田久保麻理/訳
後藤葉子/装丁 クサナギシンペイ/装画 白水社

図書館で短い冬の話を慌てて探して見つけた。手の平サイズで、コクトーっぽいタッチの表紙画。
選んだ理由は、トビが欲しくてたまらない少年と、パラパラとめくった時にあちこち犬が出てくると分かったから。
きっと動物好きなコの話だろうと漠然と想像したけど、中身はまったく想像以上だった。
むしろ、トビを飼いたいがために、ある老犬を歩かせて死に追いやる、真逆の展開に悲しくなったが、
暗くなるばかりの悲しみとは全然違う。
ちょっとした行為や気持ちの移り変わりも丁寧に鮮明に描き出してゆく文体の魅力にとり憑かれた。

story
古道具を売るイヤな奴ディ・ガッソが店頭に出しているトビが欲しくて少年は前金を払って予約しようとして断られる。
少年は養老院で老人たちと散歩してチップをもらう仕事をしていて、それを貯めて買おうとするが、雨や雪が降ると収入は止まってしまう。

屋根裏部屋に住む父は重い病気で寝たきり。母は深夜になると出掛け、その自動消灯スイッチが切れる音を嫌っている父。
少年はまるで本当にあったようにトビを捕まえた男の話を毎晩、父に聞かせてやる。

少年はある日、養老院の職員で親しくしているボルグマンが妹から押し付けられた子猫の処理を頼まれる。
麻袋に入れて、バケツのぬるま湯につけて溺れさせ、ボルグマンは埋葬した。
それを聞きつけた別の人からまた頼まれ「もう二度とこんな仕事はやらない」と誓う。

養老院で余裕のある生活をしていた婦人が急に亡くなり、よく一緒に散歩していた老犬が飼えないからと遺族から処分を頼まれる。
散歩何回分にも相当するその大金があれば、トビが飼える!自分が買わなければトビは凍えて死んでしまうかもしれないんだ。
少年はあくる朝早く犬を連れて駅を越え、丘を越え、川を越え、雪降る中を歩きつづける。
犬は苦しい息をしながら、それでもどこまでもいっしょに歩き続ける。。

誰かもわからない少年になんの迷いも疑いもなく必死について歩く犬。
彼らはまったく疑うなんて思いもしないで人を信用することができるんだ!
貧しいとはいえ、なんてイヤな仕事なんだろう。
そんな風に殺さずとも、たとえばもっと裕福な家の前に置いてゆくとか、なにか別な方法がなかったのか。
それほどそこいら中にノラがいて人々が困っていたのかな。


大好きな父親に少年は聞く。「もしボクの歳なら、ラジオとトビとどっちを買うと思う?」
最初はラジオだと答えていた父も、少年の話を毎晩聞くうち、最後には「絶対トビだな」と言う。
「どういうふうにかはわからんが、父さんはこれからもずっと、お前と一緒にいるからな」とも。


<訳者あとがき>
「いずれの作品も、孤独を好み、生きることに不器用な人間たちを主人公にすえ、人と人とが日常のなかで(たとえそれが戦場であれ、兵士にとってそこは「日常」である)どう関係を築いてゆくかという主題が受けつがれている。独りきりである個と個がどう関わりを持つか?他者に対して、どんな声を発していくか? そのとき重要な役割を果たすのは、つねに空想と物語である。」
まさにわたしが面している状況とリンクしてはいないか?




晴れた冬の日に時間も気にせず好きな映画を観たり、静かに本を読んだりして過ごせるのはなんて贅沢なんだろ。
ずぅっとこんなふうに過ぎてゆけばいいのに。


コメント

ブロック

2009-12-23 13:03:45 | 日記
バリバリXmas のテンプレートなのに、中身は幕末の話って、まったくアンバランスですが、いいんですw
いまさらなんだけど、Xmas songs も浮かれた雰囲気も好きだけど、イベント自体には興味なくて、
もちろんクリスチャンでもないわけで。
むしろ、キリシタンが日本に布教に来た同じ船になぜ、銃=殺傷道具まで一緒に持ってきたのか理解できない。。
銃の出現から戦争のやり方や、人のココロまでも激変してしまったんだ。

とは言え、ゆうべのバンバンラジオはXmas songs 特集~!福島さんセレクトはこちら。
Santa Baby/Eartha Kitt with Friends
アーサー・キットのことはよく知らないけど、モンティ・パイソンのネタを思い出して名前を聞くだけで吹き出してしまった(失礼w


ボブ・ディラン、日本初ライブハウスツアー!
「来年3月12日の大阪・Zepp Osaka からスタートし、名古屋、東京で12公演を開催し、3万人を動員する」
とのこと。ライブハウスってゆってもゼップサイズか。これまた争奪戦だな


twitterで松尾部長がつぶやくなう
なんとなし人の話で聞いたことあるtwitterで松尾部長がいろいろ書いてるってミクシで知って早速登録してみたv
世の中のスピードはどんどん速くなるねえ・・・それならこれもケータイから見れればいいのに(見れないよね?


月曜は毎週リュウさんに会わねばならぬ。今週の月曜日はほかにお客もいなかったため、
「こないだはキツく言い過ぎました」と謝ってきた。いや、もういいんです。
で、ペインクリニックに素晴らしい医者の知人がいて、鍼も打つとのことで、わたしの症例を話したら、
けっこう他にもいるとのこと。女性が大半で、痩せ型が多く、原因不明で特定できない痛みを抱えている。
それには背骨に沿って走るポイントをなるべく細かくとって鍼を打つ方法が効くらしく、
「今回はナイショでタダでやってあげます」と有無を言わさず鍼を打たれた。
自律神経からきてる場合も多いから、以前試した電流(パルス)を流す方法はキツすぎで、
リラックスした音楽の中で痛みをブロックする鍼治療をしたほうがいいらしい。
もし変化が現れたら、次回は表側、その次は背中側と繰り返していく(次回からはワンコインでいいんだって

親身になってくれるのは有難いが、翌日起きた時、前より痛かったのは反動か???
ようやく打ち解けて話はじめたら、「あなたは優しい男を見つけて早く結婚したほうがいい」だって。
余計なお世話じゃっ あんたはお母さんかい??? そーゆー余計なひと言が悪いんだよ!
「自分も奥さんがいなかったら中国帰ってた。でも年上の女性に捕まってしまったんだよね、ハハハ!」て、
まったく興味のないリュウさんの人生がどんどん勝手に明るみにされてゆきます。。

うーーーん・・・また負けた気がする・・・


▼photo:
通勤途中のサンクスでチョコボール全種が売られてるのを発見!!!(てかまだ制覇しようとしてたんだ
とゆうわけで、大きなハコのブラック&ホワイトも食べて全部無事制覇叶いました~



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『壮烈新撰組 幕末の動乱』(1960)

2009-12-23 12:27:17 | 映画
『壮烈新撰組 幕末の動乱』(1960)上映時間:1時間41分
監督:佐々木康 原作:白井喬二
出演:片岡千恵蔵、大川橋蔵、大友柳太朗、高田浩吉、月形龍之介、里見浩太郎、山形勲、黒川弥太郎、若山富三郎 ほか

幕末を勉強中。今度は新選組です。近所の100円VHSシリーズ。この店、時代劇コーナーもなかなか奥が深い。。
今作は新選組の中でも近藤勇と但馬織之助って人にポイントを絞った話でまとめてあって、
龍馬も会話の中で出てくるのみ。新選組がその後どうなったか気になるところでジ・エンド(あれっ?!
ま、最初はこのぐらいから徐々に慣らしていきましょう

あらすじ(ネット参照)
勤皇派を名乗る強盗が相次ぐ中、新選組は密告を受け、勤皇派の但馬織之助を襲った。
しかし真犯人は新選組の芹沢派隊員と分かり、但馬に罪をなすりつけた密告者は親友・前畑三十郎と判明。
前畑は身の危険を感じ新選組に寝返り、池田屋での会合情報を漏らし、新選組と勤皇派は斬り合うが、
近藤勇は但馬が逃げ込んだ祇園芸者の家の中までは踏み込ませなかった。芹沢は責任をとって処分される。
後に加わった伊東派は内部分裂し、薩長同盟を結んだ西郷と手を組み、近藤暗殺を謀る。
それを知った但馬と勤皇の志士・倉原新兵衛は近藤のピンチを救う。
事態を知って追いついた仲間に「国を想い、人を想う情けは同じ」と説く勇。


なるほどMKさんがゆってた通り、近藤は「中仙道板橋宿近くの板橋刑場(現在の東京都板橋区板橋および北区滝野川付近)で斬首された。享年35歳(満33歳没)」とある。
都内にも新選組の名残りがあるんだな。
それにしても亡くなったのが35歳だから、もっとも活躍してた頃はさらに血気盛んな若者だったろうに、
昔の時代劇ってまったく年齢設定を無視した配役なのが面白い
それはご愛嬌としても、せっかく歴史を学ぼうと思って観たものがほとんど脚色だったりするとガッカリ
なるべく史実に基づいたものを選ばないと意味ないもんね。


余談。
昔の人って節目、節目にカンタンに名前を変えちゃうから余計に混乱する
ふと気になったのは、池田屋さんであんなに派手な立ち回りをして、血しぶきは飛ぶは、障子は破れるは、、、
あの後、一体誰が修復費用を出したんだろう・・・

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