メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

『二百三高地』(1980)

2010-01-24 19:00:58 | 映画
『二百三高地』(1980)
監督:舛田利雄
出演:仲代達矢、あおい輝彦、丹波哲郎、夏目雅子、新沼謙治、永島敏行、森繁久彌、天知茂、神山繁、三船敏郎 ほか

trailer

story
朝鮮半島侵略をめぐってロシアと衝突した日本。戦争回避の伊藤博文に対して児玉源太郎
「勝算はないが、このままではロシアに攻められる。引き分けに持ち込んで講和に持ち込むしか日本の生き残る道はない。
私も命を賭けて指揮をとる。もちろん伊藤さんにも死んでもらわなければなりません」と早期決戦を必死に訴え、
御前会議で明治天皇から許可が下りる。
陸軍司令官に乃木希典が命ぜられ、旅順陥落作戦を指揮するも、世界一と言われた何重もの要塞を築いたロシアの前にして次々と隊全滅の報せが届く。
苦戦にあえぐ中でロシアのバルチック艦隊が日本目指して出港した報せに焦る軍内でも衝突が絶えない。
二百三高地攻撃に切り替え、内地から大砲を18門運び、地下を掘り、決死の闘いの末ついに日本軍が勝利。
それと同時に日本海大海戦も勝利へとつなぎ、国民は祝勝に湧いた。
その後、明治天皇の前で報告書を読む乃木は、息子2人を含む無数の失われた命を思いむせび泣く。


「まんが日本の歴史」で読んだ時はあっさり占拠して勝利に湧く民衆の様子が描かれていたけど、
こうして映画で観てみると、中将のセリフにあるとおり、「前線で戦う兵士たちには軍規も軍旗もへったくれもなく、
生きるか死ぬかどちらかだ」という悲惨な状況で、戦闘のみならず、ロシアの極寒、飢えも同様に過酷だったことが分かる。

ラスト、明治天皇を前に報告した乃木が体を大きく震わせて、ついには膝をついて号泣する仲代達矢の演技も壮絶。
戦況不利の際は「降板して責任を取れ!」と自宅の窓を投石で割られ、勝利した後はバンザイと賞賛された。
明治天皇崩御の後に妻と自刃して後を追った、乃木の人生もまた壮絶だった。

途中、画面が真っ暗になって、さだまさしが絶唱する♪防人の詩 の歌詞のテロップだけが流れる演出にはびっくり。
「海は死にますか 山は死にますか 春は死にますか 私の大切な故郷もみんな 逝ってしまいますか」
予告編にも1コーラスたっぷり使われてたりして、全面的に押し出すものすごい勢い。

愛する男が無事帰ってくることだけを祈り、婚約者として待つと決心した明治の女役に夏目雅子
魂を貫くような真剣な眼差しで訴える姿も、戦死した婚約者のために校庭で号泣する姿もなんとも美しく心を打つ。
神田のニコライ堂でロシア人司祭によってロシア語講座が開かれていたシーンもあった。

刀で斬り合う時代劇の戦よりもさらに、銃撃戦、大砲などの容赦ない近代の戦争は観ていてココロがすさんでくる。
体調のいい時をみはからって、週末に1本観るのがやっとだ。。

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無条件降伏

2010-01-24 14:17:37 | 
『少年少女日本の歴史20 アジアと太平洋の戦い / 昭和時代前期』
著者名:監修/児玉幸多 まんが/あおむら純

とうとう太平洋戦争です。次々と起きた重大な事件と、そこで亡くなられた死者の膨大な数にただただ呆然としてしまう。
日本が戦争をしない経済大国へと生まれ変わるきっかけとなった巨大な過ち。
ここはちょっと長くなっても、じっくり事実を押さえて考えなきゃならない。

<主な登場人物>
●犬養毅:普通選挙運動を推進し、藩閥内閣に反対。五・一五事件で暗殺される。
●毛沢東:中華人民共和国を樹立させ、中国共産党国家主席になる。のちに文化大革命を指導する。
●山本五十六:連合艦隊司令長官。日米開戦に反対しながらも、太平洋戦争の総指揮をとる。ラバウルで戦死。
●南雲忠一:真珠湾攻撃を指揮した航空艦隊旗艦「赤城」の司令長官。サイパンで戦死。
●マッカーサー:米軍司令官として対日戦争を指揮し、連合国最高司令官として日本を敗戦に追いやる。
●東条英機:参謀総長、陸軍相、首相と重職を経て強大な権力をきずき、軍事体制強化をはかる。
●ローズベルト:チャーチル、スターリンとの協調を保ち、連合国の成立にあたったアメリカの大統領。
●ヒトラー:ドイツでナチスの独裁体制を確立し、日独伊三国同盟をむすんで大戦を指導。
●溥儀:清朝最期の皇帝。満州国の元首だが、日本軍支配下の傀儡だった。


<主なできごと>
満州事変:柳条湖の満鉄線が中国兵に爆破され、日本と中国の十五年戦争がはじまる。本当にやったのは日本の関東軍と後に発表され国民はショックを受けた。
●五・一五事件:政治に不満をもつ海軍の青年将校が中心となって、犬養毅首相が暗殺された。
・国際連盟の総会で外国から批判を受け、松岡洋右は脱退を宣言し、日本は孤立し、大陸侵略がはじまる。
二・二六事件:陸軍の青年将校らが政府や軍部の重要人物を襲撃した後、首相官邸などを占拠した。逆賊とされて軍法会議にかけられ17名が銃殺刑となる。
●ベルリンで第11回オリンピックが開催。前畑秀子が女子200m平泳ぎで日本人女性初の金メダルをとるなど国際的に日本選手が認知された。

日中戦争:盧溝橋付近で日中間の戦闘がはじまり、長い間内戦をしてきた蒋介石の中国国民党と、毛沢東の中国共産党が停戦し、日本と戦う決心する。
南京虐殺:首都南京で日本軍が捕虜を銃殺。東京裁判の記録によると11万人以上。中には多くの市民もいた。
「殺し尽くし、奪い尽くし、焼き尽くす」日本軍の暴行を中国人は「三光作戦」と呼んだ。

第二次世界大戦勃発:1939年。ナチス率いるヒトラーによって独裁体制が敷かれていたドイツは突如ポーランドに侵攻。英・仏は独に宣戦布告。ムッソリーニ独裁のイタリアがドイツに味方し、パリはドイツ軍に降伏。
●1940年。日・独・伊の三国同盟が成立。ソ連共産党書記長スターリンと松岡とで日ソ中立条約の締結。

太平洋戦争(大東亜戦争):日中との決着もつかぬままアメリカと決裂し、真珠湾攻撃から太平洋戦争に突入。
・日本軍はアメリカ領のグアム島、ウェーク島、オーストラリア領のラバウル、シンガポールなどを占拠した(数万人の華僑を無差別虐殺)。
・1942年マニラ、フィリピンのパターン島を占領(暑い日ざしの中を食料も水を充分与えずに捕虜を歩かせた「パターン死の行進」)。
・インドネシア、ボルネオ、バリ、ジャワ島、ビルマを占領。欧米から独立させると約束し一部の現地民は喜んで迎えたが余計に経済が混乱し、強制労働などをさせられた。
・東京、横須賀、名古屋、神戸などがアメリカの爆撃機B29に空襲を受ける。
ミッドウェー島ガダルカナル島(死者2万人のうち餓死またはマラリアなどによる病死1万5千人)での海戦で日本は大敗北する。
・1943年。上野動物園では危険とみなされる動物たちが殺害された。その後も各地の動物園でも動物たちが殺された。
学徒出陣:理工科以外の学生や、高等学校生徒などの徴兵猶予が停止され、多くの若者たちが赤紙で徴兵された。
従軍慰安婦:日本、中国、朝鮮、東南アジアの各地で若い女性が集められ、慰安婦として強制的に働かされた。
・サイパンの日本守備隊が全滅。たくさんの非戦闘員の民間人が崖から身投げした「バンザイクリフ」。
集団疎開:1944年。国民学校の3年生~6年生までが地方に疎開。親戚や知人を頼ったのを「縁故疎開」、学校単位で地方に移住したのを「集団疎開」という。
・1945年。米軍が硫黄島上陸。
・3月9日~10日にかけての東京大空襲では死者10万人。
・4月1日米軍は沖縄上陸。戦艦大和は片道だけの燃料を積んで向かうが途中で攻撃を受けて沈没。沖縄住民の中には強いられて集団自決したり、軍の足手まといとして虐殺された者もいた。
・疎開船「対馬丸」が米潜水艦に鎮められ、学童700人以上が死んだ。女子学徒隊「ひめゆり部隊」もこの頃。
・1943年に伊は連合国に降伏、1945年にヒトラーが自殺してドイツも降伏。
ポツダム宣言:米ソ首脳が会議を開き日本に対して無条件降伏を要求。日本は黙殺した。

●8月6日。アメリカによって世界で初めて原子爆弾が広島に投下された。死傷者は約24万人。
●8月9日。長崎にも原爆が投下された。死傷者は12万人以上。
●御前会議が開かれ日本は降伏。

●極東国際軍事裁判(東京裁判):1946年5月~1948年11月。戦争計画に責任ありとされた日本の政治家、軍事指導者を戦争犯罪人として裁判した連合国軍による国際裁判。
連合国を代表する11人の裁判官によって構成され、市ケ谷の旧陸軍省大講堂で行われた。
100人以上に逮捕状が出され、28人が起訴、東条英機以下7人が絞首刑、18人が有罪となった。



満州事変から数えると15年間の戦争で300万人以上の日本人(軍人約230万人、民間人約100万人)、世界的には4400万人以上が死んだ。
これだけ死んでもまだ世界のどこかでは戦争が続いている。

男の子ってチャンバラごっこや、銃の撃ち合いをするゲームが好きだよね。
サバイバルゲームとまではいかなくても、戦車や大砲、機関銃とかのオモチャに憧れ的な感情を持つし。
相手を力で負かして征服する闘争本能みたいなのが遺伝子に組み込まれてるんじゃないのかなって疑いたくなる。
その合法的なものの代表がスポーツだってどこかの心理学本で読んだことがある。恋愛だって似てるかも。



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『ミディアム』 シーズン2(21~25話)

2010-01-24 11:49:11 | ドラマ
『ミディアム』 シーズン2(21~25話)
第21話 旅立ちの日 Sweet Dreams
市会議員の娘が行方不明になり父親から極秘に捜索依頼が来る。
後日その娘の4リットルもの血液が車から発見されたが遺体はなく、殺人事件扱いとなる。
アリソンは学生時代の親友の夢を見るようになり、彼女が雑誌「プレイボーイ」のモデルのスカウトを受けて旅立ってからの消息を調べると溺死と分かるが、ニュース番組で見かけ訪ねる。
ひどい人生を歩んだ親友は、ある男に頼めば自分の死亡記録と別人としての人生が手に入るという。
それに必要なのは4リットルの血。市会議員は娘に性的虐待をしていて、娘はその男に頼んで国外に逃げようとしていた。
アリソンは独自の判断で娘を逃がす。

第22話 新たな霊能者 Too Close to Call
検事局で職員やボスが銃殺される夢を見て、そっくりな場面が現実で起こり、警報装置を鳴らす騒ぎを起こしたアリソン。
知人の女性を過失で殺し、大量の酒を飲ませて事故に見せかけた黒人スポーツ選手の裁判で、デヴァロス検事の立てる証人をことごとく潰す宿敵ワット弁護士。
彼もまた霊能者を雇ったと分かるが実はニセモノ。情報元はデヴァロスの部下だった。

第23話 審判のとき Judge, Jury & Executioner
遺産目当ての妻殺し事件で陪審員に選ばれたジョー。狩りの鹿の体内から妻の手が出た夢を見たアリソンは夫が犯人だと推測するが、裁判のルールによってジョーに相談することは出来ないで悩む。
夫は遊び人で昔の恋人が亡妻を紹介したことが判明。義父が持つ狩猟用の私有地から妻の遺体が発見され、義父は夫を狩猟銃で撃ち殺す。鹿さんがかわいい

第24話 誤解と混乱 Dead Aim
デヴァロス検事の再選を賭ける選挙を前にして、対立候補がデスクにいる姿を夢に見たアリソンは動揺する。
以前デヴァロスが扱った少年犯罪者が恋人を殺す事件がもとでデヴァロスが落選する予感から、保護観察中の青年を見張るが、交通事故を引き起こして重傷を負わせ、デヴァロスから叱責を受ける。
夢で女性を襲ったのは元夫で、寸前で殺人を防ぎ、デヴァロスは名誉を回復。

第25話 絵画に宿る魂 Still Life
画家の念が入った絵画からいろいろ感じるアリソンは、ある後ろ向きの女性画が正面を向いて、男に殺された映像を見せられる。
描いたのは若い男性で彼を拘留するが証拠不十分で不起訴となる。
実は殺人犯は彼の父で、遺産のためにエイズで余命短い実の息子を殺し、同じ年頃のメイドの息子を実息として育て、メイドを殺したのだった。
ジョーが昔の恋人と再会し2人のベッドシーンを夢で見て激怒するアリソン。「彼女は必ず会おうと言ってくる」という言葉通り、ジョーは会う約束をするが、浮気をエサにエンジニアの職を得ようとする彼女の申し出を断る。
「家でステーキが待ってるのに、通りでハンバーガーを食べる気にはなれない」てアメリカらしいセリフだなw
ボスから独立のパートナーの申し出も、亡父の忠告から断ったジョー。
亡父は「その会社は成功するはずだが、そのせいでジョーは多忙になって家庭を忘れるようになる。週末に娘たちと一緒にバーベキューをする。こんな幸せはほかにないだろう?」


見始めると全然止まらなくなって、ヤヴァイ中毒気味かも
ドラマでよくありがちなどうでもいい恋のさやあてで誤魔化すこともなく、1話ごとの話がほんと魅力的。
このテンションでシーズン4までいけるか?!大体製作スタッフのいざこざで急に終わっちゃうケースが多いからねえ・・・

デヴァロス検事も最初出てきた時はキャラ濃すぎでどうかと思ったが(失礼)、見慣れたら味があって親しみを感じるようにまでなってきたしw



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