監督:田中絹代
脚本:田中澄江
出演:
下城ふみ子 月丘夢路
大月章 葉山良二
安西茂 織本順吉
たつ子 川崎弘子
義夫 大坂志郎
山上 安部徹
森卓 森雅之
森きぬ子 杉葉子
小林女子 北原文枝
せい子 木室郁子
隣の奥さん 田中絹代
白川夫人 坪内美詠子
ひで 飯田蝶子
ひでの夫 左卜全
ほか
*デジタル上映
“不幸な結婚から逃れ、子供との新生活を夢見る女性が、乳がんに侵される…。
31歳で夭逝した女流歌人・中城ふみ子の壮絶な人生を、
女性の監督と脚本家がコンビを組み映画化した、
珠玉の女性映画。主演・月丘が忘れがたい熱演をみせる。”
・中城ふみ子
※「森雅之さん出演作まとめ」に追加します
森雅之さん出演作がまたスクリーンで観られるということで出掛けてきた
30分前にチケットを買ったら22番
端の席は取れなかったが、後方から2列目でいい位置で観られた
デジタルということで、以前のように途中でフィルムが切れる心配もないし
ここはいつも観客はほぼ60代以上の男性が多い気がする
私の左隣りも高齢男性で、映画の間中ずっと何度も大きなあくびをしていた
そんなに飽きた? 高齢男性には分からないんだな 女性の細かな心情は
死の場面では鼻をすする客も多かった
月丘夢路さんの病床にあっても艶かしい眼差しが印象的
若い記者役の葉山良二さんもとってもハンサム
森さんは病気で途中で亡くなってしまう役で残念
ふみ子の気持ちも察しつつ、妻への気遣いもあり
思い悩む横顔のなんと美しいことったら! 惚れ惚れする
*
毎回、神保町シアターは手作り感覚の凝った壁の宣伝広告がほどこされていて
今回は女流作家ということからか、万年筆や本などの絵が貼られていたり
松田聖子ちゃんの懐かしい映画第1作『野菊の墓』の写真もあり
館内でも、その時のテーマ曲が流れていた
●俳優の杉葉子さん死去 「青い山脈」ヒロイン役 90歳
“映画「青い山脈」のヒロイン役を演じた俳優の杉葉子さんが15日、
結腸がんのため東京都内で死去した。90歳だった。葬儀は近親者で行った。”
先日の京マチ子さんに続いて、昭和の名女優が亡くなられた
今作でもふみ子の親友役を演じていて、とても華があった
【内容抜粋メモ】
下城ふみ子は、夫と幼い息子、娘の4人暮らし
仕事のない夫は、毎日家にいて、ふみ子に辛く当たる日々
「おい!」とか「靴下!」とか、使用人扱い
母親も「ほら、旦那さまがご機嫌斜めだから、早く行っておあげなさい」て
こんな酷い男尊女卑は、いつから始まったんだ?
まあ、今でも変わらない家庭もあるなあ↓↓↓
「歌の会」に通い、日常の憂さを俳句にぶつけ、高い評価を受けるが
女性の中には「表現がキツイ」と言う者もいる
(みんなで歌うコーラス部かと思ったら、俳句か 風流な趣味
夫は、文才を持つ妻をやっかみ
自分にはどうせそんな才能はないと卑下してまたあてこすり
まるで女性に才能があってはいけないかのよう
「歌の会」には、学生時代から親友の森卓・きぬ子夫妻がいる
森は病気の身だが、ふみ子の才能を見抜き、励ます
ふみ子と森の関係も微妙
ふみ子は母に言われるがままに見合い結婚をして
「まだ本当の愛も知らない」と嘆く
森:君の歌は激しいが、心のままを表しているんだなあ
会では東京で選考会があるから、みんなで投稿しようと張り切る
ある日、遅く帰ると夫は昔の女と浮気をしていたのを知り
「まだ切れてなかったんですね」と責めると開き直る
その後、夫婦は離婚 長男は夫の母がなかば強引に引き取り
ふみ子は長女とともに実家に戻る
弟の結婚式でも、出戻りが恥ずかしく、親族として顔を出さず
台所で支度をしているのを噂され、いたたまれず、きぬ子のもとに行く
きぬ子:これから出掛けるの すぐ戻るから
昔のアルバムには、3人でスキーをして森が転んだ写真まである
ふみ子:この頃が一番楽しかった
夫婦で新婚旅行に洞爺湖に行った写真を見て
ふみ子:私も一度行ってみたい
雨が降り出し、きぬ子に傘を持っていくという森
バス停までふみ子を送り、とにかくいい句を書いてくれと頼む森
ふみ子:森さんもお体大事にね
その森の突然の訃報を聞いて、階段で座り込んでしまうふみ子
元夫は前の恋人とすぐに再婚し、居づらい長男はふみ子の実家に戻ってきてしまう
すごい近所に住んでるのも気まずい・・・
義母が引き取りに来て、たしなめていると
以前から痛みを感じていた胸に激痛が走って倒れ、病院に運ばれて、緊急手術
(乳がんて、そんなに激しい痛みがあるんだっけ?
手術は無事終わったものの両乳房を切除されてしまう
この手術シーンがやけにリアルで、陰気で長く、直視するのが辛かった
見舞いに来たきぬ子に
母:今週でもう3人も亡くなったんですよ
って、そんな病院でいいの?!
まだ、なんの治療法もなく、ただ悪い部分を切除するだけだったんだな
普通病棟と隔離された陰気な病室で、亡くなると家族の泣き声が聞こえ
遺体はすぐに奥の「霊安室」に運ばれていく あんな近くにあるのもおかしい/驚
明日は我が身と「霊安室」の鉄の扉を握り締めるふみ子
きぬ子は森の形見だとオルゴールをプレゼントする
シャレたお見舞い品だなあ
隣りのベッドの老夫婦はとても仲が良く、長男からのお土産に喜ぶ
それを包んであった新聞記事に自分が載っているのを見かけて読むふみ子
自分の俳句が選ばれて、本になるが、がんが肺に転移していて
余命いくばくもない天才女流歌人などと書かれていて、自分が不憫になる
その記事を書いた若い記者・大月章は
「とにかくひと目会って、俳句をもらってきます」と社を出て
東京から汽車で北海道に向かっていると聞き
ふみ子:電報を打って 私、会わないわ
(電報の時代か 汽車に乗っていても電報は届くの?
大月は、ふみ子の回復を信じ、1つでも多く歌を書くべきだと励ます
2人が見つめ合い、ひと目で惹かれ合う様子が分かるシーン
ふみ子は急に病院を抜け出し、きぬ子の家でお風呂に入る
昔ながらの外で家族が火加減を見るタイプ
窓を開けて、ふみ子の胸を見てショックを受けるきぬ子
ふみ子:
見てよ、私の胸(切除されて焼かれた? どんな手術だ ゾッとする
私ね、一度、森さんが入ったお風呂に入ってみたかったの
と森への想いを告白されて戸惑うきぬ子
大月は、何度も病室に通い、ふみ子はオルゴールの中に
たくさんの歌を隠していたことを明かす
ふみ子:私が死んだら、これを全部、洞爺湖に沈めて欲しいの
大月は東京から一度戻れと言われて、明日発つと言う
ふみ子:
引きとめたいけど、私にはもうそんな力もない
私、あなたがまた来るまで待ってる 歌も書くわ
病室に泊まる大月のそばに寄り添うふみ子のシーンは
なんだか怨念のような執念すら感じる
だが、とうとう容態は悪化し、子どもが呼ばれる
笑顔を見せる長男は、泣き出してしまう
ふみ子:あなたたちが幸せに成長する姿を見られなくてごめんなさいね
母に突然「髪を洗って欲しい」と頼み、許す主治医
髪を洗っている最中に呼吸困難になり、ついに息を引き取る
子どもたちが病室に戻ると、看護婦は事務的に早々と片付けている
長男:お母ちゃんは?
看護婦:あちらへ行きましたよ
暗い廊下の奥の霊安室に運ばれていく様子を見て
長男:お母ちゃーーーん!
幼い兄妹が母を見送るシーンで終わるって一番切ない
***
ヒロインがただ泣き暮れるだけの女性ではなく
1人の女としての生をまっとうしたいとあがく様子を描いている
病院の待合室でタバコを吸っていたりするシーンもあって
こんな時代もあったのかと驚く部分と
今もほとんど変わらない部分もあるんだなと思った
<今日拾ったチラシ>
脚本:田中澄江
出演:
下城ふみ子 月丘夢路
大月章 葉山良二
安西茂 織本順吉
たつ子 川崎弘子
義夫 大坂志郎
山上 安部徹
森卓 森雅之
森きぬ子 杉葉子
小林女子 北原文枝
せい子 木室郁子
隣の奥さん 田中絹代
白川夫人 坪内美詠子
ひで 飯田蝶子
ひでの夫 左卜全
ほか
*デジタル上映
“不幸な結婚から逃れ、子供との新生活を夢見る女性が、乳がんに侵される…。
31歳で夭逝した女流歌人・中城ふみ子の壮絶な人生を、
女性の監督と脚本家がコンビを組み映画化した、
珠玉の女性映画。主演・月丘が忘れがたい熱演をみせる。”
・中城ふみ子
※「森雅之さん出演作まとめ」に追加します
森雅之さん出演作がまたスクリーンで観られるということで出掛けてきた
30分前にチケットを買ったら22番
端の席は取れなかったが、後方から2列目でいい位置で観られた
デジタルということで、以前のように途中でフィルムが切れる心配もないし
ここはいつも観客はほぼ60代以上の男性が多い気がする
私の左隣りも高齢男性で、映画の間中ずっと何度も大きなあくびをしていた
そんなに飽きた? 高齢男性には分からないんだな 女性の細かな心情は
死の場面では鼻をすする客も多かった
月丘夢路さんの病床にあっても艶かしい眼差しが印象的
若い記者役の葉山良二さんもとってもハンサム
森さんは病気で途中で亡くなってしまう役で残念
ふみ子の気持ちも察しつつ、妻への気遣いもあり
思い悩む横顔のなんと美しいことったら! 惚れ惚れする
*
毎回、神保町シアターは手作り感覚の凝った壁の宣伝広告がほどこされていて
今回は女流作家ということからか、万年筆や本などの絵が貼られていたり
松田聖子ちゃんの懐かしい映画第1作『野菊の墓』の写真もあり
館内でも、その時のテーマ曲が流れていた
●俳優の杉葉子さん死去 「青い山脈」ヒロイン役 90歳
“映画「青い山脈」のヒロイン役を演じた俳優の杉葉子さんが15日、
結腸がんのため東京都内で死去した。90歳だった。葬儀は近親者で行った。”
先日の京マチ子さんに続いて、昭和の名女優が亡くなられた
今作でもふみ子の親友役を演じていて、とても華があった
【内容抜粋メモ】
下城ふみ子は、夫と幼い息子、娘の4人暮らし
仕事のない夫は、毎日家にいて、ふみ子に辛く当たる日々
「おい!」とか「靴下!」とか、使用人扱い
母親も「ほら、旦那さまがご機嫌斜めだから、早く行っておあげなさい」て
こんな酷い男尊女卑は、いつから始まったんだ?
まあ、今でも変わらない家庭もあるなあ↓↓↓
「歌の会」に通い、日常の憂さを俳句にぶつけ、高い評価を受けるが
女性の中には「表現がキツイ」と言う者もいる
(みんなで歌うコーラス部かと思ったら、俳句か 風流な趣味
夫は、文才を持つ妻をやっかみ
自分にはどうせそんな才能はないと卑下してまたあてこすり
まるで女性に才能があってはいけないかのよう
「歌の会」には、学生時代から親友の森卓・きぬ子夫妻がいる
森は病気の身だが、ふみ子の才能を見抜き、励ます
ふみ子と森の関係も微妙
ふみ子は母に言われるがままに見合い結婚をして
「まだ本当の愛も知らない」と嘆く
森:君の歌は激しいが、心のままを表しているんだなあ
会では東京で選考会があるから、みんなで投稿しようと張り切る
ある日、遅く帰ると夫は昔の女と浮気をしていたのを知り
「まだ切れてなかったんですね」と責めると開き直る
その後、夫婦は離婚 長男は夫の母がなかば強引に引き取り
ふみ子は長女とともに実家に戻る
弟の結婚式でも、出戻りが恥ずかしく、親族として顔を出さず
台所で支度をしているのを噂され、いたたまれず、きぬ子のもとに行く
きぬ子:これから出掛けるの すぐ戻るから
昔のアルバムには、3人でスキーをして森が転んだ写真まである
ふみ子:この頃が一番楽しかった
夫婦で新婚旅行に洞爺湖に行った写真を見て
ふみ子:私も一度行ってみたい
雨が降り出し、きぬ子に傘を持っていくという森
バス停までふみ子を送り、とにかくいい句を書いてくれと頼む森
ふみ子:森さんもお体大事にね
その森の突然の訃報を聞いて、階段で座り込んでしまうふみ子
元夫は前の恋人とすぐに再婚し、居づらい長男はふみ子の実家に戻ってきてしまう
すごい近所に住んでるのも気まずい・・・
義母が引き取りに来て、たしなめていると
以前から痛みを感じていた胸に激痛が走って倒れ、病院に運ばれて、緊急手術
(乳がんて、そんなに激しい痛みがあるんだっけ?
手術は無事終わったものの両乳房を切除されてしまう
この手術シーンがやけにリアルで、陰気で長く、直視するのが辛かった
見舞いに来たきぬ子に
母:今週でもう3人も亡くなったんですよ
って、そんな病院でいいの?!
まだ、なんの治療法もなく、ただ悪い部分を切除するだけだったんだな
普通病棟と隔離された陰気な病室で、亡くなると家族の泣き声が聞こえ
遺体はすぐに奥の「霊安室」に運ばれていく あんな近くにあるのもおかしい/驚
明日は我が身と「霊安室」の鉄の扉を握り締めるふみ子
きぬ子は森の形見だとオルゴールをプレゼントする
シャレたお見舞い品だなあ
隣りのベッドの老夫婦はとても仲が良く、長男からのお土産に喜ぶ
それを包んであった新聞記事に自分が載っているのを見かけて読むふみ子
自分の俳句が選ばれて、本になるが、がんが肺に転移していて
余命いくばくもない天才女流歌人などと書かれていて、自分が不憫になる
その記事を書いた若い記者・大月章は
「とにかくひと目会って、俳句をもらってきます」と社を出て
東京から汽車で北海道に向かっていると聞き
ふみ子:電報を打って 私、会わないわ
(電報の時代か 汽車に乗っていても電報は届くの?
大月は、ふみ子の回復を信じ、1つでも多く歌を書くべきだと励ます
2人が見つめ合い、ひと目で惹かれ合う様子が分かるシーン
ふみ子は急に病院を抜け出し、きぬ子の家でお風呂に入る
昔ながらの外で家族が火加減を見るタイプ
窓を開けて、ふみ子の胸を見てショックを受けるきぬ子
ふみ子:
見てよ、私の胸(切除されて焼かれた? どんな手術だ ゾッとする
私ね、一度、森さんが入ったお風呂に入ってみたかったの
と森への想いを告白されて戸惑うきぬ子
大月は、何度も病室に通い、ふみ子はオルゴールの中に
たくさんの歌を隠していたことを明かす
ふみ子:私が死んだら、これを全部、洞爺湖に沈めて欲しいの
大月は東京から一度戻れと言われて、明日発つと言う
ふみ子:
引きとめたいけど、私にはもうそんな力もない
私、あなたがまた来るまで待ってる 歌も書くわ
病室に泊まる大月のそばに寄り添うふみ子のシーンは
なんだか怨念のような執念すら感じる
だが、とうとう容態は悪化し、子どもが呼ばれる
笑顔を見せる長男は、泣き出してしまう
ふみ子:あなたたちが幸せに成長する姿を見られなくてごめんなさいね
母に突然「髪を洗って欲しい」と頼み、許す主治医
髪を洗っている最中に呼吸困難になり、ついに息を引き取る
子どもたちが病室に戻ると、看護婦は事務的に早々と片付けている
長男:お母ちゃんは?
看護婦:あちらへ行きましたよ
暗い廊下の奥の霊安室に運ばれていく様子を見て
長男:お母ちゃーーーん!
幼い兄妹が母を見送るシーンで終わるって一番切ない
***
ヒロインがただ泣き暮れるだけの女性ではなく
1人の女としての生をまっとうしたいとあがく様子を描いている
病院の待合室でタバコを吸っていたりするシーンもあって
こんな時代もあったのかと驚く部分と
今もほとんど変わらない部分もあるんだなと思った
<今日拾ったチラシ>