メランコリア

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ポラーノの広場 ミキハウスの絵本 宮沢 賢治/作 三起商行

2025-02-24 17:46:35 | 
2020年初版 みやこしあきこ/絵

「作家別」カテゴリー内の「宮沢賢治」「みやこしあきこ」に追加します

『もりのおちゃかい』を書いた絵本作家さんが
宮沢賢治のミキハウスシリーズも描いていると知って借りてみた

大きさは絵本だけれども、開いたら結構なボリュームの文量でビックリ
読んでみたら、いつもの素朴な童話の書き出しから、意外なミステリー展開となる



作中に歌が出てきて、譜面もあるって賢治くらいだよね

ポラーノの広場のうた(『岩手軽便鉄道の一月』(詩: 宮沢賢治、曲: 林光)より)

宮沢賢治 「ポランの広場」歌 青木由有子/ギター 近藤富夫

賢治祭によせて(前編) 牧者の歌、ポランの広場、イーハトーヴ農民歌、種山ヶ原

Burt Shepard "In The Good Old Summer Time" George Evans & Ren Shields "In The Good Old Summertime



【内容抜粋メモ】

登場人物
レオーノ・キュースト 前十七等官
ファゼーロ
ロザーロ 姉
ミーロ 羊飼い
テーモ 地主
ボーガント・デストゥパーゴ 山猫博士 県会議員



モリーノ市(盛岡を指す賢治の創作地名)の博物局に勤めていた頃
競馬場の番小屋にひとりで住み、ヤギを飼っていた

ある日、ヤギがいなくなり、探しに行くと
ファゼーロという少年が連れて来てくれる









彼はポラーノの広場を探している
つめくさの花の番号を数えて野原の真ん中へ行くと祭りをしているという昔話だが
ファゼーロは何度か音楽が聴こえてきたと話す

レオーノは野原の地図を買って、お礼に渡すと約束する



それから10日ほど経ち、ファゼーロは羊飼いのミーロを誘ってやって来る
乾留工場がある辺りで、行くと誰でも上手に歌えるようになるという









ファゼーロの旦那で地主のテーモは山猫博士と呼ばれているデストゥパーゴを怖れている
野原を長いこと歩いたが、ファゼーロの姉ロザーロが心配しているため
その夜は帰る











5日後 また3人で出かける
とうとうポラーノの広場に着くが
デストゥパーゴがひどく酔っているし、テーモもいる











酒は飲まないから水をくれと言うとイヤな空気になる
デストゥパーゴは滅茶苦茶に踊って周りに迷惑をかけている










ミーロは歌えと言われて♪フローゼントリー(In The Good Old Summer Time) を歌うが
電気リスという歌詞が間違っているとデストゥパーゴが難癖をつける

デストゥパーゴは♪In the good summer time を歌う











ファゼーロは♪酒くせの悪い山猫が と歌い
激怒したデストゥパーゴは決闘しろとからむ
剣はないため、ナイフが渡され、ファゼーロはデストゥパーゴの手を切る

ポラーノの広場はデストゥパーゴの選挙運動の一環だと分かり3人は帰る



翌日、所長室に呼ばれ、警察で聴取があると聞く
行くと、ファゼーロが行方不明で、山猫博士の馬車別当(馬車をあやつる御者)、ロザーロも呼び出されて
警部に絞られている

レオーノも犯人扱いされるが、事情を話し、デストゥパーゴが怪しいと言うと
彼も行方不明

レオーノはロザーロにファゼーロを探すと約束
毎晩、いろんな所を探し回るがいない
そのうちうやむやになってしまう










所長はレオーノに海産鳥類の卵採集のためにイーハトーヴォ海岸へ出張するよう命令する
レオーノは慰労休暇をもらったように喜んで行く
どこに行っても歓迎されて嬉しいが、ファゼーロとロザーロを思い出すと心が痛む









隣りのシオーモの港からセンダード市に行く
そこでは毒蛾がひどく発生して、夏の暑い中、窓も開けられず困っている

(1922年の夏、実際に盛岡に毒蛾が大発生し、賢治は童話「毒蛾」を書いている








床屋に入ると理髪アーティストがオールバックよりネオグリークのほうが似合うと言って切る









デストゥパーゴが毒蛾に触られて騒いでいて、レオーノは後を尾ける
小さな路地の家に入ろうとするところを呼び止めると
いかにも焦って、家に招き、姿を隠していたワケを話す









乾留の会社が薬品価格の変動でたちゆかなくなり
全財産を賭していたため、重役の案で試験的に酒を醸造したが
税務署へ届け出なかったのを部下に脅迫された

あの晩、広場にいたのは株主たちでやけくそになっていた
ファゼーロを憎んでいたわけではないし、きっとどこかで何かしているはず

レオーノはすっかり同情して帰る



出張から帰ると、ファゼーロが訪ねてきて
あの晩、家に帰れず、革を買う人が食べ物をくれてクルマに乗せてくれたため
センダードの革を染める工場で働いていたと話す

2人はまたポラーノの広場を目指す
百姓2人が、デストゥパーゴは町にたくさん土地を持っているし
混成酒の密造もデストゥパーゴのアイデアだと教える









ミーロもロザーロもいて、酢酸を作ろう、ミーロはハムを作ろうという話になる

そこへ夜行って歌えば、もう元気がついて
明日の仕事中からだいっぱい勢いがよくて
面白いような、そういうポラーノの広場をぼくらはみんなでこさえよう

ぼくはきっとできると思う
なぜならぼくらがそれを今考えているのだから

(うん、ヒトが想像できることは、すべて創造できると思う

ファゼーロもミーロも歌う
レオーノも協力すると約束して別れる









7年経ち、ファゼーロたちの産業組合は幅広く活動している
レオーノはモリーオを去り、トキーオの市で一通の郵便を受け取る
それは手に持って歌える♪ポラーノの広場 の楽譜だった



***


みやこしあきこさんにイラストの指定をした女性?の話が面白かった
1冊の絵本の中には、これだけの情熱がこめられているんだなあ!
ますむらひろしさんと対談したら相当濃い話が聞けそう


vol.20『ポラーノの広場』絵:みやこしあきこ(宮沢賢治絵本シリーズ)




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