【保坂和志さん代表作】
・この人の閾
・生きる歓び
・ハレルヤ
(可愛い都電!
語り:守本奈実
シロちゃんは、生まれた時からこの場所で暮らしている
15歳です
(外を普通に歩いてる
首輪もないし
外でご飯もらってる
保坂さんはシロちゃんに触ったことがない
保坂:
15年もやってたら触らせてくれたりできるはずでしょう
いくら時間が経っても距離が縮まらないんだよね
カレンダーにもの凄い書き込み!
保坂:
1日の食べ方の回数と量を大体説明すると
8時10分にちゅ~るをあげて
しばらくして成猫用と書いてあるやつをあげて
次に9時40分に1回あげて、、、
気をつけながらやっている
保坂さんの時間はシロちゃんを中心に回っています
去年まで家の中にも猫がいました
はなちゃん 18年と8ヶ月
保坂:不思議とあんまり悲しくなかった
Q:やれることをやったという感じですか?
保坂:
自分で言うとそうなるけど
本当にそれだけなのかはわからない
だから死んでないのかもしれないし
分かりやすく言うと心の中にいるのかもしれないけど
もう少し分かりにくく言うと、本当にいるのかもしれないから
これまでたくさんの猫を見送ってきた
(ウチにあるのと同じ猫のお守りがある これ可愛いんだよね
小説家の傍にはいつも猫がいました
今はシロちゃんだけです
(昔ながらの万年筆のようなもので原稿にサラサラと書いている
保坂:
2001年くらいから完全に清書まで手書きにしちゃった
そうしたら本当に楽しいんだよね
パソコンだと、キーボードだと“作業”になっちゃうんだよ
手書きは本当にフィールドスポーツ
サッカーみたいな感じ
本来人間が使ってきた全身を使った思考のあり方と
猫の思考のあり方と
鳥の思考のあり方、、、
それを思考と思ってなかったわけ
小説が思考の形態なんだ
「シロちゃん」 朗読:東出昌大
はなちゃんが去年の12月に旅立ち
とうとう家の中に猫がいなくなった
それでも僕が泣き崩れなかったのは
外にシロちゃんがいるからだった
シロちゃんはもうすぐ15歳になる
最大11匹いた外猫ファミリー最後の一人だ
子どもの時は一番無邪気だった
仲良しのまーちゃんと一日中じゃれあって
走り回って家の庭は草一本ないつんつるてんになった
本当に姿が見えれば必ず2人で遊んでいた
撮影:保坂さん 外を歩くシロちゃんを追う
それが一人、また一人いなくなって
おととしにはとうとうシロちゃん一人になった
シロちゃんが寂しくて甘える?
とんでもない
保坂:ねえ、シロちゃん
シロちゃん:ニャー
保坂:
ちょっとハスキー声?
また風邪になっちゃったね
困っちゃったな
そうでもないかな
(ラップに包んだきちんと15g に測ったご飯をあげる
保坂:そんなに美味しい?
(食べたらすぐにいってしまう
「話しかけないで」
保坂:暑いね
朗読:
15年の付き合いとなるというのに
シロちゃんは未だに僕にも妻にも触らせない
(カメラに寄ってきて匂いを嗅いでる 逞しい脚だなあ!
シロちゃんは塀の上でご飯の催促をする
去年の冬には僕が作ったハウスに入るようになった
と言うかほとんど1日ハウスの中で毛布に埋まっていた
なのに触らせない
(すごい手作り感満載v
触れ合うのは舌と僕の指先だけだ
最近は手のひらに乗せたご飯を食べることもある
ただしよっぽど安心している時
(邪魔になる枝を切っていると逃げていく
保坂:逃げなくていいじゃん シロちゃん
三島由紀夫賞 山本周五郎賞 川端康成文学賞贈呈式
保坂さんの受賞がアナウンスされる
作家 辻原登:
圧倒的多数でということがありますけれども
圧倒的全員一致と言って良いと思います
スピーチ:
選考会の皆さんはなんかすごく一生懸命考えて
読んでくださったんですけれども
本人はそんなに考えてないです
すいませんw
僕の文章というのは脈絡はないが飛躍はある
脈絡はないが矛盾はある
『ハレルヤ』にしても小説は二の次
実際そうで、ずっと猫の世話に明け暮れてましたので
なぜか今回の受賞作は猫が出てこないんです
「あーそう残念」みたいな すいません
(作品を読んだことがないけれども猫の話が多いのかな?
保坂:
「何でそこまで猫に入れ込むんですか?」とまず言うわけじゃん
それおかしいじゃん
なんでみんな猫だとそんなこと聞いてくるの?
高校球児たちに「なんでそんなに野球してるの?」と誰も聞かないじゃん
なんかみんな「どうして?」を考えすぎなんだよ
ずっとやってるからしょうがないんだよ
大きなあくびをしているシロちゃん
道端でお昼寝
Q:保坂さんにとって猫って何ですか?
世界を説明するための入り口が俺にとって猫だから
猫がいるから花の美しさがあり
冬の寒さもありっていう
世界を感知する存在があるから
世界が輝けるとかね
猫の前にいると何も考えていないという
そこはすごく大きな考えを教えてくれる
本当に
ただそういう風に猫っていうのは
いろんなものをもたらしてくれるという風に言うと
人には分かりやすいんだけれども
でも何ももたらしてくれなかったとしても
そこは非常に大いなるものがあるということまで猫は教えてくれるんだよ
朗読:
ファミリーの始まりのおばあちゃん
マミーちゃんがみんなを教育した
体を人間に触らせてはダメよ
人間なんて何をするかわからないんだから
みんなにそう教えたマミーちゃんは
最後の10ヶ月、僕の部屋でのんびり暮らした
そして僕の腕の中で息を引き取った
シロちゃんはそうなる気配がない
幸いご覧の通り若々しい
でももうすぐ15歳
外で15年暮らしてきた
僕は1日でも早く家に入って欲しい
でも全くその気配がない
(玄関の前で待ってるのに
保坂さんが玄関から出てくると塀の上でご飯を待つ
食べようとするが逃げてしまう
カメラがいるからかなあ?
シロちゃんは複雑なのだ
シロちゃんの行動は人間の理屈で説明がつかない
(今度はライトの上に乗った なぜそこ?w
保坂:
おとといなんか北風、霧雨、横殴りなのに
ちょっと雨がひどくなるまで
ひどくならない限りは
門灯の上に夜一定の時間いるんだよね
それは本当に自分のテリトリーを守ってる
別に家の門番じゃなくて
(夜まであかりの上にいる
シロちゃんは15年間で夜のご飯を食べに来なかったことがたったの2回しかない
365日×15年 5475日でたったの2回だ
ファミリーの中には3日くらい平気で来ない子がいた
シロちゃんは誰よりきちんとご飯に来た
(夜中でもご飯をあげる保坂さん
何度でも繰り返す
そんなにご飯は依存しているのに触らせない
それはいい
台風の日や雪の夜、そんな時こそハウスにいてほしい
なのにシロちゃんはどこかに行方をくらましてしまう
僕は「シロちゃん、シロちゃん」と呼んで廻る
シロちゃんは絶対出てこない
諦めた頃、ひょっこりどこかから現れる
これが本当に分からない
シロちゃんはどこにいるんだ?
3年前のみぞれの日は、とうとう一晩現れず
やっと来た時には白い毛に泥がついていて
声もかすれ声になっていた
シロちゃんは決してうちのハウスより
良いところに潜んでいるわけではないのだ
保坂:おいで、シロちゃん
(呼んでも一定距離をあけて、立ち去ってしまう
シロちゃんは危険が迫ると
人間に頼らず野生になってしまう
僕は切ない
でもきっとそれが外に暮らしたファミリーとしての誇りなのだ
シロちゃんはもふもふ
可愛い体の全身で胸を張って
曲がった尻尾を立てて生きている
僕にできることは応援するだけだ
(いろんな関係性があるんだね
それぞれ、それでいいのかも
・この人の閾
・生きる歓び
・ハレルヤ
(可愛い都電!
語り:守本奈実
シロちゃんは、生まれた時からこの場所で暮らしている
15歳です
(外を普通に歩いてる
首輪もないし
外でご飯もらってる
保坂さんはシロちゃんに触ったことがない
保坂:
15年もやってたら触らせてくれたりできるはずでしょう
いくら時間が経っても距離が縮まらないんだよね
カレンダーにもの凄い書き込み!
保坂:
1日の食べ方の回数と量を大体説明すると
8時10分にちゅ~るをあげて
しばらくして成猫用と書いてあるやつをあげて
次に9時40分に1回あげて、、、
気をつけながらやっている
保坂さんの時間はシロちゃんを中心に回っています
去年まで家の中にも猫がいました
はなちゃん 18年と8ヶ月
保坂:不思議とあんまり悲しくなかった
Q:やれることをやったという感じですか?
保坂:
自分で言うとそうなるけど
本当にそれだけなのかはわからない
だから死んでないのかもしれないし
分かりやすく言うと心の中にいるのかもしれないけど
もう少し分かりにくく言うと、本当にいるのかもしれないから
これまでたくさんの猫を見送ってきた
(ウチにあるのと同じ猫のお守りがある これ可愛いんだよね
小説家の傍にはいつも猫がいました
今はシロちゃんだけです
(昔ながらの万年筆のようなもので原稿にサラサラと書いている
保坂:
2001年くらいから完全に清書まで手書きにしちゃった
そうしたら本当に楽しいんだよね
パソコンだと、キーボードだと“作業”になっちゃうんだよ
手書きは本当にフィールドスポーツ
サッカーみたいな感じ
本来人間が使ってきた全身を使った思考のあり方と
猫の思考のあり方と
鳥の思考のあり方、、、
それを思考と思ってなかったわけ
小説が思考の形態なんだ
「シロちゃん」 朗読:東出昌大
はなちゃんが去年の12月に旅立ち
とうとう家の中に猫がいなくなった
それでも僕が泣き崩れなかったのは
外にシロちゃんがいるからだった
シロちゃんはもうすぐ15歳になる
最大11匹いた外猫ファミリー最後の一人だ
子どもの時は一番無邪気だった
仲良しのまーちゃんと一日中じゃれあって
走り回って家の庭は草一本ないつんつるてんになった
本当に姿が見えれば必ず2人で遊んでいた
撮影:保坂さん 外を歩くシロちゃんを追う
それが一人、また一人いなくなって
おととしにはとうとうシロちゃん一人になった
シロちゃんが寂しくて甘える?
とんでもない
保坂:ねえ、シロちゃん
シロちゃん:ニャー
保坂:
ちょっとハスキー声?
また風邪になっちゃったね
困っちゃったな
そうでもないかな
(ラップに包んだきちんと15g に測ったご飯をあげる
保坂:そんなに美味しい?
(食べたらすぐにいってしまう
「話しかけないで」
保坂:暑いね
朗読:
15年の付き合いとなるというのに
シロちゃんは未だに僕にも妻にも触らせない
(カメラに寄ってきて匂いを嗅いでる 逞しい脚だなあ!
シロちゃんは塀の上でご飯の催促をする
去年の冬には僕が作ったハウスに入るようになった
と言うかほとんど1日ハウスの中で毛布に埋まっていた
なのに触らせない
(すごい手作り感満載v
触れ合うのは舌と僕の指先だけだ
最近は手のひらに乗せたご飯を食べることもある
ただしよっぽど安心している時
(邪魔になる枝を切っていると逃げていく
保坂:逃げなくていいじゃん シロちゃん
三島由紀夫賞 山本周五郎賞 川端康成文学賞贈呈式
保坂さんの受賞がアナウンスされる
作家 辻原登:
圧倒的多数でということがありますけれども
圧倒的全員一致と言って良いと思います
スピーチ:
選考会の皆さんはなんかすごく一生懸命考えて
読んでくださったんですけれども
本人はそんなに考えてないです
すいませんw
僕の文章というのは脈絡はないが飛躍はある
脈絡はないが矛盾はある
『ハレルヤ』にしても小説は二の次
実際そうで、ずっと猫の世話に明け暮れてましたので
なぜか今回の受賞作は猫が出てこないんです
「あーそう残念」みたいな すいません
(作品を読んだことがないけれども猫の話が多いのかな?
保坂:
「何でそこまで猫に入れ込むんですか?」とまず言うわけじゃん
それおかしいじゃん
なんでみんな猫だとそんなこと聞いてくるの?
高校球児たちに「なんでそんなに野球してるの?」と誰も聞かないじゃん
なんかみんな「どうして?」を考えすぎなんだよ
ずっとやってるからしょうがないんだよ
大きなあくびをしているシロちゃん
道端でお昼寝
Q:保坂さんにとって猫って何ですか?
世界を説明するための入り口が俺にとって猫だから
猫がいるから花の美しさがあり
冬の寒さもありっていう
世界を感知する存在があるから
世界が輝けるとかね
猫の前にいると何も考えていないという
そこはすごく大きな考えを教えてくれる
本当に
ただそういう風に猫っていうのは
いろんなものをもたらしてくれるという風に言うと
人には分かりやすいんだけれども
でも何ももたらしてくれなかったとしても
そこは非常に大いなるものがあるということまで猫は教えてくれるんだよ
朗読:
ファミリーの始まりのおばあちゃん
マミーちゃんがみんなを教育した
体を人間に触らせてはダメよ
人間なんて何をするかわからないんだから
みんなにそう教えたマミーちゃんは
最後の10ヶ月、僕の部屋でのんびり暮らした
そして僕の腕の中で息を引き取った
シロちゃんはそうなる気配がない
幸いご覧の通り若々しい
でももうすぐ15歳
外で15年暮らしてきた
僕は1日でも早く家に入って欲しい
でも全くその気配がない
(玄関の前で待ってるのに
保坂さんが玄関から出てくると塀の上でご飯を待つ
食べようとするが逃げてしまう
カメラがいるからかなあ?
シロちゃんは複雑なのだ
シロちゃんの行動は人間の理屈で説明がつかない
(今度はライトの上に乗った なぜそこ?w
保坂:
おとといなんか北風、霧雨、横殴りなのに
ちょっと雨がひどくなるまで
ひどくならない限りは
門灯の上に夜一定の時間いるんだよね
それは本当に自分のテリトリーを守ってる
別に家の門番じゃなくて
(夜まであかりの上にいる
シロちゃんは15年間で夜のご飯を食べに来なかったことがたったの2回しかない
365日×15年 5475日でたったの2回だ
ファミリーの中には3日くらい平気で来ない子がいた
シロちゃんは誰よりきちんとご飯に来た
(夜中でもご飯をあげる保坂さん
何度でも繰り返す
そんなにご飯は依存しているのに触らせない
それはいい
台風の日や雪の夜、そんな時こそハウスにいてほしい
なのにシロちゃんはどこかに行方をくらましてしまう
僕は「シロちゃん、シロちゃん」と呼んで廻る
シロちゃんは絶対出てこない
諦めた頃、ひょっこりどこかから現れる
これが本当に分からない
シロちゃんはどこにいるんだ?
3年前のみぞれの日は、とうとう一晩現れず
やっと来た時には白い毛に泥がついていて
声もかすれ声になっていた
シロちゃんは決してうちのハウスより
良いところに潜んでいるわけではないのだ
保坂:おいで、シロちゃん
(呼んでも一定距離をあけて、立ち去ってしまう
シロちゃんは危険が迫ると
人間に頼らず野生になってしまう
僕は切ない
でもきっとそれが外に暮らしたファミリーとしての誇りなのだ
シロちゃんはもふもふ
可愛い体の全身で胸を張って
曲がった尻尾を立てて生きている
僕にできることは応援するだけだ
(いろんな関係性があるんだね
それぞれ、それでいいのかも