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クワガタにちょっかいを出す猫
マリ:クワガタ怒ってるよ
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作家さんたちの本棚ってどこも本でいっぱい!
クワガタの標本まであるからクワガタも好きなんだ
綺麗なキッチンの前にはなぜか大きな金魚がいる
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今の漫画家さんはタブレットに向かって描いてるんだね
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語り:森下絵理香
ヤマザキマリさん
代表作は映画化もされた『テルマエロマエ』
イタリアを始め、多くの国々を行き来しながら
漫画を描き続けて約25年
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マリ:
1か月以上1つの場所にいることがない生活だったので
日本に1か月いたらイタリアに戻って
また日本に戻ってきて
年に3回くらいハワイのホテルに引きこもって
海にも行かずに原稿をやる
場所を移動することによってエネルギーがチャージされるというか
それがデフォルトな生活でした
コロナ禍で予定外に長期となった東京滞在
自分と猫と向き合う時間が増えたことが思わぬ収穫だったとか
イタリアから連れてきたベレンはベンガル猫
通称マミ 11歳
頼りがいがある体だなあ
ブラッシングする
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マリ:コロナ太りだからダイエットだ
おもちゃで遊ぶ
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マリ:
人間なら私くらいの年だからね
一緒に痩せようよ
スタッフ:ベレンは絶好調ですね!
マリ:
太ってふさふさしちゃって毛並みはいいし
人生で一番幸せな時を過ごしてるんじゃないですか
寂しがり屋の猫だから
毎日家に誰かいるっていう
(鳴いて呼んでる
どうしたの?
遊ぶの? 遊びたいのかい?
じゃらしでまた遊ぶ
ベレンはとっても臆病
マリ:
ベレン そろそろ出てきてくれないかい
びっくりするじゃないの
飼い猫ってこんなに距離感置くかね
机の下から出てきた
またブラッシング
あなたのカメラが威圧的なのよ
参ったなもう
すごいまん丸な満月!
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国境を越えて様々な人と出会い
いくつもの仕事を重ねてきた
その経験がいつのまにか作品という形になっていくのだそうです
マリ:
あまり準備している感じではないです
『テルマエロマエ』も不意に出てきたものだし
だから私はいろんな全然絵と関係ないことをしてきた
音楽もそうだし
旅もそうだし
テレビに出たりとか
そういうことが無意識のうちに
自分の中で Deposit してて
ある日フッと化学変化を起こして
漫画という形になるんですよ
例えば音楽を聴いてると急にワッと話が出てきて
やばい、やばいって言ってすぐに描きに行ったりとか
好奇心ですよねやっぱり
地球が面白いなって
同じ惑星で生きてる生き物たちを見てるとすごいじゃないですか
同じ大気圏でこんなにいろんな生命体がいるっていうことだけでも
価値観が違うものを求めてるんですよ
固定されたくない
そういうところに解き放たれて行きたいっていう
(もろ宇宙人っぽい
夜
ベレンは必ずヤマザキさんを寝室へと誘います
振り返りながら尻尾振ってる
招き猫も同じ色!
これは塗ってもらったの?
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「小さくて大きなわたしの相棒」 朗読:上戸彩
日本にはツチノコという幻獣の伝説がある
子供の頃に流行っていたテレビの探検隊番組を真似して
私は近所の少年達と野山にツチノコ探索に出かけた事があった
その正体を暴くことはできなかった
しかし、ここ最近になって
もしかするとあの幻獣の正体は
トラ柄の猫だったんじゃないかと
我が家の猫を見ていて思うようになった
私の相棒猫であるベレンは過度の臆病者で
滅多にその姿を人の前に現すことはない
私と2人きりの時には
ソファーやお気に入りの絨毯の上で
無防備な体勢でくつろいでいるのに
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人が来た
ベルが鳴ると鋭い目に変わって逃げる
来客の気配があるとたちまちほふくの姿勢で
ニョロニョロと身をくねらせながら
クローゼットの洋服のジャングルの中へ身を隠してしまう
その姿はツチノコそのものである
(へそ天で寝てる 口元が可愛い!
いびきかいてる?
まん丸でヒデヨシみたいw
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ベレンはベンガル猫という種類だが
特徴とされるヒョウのようなおしゃれでワイルドな紋柄はない
(お腹だけ毛がないのは手術した跡か何か?
一般的なキジトラに黒い紋が混ざっただけの柄で生まれてきたため
ブリーダーは彼女を格安で譲ってくれた
ブリーダーとの動物の取引は
なんとなく古代ローマ時代の奴隷売買
別にブランドを意識して探していたわけではない
模様なんて全くこだわらない
ベレンがベンガル猫だったのは単なる偶然である
シリアのダマスカスから数年間
私達家族と同居していたオス猫が不慮の事故で死んでしまい
極度の猫ロスに陥って、仕事も手につかなくなっていた私のために
夫がネットでたまたま見つけたのが
前の子が亡くなった日に生まれたベレンだった
前の子との別れに毎日泣いて過ごしていた私に
ここに君の愛情を求めている猫がいるよ
と見せてくれたのが
PC 画面の中でよちよち歩きをしているベレンだった
(背中を掻いてあげる
創作のあいまに気分転換に出かける散歩
ついつい夢中になるのは生き物探し
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マリ:
みんな頑張ってるね
タテハチョウが来てる
私は北海道に母と移住し始めてから
常に留守番の生活なんですけれど
寂しいじゃないですか
その時から外にいる時間のほうが好きになっちゃって
ていうのは外のほうが生命反応が多い
虫は本当に好きを通り越して
自分も虫の一部みたいなくらいの気持ちになっちゃって
それで私に母親が本を買ってあげるって言われて
意図的にというか、図鑑のセクションに連れて行かれて
「あなたは生き物が好きだから
好きな生き物の図鑑を1冊買ってあげる」って言われて
迷いなく昆虫の図鑑を取って
5歳か6歳の時
その図鑑を今も大事に持ってます
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マリ:
これさ、昆虫と人間の大きさが同じ
こういうの見てると絵描きさんになりたいなと思うわけよ
たぶん写真かなんかで撮影するより
具体的で奥が深いんですよ
図鑑の絵を描く人になりたいなって
その時は思っていました
(レトロで可愛い絵 昆虫の描写はリアル
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当時、私が絵を描くだけじゃ足りなくなって
紙芝居を作っちゃうんですよ、小さい時に
仲間から
「君は文章は文章で、絵は絵でやるのが好きだけど
漫画で混ぜればいいじゃん
混ぜたら漫画になるよ」って言われて
初めて漫画を描き始めて
こういう事って子供の時にやってたよって思って
だからこんなに長く続けていられるんだなと
八丈島を訪れた時に知り合った友人から荷物が届いた
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漬物かなにかと思ったら、クワガタ!
こんな風にして届くんだ
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マリ:
綺麗だね やることいっぱいだ
大変! 交尾してる 交尾を撮って
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すごくない?
この番組ってムシメンタリーだっけ?
スタッフ:違うよ 猫
そこで何してるの?
考え事してるの?
(ちょっと離れたところから見てる
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朗読:
ベレン
私から呼ばれている名前はマミ またはママ
でもパスポートに記載されている本名はクレオパトラ
(帰宅してすぐ背中をかくと鳴いて喜んでる
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生まれはポルトガルのコインブラだが
我が家にやってきたその翌年には
夫の転居先であるアメリカのシカゴへ
私たちと一緒に引っ越した
それから4年後
息子をアメリカに残して
我々夫婦はベレンとともに再びヨーロッパのイタリアへ
さらにその数年後、次なるベレンの移動先は東京だった
今までの移動距離だけでも地球1周分もある
だから様々な世界の空気に触れてきたはずなのに
ベレンは私が今まで一緒に暮らした猫の中でも突出した臆病者だ
(「荷物が届いています」と女性の電子音がしてビクッとする
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こんなに人を怖がる猫を他に見たことがないが
私はベレンのそんな性格が実は嫌ではない
むしろ彼女の気持ちは痛いほどよくわかる
マリ:
なんでビクビクしているの?
世界中旅してるのに
なんでこんなに臆病者なんだろうね
あなたはポルトガル生まれなんだよ
アメリカ行って、イタリアも行って、日本に来て
とてもそんな国際派の猫に見えないね
(イタリア語でスマホのズームで夫と話してる
マリ:
夫からも
「君は世間では堂々とした女性として見られているけど
内心が臆病な所はベレンと全く同じだよ」
と言われたことがある
(抱っこは拒否w
カメラマン:滅多に抱っこされないですね
マリ:
いいの 私も猫だから 抱っこヤダ
ああ、集中できない
ちなみにベレンは人に抱かれることを嫌い
膝にのぼってきたりすることもない
私を含めて人間に対して彼女が服従の態度を見せることは皆無だ
抱っこしようとすると逃げる
でも私がベッドに入ると必ず布団の上に乗ってきて
足元や枕元にぴったり身を寄せたまま
温もりを分かち合いつつ一緒に朝まで眠る
ベレンはとても寂しがりやだ
(夜の運動会はしないんだね
寝相も可愛い
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2020年10月下旬
紅葉が少しだけ始まってきてる
ワンピに長いカーディガンて可愛い
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マリ:
リスの音? こんな声で鳴くの?
交尾してる
(交尾の時期なのかい?!w
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この日訪れたのは鎌倉
猫が結ぶ縁
養老先生の自宅
まるちゃん、元気だあ! 全然変わってない!
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おなじみのまるがお出迎え
(どうして足あげたままなの?ww
そっと寄って行く
まるおじいさん
(まるさんは撫で放題なんだ いいなあ!
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奥さん:うちは本2冊出してる
マリ:うちは山猫ですから
奥さん:それが猫らしいですよね
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帰宅して、ドアを開けると
待っていたようにこっち見てるマミさん
マリ:待ってたの ごめんね、マミ
毎回出先から戻ると
必ず開けたドアの向こうで待っていてくれる
(玄関の所にフェリーニの「8 1/2」の大きなポスターがフレームに入って飾ってある
その姿を見るたびに、自分が子供の頃
夜にオーケストラの仕事から帰ってくる母を
今か今かと待っていた心細さと寂しさを思い出す
背中をいっぱい撫でて抱きつく
猫って座ってるだけでも絵になるね
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仕事しすぎだよなっていうことは
ベレンちゃんといるといつも思う
だって瞬きもせずにずっと見てるんですよ
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たまに漫画を熱心にやってると
なんでそれをしなきゃいけないの?って
我々に表現ってなんでしなきゃいけないんだって
とてつもない気持ちになって
わかった もう寝よう!
そういう時はすごすごとベッドに行きます
朗読:
今日もベレンが距離を置いた場所から
仕事がはかどらずむしゃくしゃしている私に
じっと視線を据えている
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私はその瞳越しに自分という人間を俯瞰し
見すかされている
邪念や虚栄や奢りを慌ててはらいとる
人間ってどうしてそう厄介な生き物なの?
と問いかけられるような気持ちになるが
その眼差しはその向こう側に
果てしない世界が広がっていることを諭してくれる
小さな体に大きな魂
お互いの形状は違うけれども
ベレンは私の友人であり
姉妹であり
師匠であり
ツチノコであり
そして何よりかけがえのない人生の相棒なのである
(猫を飼う人生って豊かだなあ!
マンションの下には外猫たちが
誰かのあげたご飯を食べてる
マリ:
おいで 猫ちゃんいるよ 全然来ない
マミがいるからずっと眠り続けられない
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ネコメンタリーって忘れたような頃に新作が放映されるから気が抜けない
マリ:クワガタ怒ってるよ
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作家さんたちの本棚ってどこも本でいっぱい!
クワガタの標本まであるからクワガタも好きなんだ
綺麗なキッチンの前にはなぜか大きな金魚がいる
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今の漫画家さんはタブレットに向かって描いてるんだね
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語り:森下絵理香
ヤマザキマリさん
代表作は映画化もされた『テルマエロマエ』
イタリアを始め、多くの国々を行き来しながら
漫画を描き続けて約25年
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マリ:
1か月以上1つの場所にいることがない生活だったので
日本に1か月いたらイタリアに戻って
また日本に戻ってきて
年に3回くらいハワイのホテルに引きこもって
海にも行かずに原稿をやる
場所を移動することによってエネルギーがチャージされるというか
それがデフォルトな生活でした
コロナ禍で予定外に長期となった東京滞在
自分と猫と向き合う時間が増えたことが思わぬ収穫だったとか
イタリアから連れてきたベレンはベンガル猫
通称マミ 11歳
頼りがいがある体だなあ
ブラッシングする
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マリ:コロナ太りだからダイエットだ
おもちゃで遊ぶ
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マリ:
人間なら私くらいの年だからね
一緒に痩せようよ
スタッフ:ベレンは絶好調ですね!
マリ:
太ってふさふさしちゃって毛並みはいいし
人生で一番幸せな時を過ごしてるんじゃないですか
寂しがり屋の猫だから
毎日家に誰かいるっていう
(鳴いて呼んでる
どうしたの?
遊ぶの? 遊びたいのかい?
じゃらしでまた遊ぶ
ベレンはとっても臆病
マリ:
ベレン そろそろ出てきてくれないかい
びっくりするじゃないの
飼い猫ってこんなに距離感置くかね
机の下から出てきた
またブラッシング
あなたのカメラが威圧的なのよ
参ったなもう
すごいまん丸な満月!
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国境を越えて様々な人と出会い
いくつもの仕事を重ねてきた
その経験がいつのまにか作品という形になっていくのだそうです
マリ:
あまり準備している感じではないです
『テルマエロマエ』も不意に出てきたものだし
だから私はいろんな全然絵と関係ないことをしてきた
音楽もそうだし
旅もそうだし
テレビに出たりとか
そういうことが無意識のうちに
自分の中で Deposit してて
ある日フッと化学変化を起こして
漫画という形になるんですよ
例えば音楽を聴いてると急にワッと話が出てきて
やばい、やばいって言ってすぐに描きに行ったりとか
好奇心ですよねやっぱり
地球が面白いなって
同じ惑星で生きてる生き物たちを見てるとすごいじゃないですか
同じ大気圏でこんなにいろんな生命体がいるっていうことだけでも
価値観が違うものを求めてるんですよ
固定されたくない
そういうところに解き放たれて行きたいっていう
(もろ宇宙人っぽい
夜
ベレンは必ずヤマザキさんを寝室へと誘います
振り返りながら尻尾振ってる
招き猫も同じ色!
これは塗ってもらったの?
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「小さくて大きなわたしの相棒」 朗読:上戸彩
日本にはツチノコという幻獣の伝説がある
子供の頃に流行っていたテレビの探検隊番組を真似して
私は近所の少年達と野山にツチノコ探索に出かけた事があった
その正体を暴くことはできなかった
しかし、ここ最近になって
もしかするとあの幻獣の正体は
トラ柄の猫だったんじゃないかと
我が家の猫を見ていて思うようになった
私の相棒猫であるベレンは過度の臆病者で
滅多にその姿を人の前に現すことはない
私と2人きりの時には
ソファーやお気に入りの絨毯の上で
無防備な体勢でくつろいでいるのに
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人が来た
ベルが鳴ると鋭い目に変わって逃げる
来客の気配があるとたちまちほふくの姿勢で
ニョロニョロと身をくねらせながら
クローゼットの洋服のジャングルの中へ身を隠してしまう
その姿はツチノコそのものである
(へそ天で寝てる 口元が可愛い!
いびきかいてる?
まん丸でヒデヨシみたいw
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ベレンはベンガル猫という種類だが
特徴とされるヒョウのようなおしゃれでワイルドな紋柄はない
(お腹だけ毛がないのは手術した跡か何か?
一般的なキジトラに黒い紋が混ざっただけの柄で生まれてきたため
ブリーダーは彼女を格安で譲ってくれた
ブリーダーとの動物の取引は
なんとなく古代ローマ時代の奴隷売買
別にブランドを意識して探していたわけではない
模様なんて全くこだわらない
ベレンがベンガル猫だったのは単なる偶然である
シリアのダマスカスから数年間
私達家族と同居していたオス猫が不慮の事故で死んでしまい
極度の猫ロスに陥って、仕事も手につかなくなっていた私のために
夫がネットでたまたま見つけたのが
前の子が亡くなった日に生まれたベレンだった
前の子との別れに毎日泣いて過ごしていた私に
ここに君の愛情を求めている猫がいるよ
と見せてくれたのが
PC 画面の中でよちよち歩きをしているベレンだった
(背中を掻いてあげる
創作のあいまに気分転換に出かける散歩
ついつい夢中になるのは生き物探し
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マリ:
みんな頑張ってるね
タテハチョウが来てる
私は北海道に母と移住し始めてから
常に留守番の生活なんですけれど
寂しいじゃないですか
その時から外にいる時間のほうが好きになっちゃって
ていうのは外のほうが生命反応が多い
虫は本当に好きを通り越して
自分も虫の一部みたいなくらいの気持ちになっちゃって
それで私に母親が本を買ってあげるって言われて
意図的にというか、図鑑のセクションに連れて行かれて
「あなたは生き物が好きだから
好きな生き物の図鑑を1冊買ってあげる」って言われて
迷いなく昆虫の図鑑を取って
5歳か6歳の時
その図鑑を今も大事に持ってます
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マリ:
これさ、昆虫と人間の大きさが同じ
こういうの見てると絵描きさんになりたいなと思うわけよ
たぶん写真かなんかで撮影するより
具体的で奥が深いんですよ
図鑑の絵を描く人になりたいなって
その時は思っていました
(レトロで可愛い絵 昆虫の描写はリアル
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当時、私が絵を描くだけじゃ足りなくなって
紙芝居を作っちゃうんですよ、小さい時に
仲間から
「君は文章は文章で、絵は絵でやるのが好きだけど
漫画で混ぜればいいじゃん
混ぜたら漫画になるよ」って言われて
初めて漫画を描き始めて
こういう事って子供の時にやってたよって思って
だからこんなに長く続けていられるんだなと
八丈島を訪れた時に知り合った友人から荷物が届いた
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漬物かなにかと思ったら、クワガタ!
こんな風にして届くんだ
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マリ:
綺麗だね やることいっぱいだ
大変! 交尾してる 交尾を撮って
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すごくない?
この番組ってムシメンタリーだっけ?
スタッフ:違うよ 猫
そこで何してるの?
考え事してるの?
(ちょっと離れたところから見てる
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朗読:
ベレン
私から呼ばれている名前はマミ またはママ
でもパスポートに記載されている本名はクレオパトラ
(帰宅してすぐ背中をかくと鳴いて喜んでる
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生まれはポルトガルのコインブラだが
我が家にやってきたその翌年には
夫の転居先であるアメリカのシカゴへ
私たちと一緒に引っ越した
それから4年後
息子をアメリカに残して
我々夫婦はベレンとともに再びヨーロッパのイタリアへ
さらにその数年後、次なるベレンの移動先は東京だった
今までの移動距離だけでも地球1周分もある
だから様々な世界の空気に触れてきたはずなのに
ベレンは私が今まで一緒に暮らした猫の中でも突出した臆病者だ
(「荷物が届いています」と女性の電子音がしてビクッとする
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こんなに人を怖がる猫を他に見たことがないが
私はベレンのそんな性格が実は嫌ではない
むしろ彼女の気持ちは痛いほどよくわかる
マリ:
なんでビクビクしているの?
世界中旅してるのに
なんでこんなに臆病者なんだろうね
あなたはポルトガル生まれなんだよ
アメリカ行って、イタリアも行って、日本に来て
とてもそんな国際派の猫に見えないね
(イタリア語でスマホのズームで夫と話してる
マリ:
夫からも
「君は世間では堂々とした女性として見られているけど
内心が臆病な所はベレンと全く同じだよ」
と言われたことがある
(抱っこは拒否w
カメラマン:滅多に抱っこされないですね
マリ:
いいの 私も猫だから 抱っこヤダ
ああ、集中できない
ちなみにベレンは人に抱かれることを嫌い
膝にのぼってきたりすることもない
私を含めて人間に対して彼女が服従の態度を見せることは皆無だ
抱っこしようとすると逃げる
でも私がベッドに入ると必ず布団の上に乗ってきて
足元や枕元にぴったり身を寄せたまま
温もりを分かち合いつつ一緒に朝まで眠る
ベレンはとても寂しがりやだ
(夜の運動会はしないんだね
寝相も可愛い
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2020年10月下旬
紅葉が少しだけ始まってきてる
ワンピに長いカーディガンて可愛い
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マリ:
リスの音? こんな声で鳴くの?
交尾してる
(交尾の時期なのかい?!w
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この日訪れたのは鎌倉
猫が結ぶ縁
養老先生の自宅
まるちゃん、元気だあ! 全然変わってない!
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おなじみのまるがお出迎え
(どうして足あげたままなの?ww
そっと寄って行く
まるおじいさん
(まるさんは撫で放題なんだ いいなあ!
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奥さん:うちは本2冊出してる
マリ:うちは山猫ですから
奥さん:それが猫らしいですよね
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帰宅して、ドアを開けると
待っていたようにこっち見てるマミさん
マリ:待ってたの ごめんね、マミ
毎回出先から戻ると
必ず開けたドアの向こうで待っていてくれる
(玄関の所にフェリーニの「8 1/2」の大きなポスターがフレームに入って飾ってある
その姿を見るたびに、自分が子供の頃
夜にオーケストラの仕事から帰ってくる母を
今か今かと待っていた心細さと寂しさを思い出す
背中をいっぱい撫でて抱きつく
猫って座ってるだけでも絵になるね
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仕事しすぎだよなっていうことは
ベレンちゃんといるといつも思う
だって瞬きもせずにずっと見てるんですよ
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たまに漫画を熱心にやってると
なんでそれをしなきゃいけないの?って
我々に表現ってなんでしなきゃいけないんだって
とてつもない気持ちになって
わかった もう寝よう!
そういう時はすごすごとベッドに行きます
朗読:
今日もベレンが距離を置いた場所から
仕事がはかどらずむしゃくしゃしている私に
じっと視線を据えている
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私はその瞳越しに自分という人間を俯瞰し
見すかされている
邪念や虚栄や奢りを慌ててはらいとる
人間ってどうしてそう厄介な生き物なの?
と問いかけられるような気持ちになるが
その眼差しはその向こう側に
果てしない世界が広がっていることを諭してくれる
小さな体に大きな魂
お互いの形状は違うけれども
ベレンは私の友人であり
姉妹であり
師匠であり
ツチノコであり
そして何よりかけがえのない人生の相棒なのである
(猫を飼う人生って豊かだなあ!
マンションの下には外猫たちが
誰かのあげたご飯を食べてる
マリ:
おいで 猫ちゃんいるよ 全然来ない
マミがいるからずっと眠り続けられない
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ネコメンタリーって忘れたような頃に新作が放映されるから気が抜けない