≪インドネシアの民族ダンス・野生の猿≫
今回の旅行中、2つのダンスを鑑賞した。
その一つは「バロンダンス」で、もう一つは「ケチャダンス」だった。
バリ島のウブド地区は芸能の中心地で、幾つもの舞踊集団があるそうだ。
3日目の朝見に行った「バロンダンス」は、民族に伝わる民話を元にしたストーリーを、打楽器ガムランと太鼓の演奏をバックにして演じる舞台劇だった。
野外の舞台には、悪魔と王と王妃、その姫が次々と出て来て会話をしながらダンスを繰り広げるのだが、入場の際に日本語で書いた紙をもらったのに、言葉も分らず、ストーリーも今一つ良く分らなかった。
また海沿いのジュンジュンガ村で行われている「ケチャダンス」は、小さな円形劇場の中央に焚かれているかがり火の周りに、腰布だけをまとった70人程の男性が口から発する「チャッ、チャッ」という音をバックにして日没寸前から始まった。
これはヒンズー教の創世神話に基づくストーリーを演じていたが、やはり私が理解するのは難しかった。
二つのダンスを見て、指の使い方や足裁きなどがカンボジャやタイのダンスに似ているように感じた。
所でこの会場に行く途中に野生の猿がいるのだが、グループの1人の男性が、入り口でいきなり猿に眼鏡を取られてしまったというのだ。聞くと何が起こったのか分らない程の早業だったという。眼鏡はついに戻らず、被害者の男性は「良く見えない」と言って困っていた。旅行保険で賠償されるが、帰国後に眼鏡を作るまで不便だと嘆いていた。
ところで私も、その前日「モンキーフォレスト」という所に行った時、ガイドから「猿には目を合わせないこと」「猿は興味があるものを取ろうとするので気をつけるように」と言われていたのに、ちょっとした事件に見舞われた。
「モンキーフォレスト」で自由行動の時に、私は一人で美しい渓谷の写真を撮る場所に向かった。撮り終ったので帰ろうと1歩後ずさりしたら、突然『ギャッ』という声がした。直ぐ傍に猿がいるのを知らなかった私は、何と大きい猿の脚を踏んでしまったらしいのだ。
素早くその猿は私の足に噛み付いて来たが、幸いな事にジーンズの裾布が噛まれただけで済んだ。
しかし猿はその後も歯をむき出して私に飛び掛ろうとしたので、私は驚きの声を上げた。
すると突然、数匹の猿がその猿目がけて飛び出して来て、その猿を追い払った。
お陰で私は助かったのだが、何故、数匹が目ざとく駆けつけて来て私を助けてくれたのか、今でも分らない。