穴村久の書評ブログ

漫才哲学師(非国家資格)による小説と哲学書の書評ならびに試小説。新連載「失われし時を求めて」

直木賞選考の一大汚点(1)

2022-04-12 08:41:17 | 書評

  最大の汚点かどうかは知らない。毎回汚点だらけだったりして。半落ちは二十年も前の2002年下半期の直木賞候補であった。古い話で申し訳ないが、何しろこちらが半落ちを読んだのは二、三日前なので、その辺の事情をご勘案願いたい。
 選考委員の北方謙三が変ないちゃもんをつけたらしい。どんないちゃもんだったか、これが「古文書」では分からないというしまらない話になっている。選考会事務局の文芸春秋が各選考委員の批評をインターネットに乗せている。これが何を言っているのか分からない。作家と言うのは読者に分かるように書くものダベ。こんなちんちくりんな文章を恥ずかしげもなく載せちゃ駄目じゃないか。引用してみよう。北方の批評である。
 『関係の団体に問い合わせて見解を得、主人公の警部の動きには現実性がない(引用者中略)』
 問題点を列記する。
*関係団体とはどこか、明示せよ。
*見解とは文書による根拠があるのか。
*関係団体(要明示)のどのレベルの見解か、トップかぺいぺいの窓口か。直接北方が聞いたのか、あるいは下請けの情報提供者(新聞記者くずれなどの)に調べさせたのか。
*警部の動きに現実性がない、というのは具体的にどの部分か明示せよ。非常にあいまいでこの場合、現実性がないなどという言い方は的外れだろう。法令に違反しているとか、骨髄バンクの規定に違反しているという議論なら分かる。正しいか正しくないかは別にして。
*「引用者中略」とはなんなの。引用者とはだれか。いずれにせよ、この部分ははっきりと具体的に書きなさい。
 不思議なもので、こんな論点は簡単に論議、明示できる種類のものであるにも関わらず、インターネットでかなりの記事があるにも関わらず明確でない。そこで私の感触に基づいて進めよう。
 ま、北方の返事を待ってから書いてもいいのだが、どうせ返事をしないだろうから、次回からわたしの一人芝居といこう。