FIFA Club World Cup Japan 2008
パチューカ 4対2 アルアハリ
2008/12/13 東京・国立競技場
アデレードやワイタケレには申し訳ないが、「ワールドカップ」と言うからには、このぐらいの内容であってほしい。北中米代表のパチューカとアフリカ代表アルアハリの試合を見ていて、サッカーの楽しさが、ボールを介したコミュニケーションにあることを感じた。
この日のメキシコとエジプトの選手たちは、一昨日に見たオーストラリアやニュージーランドの選手たちとは比べものにならないほど、ボールを丁寧に、大事にあつかっていた。一度手にしたボールは、絶対に相手に渡さず、ゴールへと運びこむ。その気持ちが、互いのパスワークに表れていた。「ボールを媒介に互いの気もちを繋げ合う」サッカーの魅力の一面を楽しめた試合だった。
立ち上がりから、パチューカが攻守に積極的だった。前々回3位になったときのアルアハリの、そしてアブータリカの印象が強かったので、単純にアルアハリの勝利を予想していたが、昨年の雪辱に燃えるパチューカのほうが気力で上回っていたようだ。
それでも、前半は、攻め気にはやるパチューカのすきをついて、アルアハリがカウンターで2点を奪った。数少ないチャンスつくり、いかしたのはアブータリカだった。
後半になると、パチューカの攻めがいっそう激しくなった。早速、後半2分にFKから1点を返し、後半38分にも、やはりFKからゴールを奪い同点にした。そして、延長前半と後半に1点づつ追加し、4対2と勝負を決めた。
パチューカがアルアハリよりも「気力で上回っていた」と書いたが、試合を決定づけたのは、プレーの選択肢の幅にあったのではないか。ともにボールを大切につなぐサッカーを志向していたが、アルアハリがパスだけなのに対して、パチューカの方は、パスワークの間にドリブルというアクセントがあった。
アルアハリの攻めでは、アブータリカを経由したときにだけ、リズムが変わり、攻撃のベクトルが変わり、相手に脅威を与えていた。そのアブータリカは後半になると徐々に存在感が薄れていった。
一方のパチューカは、中南米らしい細かいパスワークに加え、粘り強いドリブルをもっていた。パチューカのパスとドリブルの巧みなブレンドが、アルアハリの守備網を混乱させ、崩壊においやった試合だった。
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