1-0で勝利!
終始押し気味に試合を支配していたのは、ホームの長野。カターレは積極的に攻め込むどころか、相手陣内でのプレーすらままならないほどに防戦に追われてしまうことに。
粘り強く守り、最終的に相手に決定機を作らせない、という意味では、良く守っていたとは言えます。
それでも、監督の言うには、予想以上に攻め込まれてしまったことで、結果的に堅い守備となったに過ぎず、それは意図してのものではなかったと。必死になって守ったはいいけれど、どうにも反転攻勢にはつなげられず。
これがもし、もうすこしこちらの持ち味が発揮できる展開であったならば、また違った様相となっていたのではないかと。
2位長野と、10位富山。その勢いの差が出た試合とも言えました。
それでも。
決して多くなく・・・むしろ、少なかったと言い切っていいチャンス。それをしっかりと活かして先制点を奪うと。
あるいは、これまでであれば最終盤で集中が切れて、してやられていたかもしれません。
けれども、そうはならなかった。虎の子の1点を守り切り、零封に成功。
劣勢にあっても必死にプレー。その成果としての勝ち点3。
目指す理想には遠い展開であったかもしれません。
それでも、勝った。勝たねばならないという意思を、結果に繋げた。
偶然やラッキーではない勝利。その価値は、決して低くなどありません。
新型コロナウイルス感染拡大の影響から、さまざまな制約が課せられてきた今シーズンにあって。
規制がだいぶ緩和されたことにより、個人的に今季初めてアウェイ戦応援に参戦しました。
隣県対決、近いアウェイ戦ということで、いつもよりは少ないとはいえ、それでも150人くらいだとかの富山ファン・サポーターが駆け付けることに。
声を出しての応援が出来ないなかにあっても、手拍子・拍手などで選手たちを激励しつづけたのでした。
ここ2試合連続でスタメン出場となった馬渡をはじめ、基本的に前節を踏襲したかたちのメンバー編成となったスタメン。サイドにユウスケ、FWとして大野が起用されたりしていましたが、それも想定内というもの。固定メンバーとは言わないまでも、これまでの流れを汲んだ編成と言えました。
1週前の雨中の決戦を制したYS横浜戦とはうって変わり、雨の心配がゼロという秋晴れの空の下、15時キックオフの試合。良好なコンディションであるからこそ、チームの実力が問われることともなりましたが。
ある意味、それがよく表れた展開となりました。
球際の攻防、鋭い寄せ、各選手の連動などなど。素人目に見てすらハッキリとわかるほどに、優勢なのは長野でした。
自分たちでボールを繋ぎつつ主導権を握り、チャンスをものにするーーーそういった、本来目指さねばならないはずのカターレのサッカーというものが、どうしようもないまでに、まったく実現できない有様で。
中盤で競り合ってもボールを拾われる、ちょっと長めのパスは簡単にカットされる、さらにはキック精度、パス精度もなかなか上がらない・・・あからさまに、劣勢でした。
それでも体を張って必死にプレーし続ける選手たち。CKのピンチにあっても柳下や岡がしっかりと声掛けをしながら引き締めている様子が、サッカー専用スタジアムであるUスタでは、ゴール裏スタンドからしっかりと見て取れたのでした。
前半の終盤には長野の若手成長株・MF上米良 柊人に2度ほど決定機をつくられてヒヤリとする場面もあったものの、それでも得点は許さず。
0-0で試合を折り返すこととなりました。
主導権を握って攻め込むどころか、そもそも相手陣内でのプレー自体が少ないという劣勢にあっては。どうにも、キツイ状況ではありました。
けれども。
これはもう駄目だ、お手上げ、スコアレスドローなら大ラッキー・・・と、悲観するようなことは、しませんでした。それが劣勢にあっても。
苦しい状況にあったことそのものは、間違いありません。気が抜けたプレーをしてしまったならば、即やられてしまうであろうことも。
しかし、それでも。
劣勢にあっても、選手たちの気迫そのものが萎えていたわけではないのが、見て取れたから。
これまでしてやられてきたときのような、萎縮、落ち込みというような雰囲気ではなかったことがわかったから。
一方で、優勢であるところの長野の側にも、付け入る隙はある、と思いました。
これがもしも、勝利を当たり前としている絶対的な実力を備えた強力なチームであったならば。
押し込んで相手が守備を固めるような展開になったとしても、それでも無理やりにでもなんとかする!という力を発揮してきたことかと。
正直、劣勢ではあっても、それをやられてやむなしと言えるほどの圧倒的な差というものは、無かったように見受けられ。
それに、長野は前節、スコアレスドローかという試合終了間際に痛恨の失点、それにより敗れるという手痛い敗戦を喫しています。
優勢に試合を進めてはいても、得点にまで至らないうちは、決して心穏やかではあるまい。そこに、付け入る隙もあるはず。
無失点で抑えているうちは、必ずやチャンスはある!と。
しかして、チャンスはやって来ました。
64分にユウスケに代わって松原が出場。昨年まで長野に在籍していた彼が、カターレ選手として初めてUスタのピッチに立つこととなりました。
その直後、68分。それまでは馬渡が務めていたロングスローのスロワーですが、ここで満を持して真打登場。“本職”たる松原にボールが手渡されることに。
7年にわたる長野在籍時、それこそ何度となく放ってきたであろうUスタで。オレンジではなく白のユニフォームに身を包み、思いを込めたロングスローが放たれると。
ゴール前の密集に弾かれるも、そのボールは松原の足元へ。
そのまま再び中央へと送るべくクロスを上げると、それに頭で合わせたのは椎名!
GKの足に当たったもののラインを越えてゴール!
そのゴールイン判定を巡って長野の選手たちが抗議、のちにアディショナルタイム5分となるほどしばらく試合が中断しましたが。
ゴール裏で応援していたワタシには、はっきりと見えました。ボールがライン上などではなく、しっかりと超えてゴールインしているところが。
この日2536人を数えた入場者数ですが、そのうち、距離的にも角度的にも、ワタシがベストなポジションで確認できたと断言できます。
日本有数?のゴールからスタンドまでの遠距離っぷりという、われらがホーム・県総ならばいざ知らず。こんなに近いサッカー専用スタジアムで見間違えるなんて、あるわけない!と。
当然ながら、VARが無くとも判定は覆らず、ジャッジ通りにゴールが認められ。
欲しかった先制点を奪い、勝利への道筋をつけることに成功したのでした。
先制だけなら、前回対戦である開幕戦でも、それこそ椎名がゴールを挙げることで成し遂げていましたが。
今回こそ、追いつかれることなく勝ちきらねばならない。
その達成に当たって、全員が集中している様が見て取れました。
勝ちきる意志を、勝利に繋げるべく。全員が気を引き締め、緩むことはありませんでした。
同点、逆転を狙って力を振り絞る長野に、最後まで屈せず。
そして、タイムアップ。見事に勝利し、アウェイの地で勝ち点3を獲得。連勝を成し遂げたのでした。
理想には遠い展開。目指すべきサッカーは、出来ませんでした。
けれども、勝った。勝ちきった。
これまで、思うような結果が残せてこなかったなかにあって。優勢に試合をすすめながら、勝利を逃してきたことも少なくなかったこともあったなかで。
勝ちさえすればなんでもいい、というわけでもないでしょうが、それでも。
勝たねば得られないものも、確かにあります。
とりわけ、メンタル面。勝つことでしか自信は得られないのだから。
良くなかった部分も、勝ちながら修正することができる。その意義の大きさ。
勝利の余韻に浸る間もなく、中2日で、すぐに次の鹿児島戦。
もちろん、狙うは3連勝。
昇格戦線から落ちこぼれた?そんなことを気にしてプレーに身が入らないなどということがあってはならない。それを、勝つことで示してみせたこと。
それを、次節以降にもしっかりと継続、そして勝っていかねばなりません。