4-3で勝利!
昇格の可能性がほぼ無くなったなかでも、それでも勝つのと負けるのとでは天と地の差があった試合。前回対戦同様に1点をめぐる攻防になるかと思いきや、予想だにしなかった4点連取から、3点を返されて追い上げられるという波乱に満ちた展開に。
4-0で終われば言うこと無しだったところ、満点の結果とは言えませんが・・・それでも、勝ったことが大きかったわけで。
3連敗の流れから、あるいは6連敗フィニッシュさえも有り得るか?という懸念を、勝って食い止めてみせた意義。
なにより、数では松本に劣りながらも、必死に応援したホームのファン・サポーター期待に応えらえたこと。
価値ある勝利を手にしたのでした。
試合開始およそ3時間前に現地入りしたのですが、そのときの率直な印象として。
「緑ぃなぁ・・・」
誰が見ても明らかなほどに、アウェイチームである松本のカラー・緑色のユニフォーム、シャツをまとった人の多いこと。
周辺の駐車場は早々と満車、会場内の飲食ブースも行列に。
覚悟はしていたものの、あらためて実感する“アウェイジャック”。
試合開始が近づくにつれ、スタンドに入る観衆もどんどん増えていくなかで。
やはり、多い。
声出しエリアのチケットが完売ということは事前に知っていたものの、あらためて見る、エリアの端から端まで埋める松本サポーターのインパクト。
それに対し、ホーム側のスタンドを見れば・・・うん、いつも通りかな。
まさに、「どっちがホーム側なんだか」という状態で。
それでも。
試合開始に先駆け、ゴール裏のコールリーダーは鼓舞しました。「(応援は)数じゃねぇぞ!」と。
そう、たとえ数では劣ろうが、気迫では負けない。
チームとしても3連敗の状態ながらも、それでも昇格にむけて気合の入る3連勝の松本を打ち倒さねばならない。
だったら、応援する側も気合を入れないわけにはいくまいよ!と
前節の今治戦から連続のホームゲームとなった今節・松本戦ですが、スタメンを多少変更して臨むことに。柴田に代わって姫野、高橋に代わってシルバがそれぞれ起用されることとなりました。
結論から言えば、この起用が当たったかたち。中盤のシルバ、姫野、そして陽次の3人が効果的に機能。
姫野の動きだしに相手も注意を払わざるを得なかった一方、シルバの前を向いてボールを収める起点となり。そして陽次が中盤の底で、まさに攻撃の旗振り役として効果的にパスを散らし。
松本の名波監督にして、前半は90%くらいカターレがゲームを支配していたと言わしめたプレーぶり。
松本にとっても絶対に勝たねばならないというプレッシャーのかかる試合であったことは同じ、ということだったのか。カターレ側がうまくいっていたこともあったにせよ、松本側がどこか精彩を欠いていたような部分が見受けられたこともまた、事実。
ならばこそ。優勢であるからこそ。いかにチャンスをものにして得点につなげるかが問われました。
カターレ優位の展開のなか、33分でした。
松岡がペナルティーエリアから2メートルほど外、といったあたりで倒され、FK。キッカーは林堂が担当することに。
そのドライブ回転がかかったボールがGKビクトルの伸ばした手を超えてゴール左隅へ、バーに当たりながらもゴールイン!見事としか言いようのない鮮やかなゴールが決まり、先制に成功したのでした。
それにしても、林堂。
吉平からの「直接狙ってみては?」というアドバイスに従って蹴った、とのことですが。今シーズンにしても、ホームいわき戦で度肝を抜く自陣からの超ロングシュートを決めて見せたりと、「ここぞ!」という場面での決定力には目を見張るものが。
このゴールにより、今シーズン全対戦クラブから得点を奪うことに成功。そしてホーム戦全試合得点を継続することにもつながりました。
松本戦リベンジにむけて勇気と勢いの出る先制ゴールを挙げた林堂でしたが、それだけに留まりませんでした。
どうにもうまくいかない展開のなかで先制ゴールを奪われ、松本側にも焦りのようなものがあったということでしょうか。右サイドから駆け上がろうとした大畑を後ろからひっかけたとして、DF常田 克人にイエローカード。そこで得たFKの場面で。
陽次が蹴り込んだボールにジャンピングヘッド、高い打点から決めたのは、またしても林堂!自身初という1試合2得点を決めて、さらに試合を優位に持ち込むことに成功したのでした。
理想的な展開の中で2ゴールを挙げ、試合を折り返すこととなったカターレでしたが。もちろん、油断など出来ようはずもありませんでした。
よく言われるところの、“2-0は危険なスコア”ということ。早いうちに1点でも返されてしまったならば、試合の行方もわからなくなります。
それに、松本にはまだ奥の手があり。
3連勝中の松本にあって、その勝因として、いずれも後半から出場のMF田中 パウロ順一、FWルカオの2人の存在が非常に大きい。つまり、まだ松本は本領発揮してはいないということ。
その2人が後半開始のタイミングで同時投入。いよいよこれからが本番、と。
挨拶代わりとでも言うのか、開始早々にルカオがそのフィジカルで、競り合いながらも強引にシュートに持ち込み山田が阻止、という場面も。やはり、一筋縄ではいかないか。
・・・と、思っていた直後。
右サイドからゴールライン際まで攻め入った松岡のマイナスのクロスに中央で合わせたのは神山!見事に決めて、追加点を挙げたのでした。
反転攻勢をかけようとする松本の出端をくじく、価値ある3点目。
長い距離を走ってゴール前まで詰め、決めきった神山がすばらしいのはもちろんのこととして。
その前段階。自信と覚悟をもって攻め上がり、相手のディフェンスにも臆せずクロスを上げることができた松岡。その時点で、ある意味ゴールにつながる勝負がついていた感が。
それだけにとどまらず、67分。
3点目のときと同じように松岡が深い位置まで突破し中央へとボールを預けると。それを決めたのは、マテウス!
「いや、1分も経ってないだろ?」
直前に吉平と交代で途中出場したマテウスですが、その交代からものの数十秒で即ゴールとか。
もちろん、出場するからには自分のやるべきプレーをわきまえつつ気合を入れて臨むことにはなるでしょうが・・・それにしても、あざやかな。
4点目を挙げて、松本に対して勝利には5得点必要という状況を強いることに。
まさに、圧倒的優位に立ったカターレでした・・・が。
松本も、黙ってはいなかった。
73分、ペナルティエリア内へと上げられたクロスに山田の飛び出しと競り合いがかぶるようなかたちになってしまったところ、オウンゴールで1点を返されると。
82分には先制につながるイエローカードの汚名返上とばかりに常田に決められてしまい、2点差。
さらには90+1分、ゴール前の競り合いから途中出場のFW榎本 樹に押し込まれ、1点差。もう1点、追いつき4点ビハインドを無効とせんと、沸き立つ松本側スタンドの大観衆。異様な雰囲気に包まれることに。
ただ、それでも。
大逆転など、許しはしなかったカターレ。
試合終了。4-3で決着。
松本の4連勝を阻止し、連敗を3で食い止めたカターレに軍配が上がったのでした。
上位6チームが潰し合い、という今節だったなかで。
4位の鹿児島を3-0で圧倒した首位・いわきが勝利し、優勝とJ2昇格を決め。
5位の今治が2位の藤枝を破り、連勝。そして、6位の富山が3位の松本を撃破した、と。
その結果、実質的に数字だけの可能性とはいえ、カターレの昇格の可能性が消えずに残ることとなりました。
得失点差の関係で、残り2試合で藤枝との19点差を埋めることは非現実的としか言えないけれど。そう、得失点差で言うなら、今節の結果として、勝ちながらも自力で+4できるところだったのが1にとどまってしまったのは、ガッカリな部分もありますが。
とはいえ。
状況的には、連勝をさらに伸ばさんとする松本の勢いに屈して0-4負け、完全に昇格戦線から脱落するとともに、6連敗フィニッシュの心配までせねばならない事態に、という可能性すら少なからずあったところ。
けれど、そうはならなかった。そうはしなかった。
昇格は現実的でなくなったけれど、それでも。
意地を見せて、勝ちきった意義。
連敗を止めて、ホームでファン・サポーターの期待に応えたということ。
無駄なんかじゃない。価値がないなんてことは、決してない。
残り2試合。
狙うはもちろん、3連勝フィニッシュ。
戦いは、続きます。