最終戦まで昇格の可能性を残しつつも、同勝ち点ながら得失点差で及ばず、3位に終わったカターレ富山の2023シーズン。
あれからおよそ2ヵ月半。
あのとき成し得なかった昇格を、来たる2024シーズン、今度こそ成し遂げるために。
新たなシーズンの開幕直前、本番を見据えたプレシーズンマッチに挑むカターレ。新設された金沢ゴーゴーカレースタジアムのこけら落としでツエーゲン金沢と対戦します。
昨シーズン、惜しくも昇格ならなかったながらも、やり切った感はしっかりと有り。その意味で、かの降格時のような失意のどん底感は無かった、このオフでしたが。
そんななか、富山の象徴としてプレーしてきた駿太の引退をはじめ、これまで主力を担ってきた、カターレの顔であった選手たちがチームを去ることに。
チームの主力として獅子奮迅の働きであった大畑が、出身地のクラブ・ザスパ群馬に個人昇格したりとか。
林堂が、なんとビックリ、香港のクラブに移籍したりとか。
確井が、実に8年ぶりという長野復帰となったりとか。
カターレの前監督であり、現在は八戸を率いる石﨑監督。その下に、安藤、柳下、柴田、それに音泉までもが参集したりだとか。
期限付き移籍ながらも片道だろうなと思っていた川西が、やはり讃岐に完全移籍。それを追うように、大野もまた讃岐へ行ったりとか。
元々借りものではあったけれど、シルバが離脱。かと思えば、まさかのJ3降格で話題を振りまく大宮に行ったりだとか。
去ることとなった選手たちへの寂しさは、やはりあるけれども。
それでも。
それら選手たちの離脱が直ちに戦力ダウンに直結してしまうか?といえば、そういった認識はありません。
代わって入ってきた選手たちにかけられる、期待。それを思うとき、マイナスだけでは決してない、むしろプラスの部分を楽しみに出来ている、そんな高揚感。
それが、この金沢との対戦で、シーズン初めてカターレファン・サポーターの前に披露されるわけで。
その意味でも、このオープニングマッチ。見逃せない一戦になること請け合いでしょうよ。
隣県でありながら、これまでリーグ戦で交わることのなかった富山と金沢。
2015シーズン以来、J3への降格とJ2への昇格が交差するかたちで、金沢のJ2、富山のJ3という構図がずっと続いてきました。
それだけに・・・なんというか、正直言って、隣県対決だとか北陸ダービーだとか言って煽ろうとする動きには、どうにもあまり関心のない自分がいます。
あるいは、金沢側から「北陸ダービーのためにも、さっさとJ2に上がって来いよw」などという上から目線みたいなものも、あったかもしれません。その煽りにやり返すことができないままに、J2復帰を失敗し続けたカターレというのも、残念ながら事実です。
そんななかで、昨シーズン。新スタジアムの完成を翌年に控えながらもJ2陥落の危機に瀕していた金沢と、J2復帰を掴みかけたカターレ。
結果としては、双方ともに2024年シーズンはJ3で戦うこととなったのですが。
入れ替わっての対戦無しが続いていたなら、今度もまた入れ替わってしまえ!というのが正直なところであったので・・・本音を言えば、別に期待も高揚もなかった北陸ダービーが実現したからとて、ハッキリ言ってしまえば思い入れもなにもありません。
ただ、それでも。
同じ土俵に登ったからには。
1年でのJ2復帰を目論む金沢に、教えてやらねばなりません。
「J3を、無礼るなよ」と。
2014年のJ3初年度で優勝、それ以来J2で戦ってきたかもしれませんが。
その頃と、なにもかもが違う。それは、翌年からずっとJ3に居続けているカターレが、酸いも苦いも知り尽くしているのだから。
富山をずっと復帰失敗し続けてきた落ちこぼれのダメクラブと評するのも結構。事実は事実。
それでも。
J3の怖さというものを、嫌というほど味わっているカターレであるからこそ、金沢に叩き込んでやろうじゃないかと。
確かに最下位での降格は残念だったけれど、1年で戻ってしまえばオッケー・・・など軽んじて見る節があったならば、それが大いなる間違いであることを、教えなければなりません。
もがき苦しみ続けてもなお悲願成就に届かないような過酷なリーグであることを、理解(わか)らせなければなりません。
そんな、J3の不都合な現実を突きつけるにあたって。2024シーズン開幕を前に、あるいはこのオープニングマッチこそが大きな意味を持つやもしれません。
なぜか?
ここで、もしもカターレが金沢に完敗、新スタジアムの船出に最高の勝利をもたらすためのイケニエ、咬ませ犬に堕したとしたら。
それはもう、大いなる勘違いをさせてしまうことになるでしょう。
なんだ、結局J2から落ちたといっても、J3の3位でもその程度だったのか、と。
だったら今シーズンも安泰、1年で昇格確定だ、と。
そんなわけあるか。
むしろ、逆でなければ。
富山が9年も失敗し続けてきたのは、決してクラブとしてだらしないからだけではないーーーそのことを、身をもって知ってもらおうと。
J3優勝候補を相手には苦戦も当然であることを、オープニングマッチ黒星発進というかたちで知ってもらわねば。
今シーズンのカターレの目標は、優勝でのJ2復帰です。それに揺るぎがないことを、まず、この試合で示すこと。それがなによりも肝要です。
この試合終了後に、金沢サポーターたちに「もしかしてタイヘンなところに来てしまったのでは?」と、今更ながらにもJ3への恐れを植え付けるくらいでなければ。
1月1日に能登半島地震が発生、輪島をはじめとして各地で甚大な被害が。その犠牲を悼み、復興を祈念する試合でもある、このオープニングマッチ。
当然、地元石川のために!と、金沢の思い入れもひとしおでしょう。
ただ、それを言うなら富山もまた被災地であるわけで。サッカーを通じて地域に元気、活力を!という願いは、同じ。
それでも。
勝負は、勝負。シーズン開幕を翌週に控え、この段にあって気の抜けた試合など許されるはずもなく。
確かに金沢にとっては、新スタジアムとともに踏み出す歴史の大きな一歩となる記念碑的な試合ともなるでしょうが。
それに、譲る気などさらさらありません。
むしろ、記念すべき新スタジアム初ゴールの栄誉を、カターレ側で掻っ攫ってやろうじゃないかと。そして、「公式戦じゃないからノーカンでいいよw」と煽るくらいでなければと。
2024シーズンの開幕、いよいよベールを脱ぐこととなる新生カターレが、いかにそれをやってのけるのか?幕開けを勝利で飾ってくれるのか?
大きな期待とともに、応援したいと思います。
こけら落としでも、忖度は無用!
もちろん、勝つ!
ソールドアウトとなっているアウェイ側に陣取るカターレファン・サポーターとともに、新シーズン最初の勝利の歓喜を!!!
勝たれ!!!富山!!!!!