行く末遠ければ

生まれも育ちも富山県砺波市
地元サッカークラブ・カターレ富山を応援するブログ

格上にも怯まず、途切れぬ集中力で奮戦。PK戦を制し3回戦進出 清水エスパルス戦

2024-04-26 03:07:37 | カターレ富山
0-0(PK6-5)で勝利!
メンバーがリーグ戦の主力級ではないとはいえ、J2首位の清水。やはり、レベルの差というものは感じさせられ、危ないシーンもありましたが。
それでも。守備一辺倒ではなく、随所にカターレらしさが見られるプレーぶりで奮闘。
スコアレスのままに延長戦に突入、その延長戦でも決着がつかず、勝敗はPK戦に委ねられ。
そこで魅せたのが、守護神・田川。
先攻のカターレ側が先にミス、追い詰められるも気迫のセーブで持ち直すと。
自らもキックを成功させ、最後は素晴らしい反応ではじき出し、勝負あり。120分を戦い抜いた先の息詰まるサドンデスは、格上撃破の歓喜に包まれて決着を見たのでした。

約1か月前に行われた山形との1回戦同様に、水曜日のナイトゲームとして開催された、2回戦・清水戦。
カターレ富山としてルヴァンカップ初参加、なにもかもが初めてであった前回とは異なり。2回目ともなれば、ファン・サポーターとしても、気持ちの上でも落ち着いて臨めていたように思います。
平日ながらも、清水サポーターも多く来場。スタンドに掲げられた横断幕にも、Jリーグオリジナル10クラブとしての伝統とプライドのようなものが感じられたり。
再びの格上撃破に向けて、だんだんとテンションも上がっていった・・・のですが。
天気予報で、雨だとは知っていたものの。
開場時間くらいはまだ曇りだったものの、18時を過ぎた頃から、「時間になりましたので予定通りに雨を降らせます」とばかりに、しとしとと雨が降りだして。
さすがに4月も下旬になれば寒さに震えることはないものの、弱いながらも降り続ける雨には、どうにも辟易。
ただ、それでも。
やはり水曜ナイトゲームであった昨年の天皇杯・新潟戦のことを思えば。あのときの雨は、まさに「強」、それに加えて雷で中断までしていたのだから。
「微弱」、あるいは「弱」程度の雨が降るくらいは、どうということはない、と。
むしろこの雨は、ホーム開催であるカターレのほうにとってのアドバンテージであろうと。
元カターレの白崎、昨シーズンは今治でプレーしていたFW千葉 寛汰などのごくわずかな例外を除いては、清水のほとんどの選手にとっては初めての県総。
普段はJリーグベストピッチ賞を何度も受賞しているほど良好なコンディションのIAIスタジアムを本拠地にしている清水。それに比べては、至らぬ点もあろうけれども、その辺はアウェイの洗礼とでも受け取ってください、と。
ここまで今シーズンホーム無敗のカターレ。この試合でも、それを更新せねば!と。

当然と言えば当然かもしれませんが、前の試合から中3日の清水は、リーグ戦を優先してメンバー総とっかえ。若手主体の、ルヴァンカップ用チームとでも言うべきメンバーで臨むことに。予想されていたことながらも、乾 貴士、権田 修一といった主力を担うスター選手の名は無し。
そうは言っても、現在J2の首位につけるクラブ。
出場機会が少ないならば、逆に言えばカップ戦はアピールのチャンスであり。
未知の相手・J3富山ながらも、気の抜けたプレーもしてこないことだろうと。
一方のカターレは、前週末は試合がなく、ホーム開催に加えて、コンディションの面でもアドバンテージが。
もっとも、この2回戦のあとすぐに中3日でアウェイ松本戦が控えていることもあり、それを見越したメンバー編成とせねばならなかったわけですが。
直近のリーグ戦・鳥取戦から8人を入れ替えたスタメン。その中でも目を惹いたのが、怪我かコンディション不良かは定かではないものの、ここまで出場のなかった今瀬の起用でした。
今シーズンこれまでも、下堂や脇本、神山らがそれぞれ持ち味を発揮しつつ守備の引き締めを図ってきましたが。今シーズンで7年目、長くカターレを支えてきた今瀬への信頼というものは、やはり大きいです。堅い守りもさることながら、攻撃への起点となる気の利いたスルーパスなど、難しい試合だからこそ期待したいと。
今瀬と川上がCBコンビを組み、最終ラインを預かることに。
今瀬と同様に、これまで出場のなかったところからの起用と言えば。シャドーに位置に井上を起用。ここまででは陽次やヨシキが担ってきたポジションを、いかにこなしていけるか?と。
先の山形戦に続き、2回戦でもSBの西矢、ボランチの瀬良、そして左サイドハーフの布施谷と、若手が起用され。
西矢のバイタリティあふれるプレーぶり、瀬良のピッチを縦横無尽に駆けまわるスタンスなど、見どころも多かっただけに今回も期待したいと。
ショウセイや松本が控えに回り、1トップにはマテウス。そのあたりは、中3日でのアウェイ松本戦への対応でもあったでしょう。吉平がメンバー外であったのは、ひとえにリーグ戦に集中するためでもあったのかと。
そして、清水との対戦を誰よりも心待ちにしていたであろう、この男。
初の古巣対決となる、河井。左腕にキャプテンマークを巻き、ゲームキャプテンとして特別な一戦に臨むこととなったのでした。
細かい雨が強くなったり弱くなったりを繰り返しながら、降り続けるなかで。試合の火蓋は切って落とされました。

予想していた通りと言えば、その通りなのですが。
伊達にJ2首位にいるわけではない、準J1クラブとも言える清水だけあって。個々人のプレーの質というものが、明らかにJ3レベルのそれよりも上で。
攻勢をかける清水に対し、高い集中力でカターレがしっかりと喰らいついていく、という構図が続くことに。
前半19分にはクロスバーに救われるという危ない場面もあったりしましたが、得点を許さず。
カップ戦のようなノックアウト方式の試合で格下がアップセットを起こそうとするならば、やはりGKが“当たって”いることが条件ーーーいわゆるセオリーというやつですが。
その意味で言えば、この日は田川が当たっていました。
随所で攻め込まれつつも、身体を張ってしっかりと阻止。高い集中力で臨んでいるとう気迫が伝わってきました。
確かに、あぶないシーンもあった。この流れから相手にペースを握られてはマズイ、という動き出しの気配というものが、やはり上位カテゴリのソレで。
ただ、カターレ各選手も、しっかりと対応。
相手への対応としては、満点とは言えないプレーだったとしても。後手に回ることもあっても、フィニッシュまでは阻止、といった具合に。
ミスはあっても、致命傷までは至らず。粘り強く対応しつづけました。

0-0のまま、スコアが動かないままに経過する試合時間。
攻勢に出ていたのは清水の側ではあったけれど、それでも。
カターレが「自陣に釘付けとなってあたふたしながら運よく失点を回避していただけ」のようになっていたかと言えば、さにあらず。
いや、本当に実力がかけ離れていた場合、そうなってしまってもおかしくはないところだけれど。
この富山対清水戦がそうであったかと言えば、そうではなかった、と。
数こそ少ないながらも、瀬良の積極的なミドルシュートをはじめとして、カターレ側にもチャンスはあり。
決して、やられっぱなしではない。その事実が、応援にも力を込めさせました。
リーグ戦を通じてこれまでやってきたことの、成果としてのこの試合。
リーグ戦ここまで8失点だけれど、その半数・4失点がPKがらみのもの。
実質的に4失点と言えば、それはJ3リーグのなかでもトップクラスの堅守であり。
それが、J2清水を相手にも通用しているということ。
チームの芯となる部分がブレていない。各人のプレーぶりが、それを表していました。

このままスコアレスの状態が続くということは、カターレに有利と言えるーーーそう、確信。
雨天で普段は異なる対応をしなければならないことは、お互い様として。
やはり、ホームアドバンテージの部分。
初めてで勝手のわからないスタジアムへの対応という部分で意識を割かねばならない清水は、そりゃ、難しいところもあろうかと。
ホームスタジアムで、自分たちの持ち味をしっかりと発揮するカターレ。これまで培ってきたディフェンスを、この試合でも存分に発揮できたなら。そうそう簡単にはやられはしない!という信頼が。
表には出さないようにしつつも、やはり清水としては「こんなはずでは」という思いもあったのではなかろうかと。
フィジカル・メンタルの両方で消耗戦の様相を呈していくなかで。
準J1クラブにとっては、なじみが薄いかもしれないけれど。
試合終盤にまで走り続けること。走り負けないこと。そんな、泥臭いJ3のスタイル。
瀬良やマテウスらの仕掛けに対して、時間経過とともに対応力が低下していくのが見てとれた清水のプレー。
やられっぱなしじゃない。自分たちのサッカーが出来ていという、手応え。

90分では決着がつかず、延長へ。
その延長後半にもなれば、主導権はカターレ側であったかと。
ただ。
それまでの流れをフイにしてしまうというか。
一流どころの選手にかかれば、ひとつのきっかけですべてを覆すことが出来てしまう。
かつて、やはりJリーグオリジナル10のひとつ・浦和レッズと天皇杯で対戦したときのこと。
疑いようもないほどに格上の浦和に必死に喰らいついていったカターレだったものの。
キャスパー ユンカー(現 名古屋)のワールドクラスな超絶プレーからのゴールに沈められるかたちで・・・それまでの流れなど関係ないかのように、ひとつのスーパープレーに屈してしまったのでした。
そういうことが起きないと、どうして言える?
確かに、目の前の清水には、「J2にいるべきではない」「反則級」という乾は、いない。
けれど、誰であろうが、気の抜けたプレーをしてしまったならば、その隙を突いてゴールにまで繋げられてしまうーーーそんな危機感を、ゆめゆめ忘れるべからず。
大丈夫だ、やれるはず!
なぜならば、去年の天皇杯・新潟戦では、延長戦でビハインドとか、もっと過酷な条件を突きつけられていた状態で必死にプレーしたりしていたのだし。
やるべきことを、やりきるのみ!

そして。
延長前後半含めて120分を経過しても、ついにスコアが動くことはありませんでした。ゲームそのものは、スコアレスドローで引き分けという評価ですが。
ただ、清水としては勝たねばならないところを勝ちきれなかった試合。
カターレにとっては、集中力を切らすことなく対峙し、最後まで無失点で抑えきった試合。
90分、120分で勝つことが出来ていたら最上であったところ、無得点におわったのは、やはり不本意ではあります。
ただ。
PK戦によって、決着はつけねばなりません。
いかに運の要素も絡むとはいえ。
ここまで来たんだ、勝つ以外になかろうよ。

県総の大型ビジョン側、つまりカターレのホームスタンド側のゴールでPK戦が行われることに決まるやいなや。
カターレファン・サポーターが、一斉に席を立ち、サポーターエリアからゴール真裏へと移動。
普段であれば、「席の移動や通路での観戦はご遠慮ください」とか言われるところでしょうが。あいにく、普段じゃない。
そうしてスタンドのゴール真裏の位置まで移動して、思ったのがーーー「ゴールまで、近いな」ということ。
普段のリーグ戦では見ることのない、勝敗を決するために行われるPK戦。
キッカーとGKとの位置関係が、普段サポーターエリアだとか中継で見るような距離感よりも、明らかに近く感じる。
いや待て、サッカー専用スタジアムではない、トラックを挟んだ陸上競技場。ただでさえ日本屈指では?というほどスタンドとの距離がある県総にあって、このルヴァンカップではゴールわきのスポンサーボードも無いため、余計に遠く感じていたくらいであったというのに。
PK戦とは、かくも至近距離での攻防なのかと。
遠近感をも歪めてしまうか?という緊張感のなかで。
先攻カターレ、後攻清水。勝負のPK戦が始まりました。

もしも吉平がメンバー入りしていたら、「PK絶対決めるマン」みたいな彼のこと、1番手として登場していたのではなかろうかと。
失敗の許されない大事な1番手、それを担ったのは松本でした。
さすがの勝負度胸、しっかりと決める。
ただ。
2人目の椎名が、まさかの失敗。
これだ、こんなことがあるから、PKってやつは・・・。
不利になったことは確か。けれど、あきらめるわけにはいかないし、そんなつもりは毛頭ない!
田川の阻止に、賭ける!
すると。
清水4人目を、見事にブロック!大歓声のカターレサポーター!
よしよしよし!いけるいけるいける!
5人目は双方ともに成功し、6人目となったのは、途中出場のショウセイ。
ただ・・・一抹の、不安がありました。
吉平や松本に比べては、経験の浅いショウセイ。いや、ルーキーに何を言ってる、って話でもあるのですが。
そのショウセイ、先のリーグ戦でも決めたと思ったゴールがノーゴール、決めたと思ったらオフサイドなど、どうにも理不尽な目にあってきていましたが。
実力だけではない、運さえも絡むPKにあって。
言ってはなんですが、ストライカーとして大成するにはもう一皮むけねばならない、その途上のショウセイ。
迷いは失敗を生むぞーーーそんな懸念。
それが、的中してしまいました。
コースを読まれ、阻止されてしまい。
清水6人目、これが決まれば敗戦決定。
・・・だったけれど、失敗。命拾いすることに。
7人目が双方成功し、8人目へ。
8人目って誰だ?メンバー表が出ているわけではないので、選手がポイントに就くまで誰かわからない・・・って、え?
8人目は、GKの田川でした。
普段はゴールを守る側で、入れる側ではない。もちろん練習はするにしても、やはり専門職のそれには及ばないのでは?
いや、ことこの状況に及んでは、そんな懸念など有って無きもの。誰が蹴るかではなく、決まるかどうか。それだけ。
すると。
初めから蹴るコースを決めていたというキックで、見事に成功。自分自身をアシストする成功として、勝利への道をつなげることに。
清水8人目、GK・沖 悠哉。
GKがGKに決められた心境は、そして自身が決めねばならない、決めねば即終了といった心境は、いかばかりか?
仮に迷いや焦りがあったとて。状況は、待ってくれません。
意を決した沖の、小細工無しの強烈なキックーーー

弾いた!

おそらく、田川にとっては、頭で考えたプレーや予測していたプレーではないでしょう。
それでも、阻止した。
言わば、GKとしての本能とでも言うべきもの。
それが、この極限の状況で彼の身体を突き動かし、最善手として顕現せしめたのでした。
渾身のガッツポーズ、なだれ込むチームメイトたち、そして割れんばかりの歓声。
劇的なクライマックスでもって、再びの番狂わせ。
PK戦を制したカターレが、2回戦を突破。前年J1覇者の神戸と対戦する3回戦へとコマを進めたのでした。

他会場では、琉球がガンバ大阪を撃破。沖縄の地で初のJ1クラブとの対戦を制しました。
また、長野が2点のビハインドをひっくり返し、京都に逆転勝ち。
J3クラブがJ1クラブを破る大番狂わせ、ジャイアントキリングを成し遂げました。
その華々しさに比べると、どうにも格落ち感のあるレポートにしかならなかった、カターレ富山の清水エスパルス撃破。
0-0のスコアレスで、運の要素も小さくないPK決着、さらには清水はあくまでJ1級であってJ1クラブではない、と・・・。地味さは否めない、とでも言うのかと。
しかし、それでも。
真実は、ひとつ。
カターレ富山が勝利し、2回戦を突破したこと。それは、間違いありません。
清水が格落ちメンバーだったから?乾をはじめとしたガチメンバーならこうはならなかった?
そんなの知るかと。
それを言ったら、カターレだってターンオーバー編成だったわけで。
広島みたいに6点を獲って奈良に圧勝、なんて試合もあったなかで。
得点こそならなかったものの、格落ち云々言われたところで、無失点に抑えきったことに間違いはないのだから。
カターレ富山の勝利に、なんのケチをつける必要があろうか。
勝利して3回戦進出を決定させた、それ以外になにがあろうかと。
次が、ある。
それが、なによりの成果であって。

来たる5月22日に、ホーム県総で神戸を迎え撃つ3回戦。
やるだけです。やりきるだけです。
もちろん、勝利を目指して。
出来るわけがない?勝てるわけがない?
そのセリフ、清水戦の前、山形戦の前にも言わなかったか?
覆してきた、だから今がある。
不可能など、あるものか。
ジャイアントキリングの、その先へ。

戦いは、続きます。
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