1-1のドロー。
同日に先んじて開催された今治-YS横浜戦で、今治が勝利。試合開始時点で6差に離されていた勝ち点を、勝利してなんとしても3に戻さねばなりませんでした。
が。
結論から言えば、勝利はならず。勝ち点1を積み上げるにとどまり、5差に広げられてしまうことに。
いろんな意見はありましょう。
勝たねばならない試合を、落とした。いかに勢いがある相手とはいえ、確実に勝ち点3をモノにせねばならない試合で、それが為せなかった。
大事な終盤戦の戦いで、3戦連続ドロー。つまりは1勝2敗と変わらないじゃないかと。
けれども。
勝ち点3奪取に失敗したこと。差をひろげられたこと。数字の上では2敗と同じということ。それらが、事実であったとしても。
ドロー決着が、無価値だとでも?
そんなわけはない。
たしかに厳しい状況にはなっている。けれど、今節のドローが・・・勝利への意思を、執念を貫いた結果であることもまた、まぎれもない事実であって。
それが無価値などとは、言わせません。
ここ最近のメンバーをベースとはしつつも、ガブや陽次を投入し、変化をつけてきたスタメン。ホームでの前回対戦では、主導権を握られてしまい後手後手に回ってしまう展開であっただけに。リベンジマッチとも言える今節、なんとしても勝つ。そのための布陣であったかと。
試合は開始から、カターレのペース。
高い集中力でボールをコントロール、同時に相手の得点源であるところの武、橋本といった選手たちに仕事をさせず。
今節もまた、ヨシキがその運動量をもってピッチを縦横無尽。攻守にわたって相手を上回る働きぶりでもって、試合の流れを渡しませんでした。
そんななかで。
試合全体で、12本ものCKのチャンスを獲得。宮崎が0であったこととはまさに対照的に、ゴールに迫ることに。
ただ・・・それが、決まらない。
相手の守備の頑張りもあったでしょうけれど、それよりも。
どうにも、精度がいまひとつ。
せっかくのチャンスを活かすかたちで得点できていたならば、違った試合展開になるだろうにーーー押し気味に試合を進めていたからこそ、そんなもどかしさが。
0-0で折り返した後半開始時。
得点こそなかったものの前線から精力的に攻勢をかけていたマテウス。その彼に代わり、ハーフタイム明けと言うタイミングでショウセイを投入。カターレのエースに得点を、そして勝利を託すことに。
しかし・・・。
先にゴールネットを揺らしたのは、宮崎でした。
宮崎の攻撃時にも、攻め込まれながらもしっかりと対処し、決定的な仕事をさせてこなかったカターレ選手たちでしたが。
58分。
相手の攻撃時に、一瞬だけ寄せが甘くなったとき。ボールの跳ね返りが変わって宮崎の選手につながってしまうというアンラッキーも重なり、そのボールがフリーとなっていた武のもとへ。
ペナルティエリア外で距離があったものの、迷いなく蹴り込んだボールがゴールに突き刺さり。与えるわけにはいかなかった先制点を献上してしまったのでした。
知っていた。知っていたよ。武という選手が、そういった素晴らしいゴールを決められる選手であることは。
それまでの流れなど関係ない、チャンスとあらば、決めてみせるーーーそんな、ストライカーとしての資質。それが見事に輝いたスーパーゴールでした。
それまではしっかりと抑えていただけに・・・悔やまれる、一瞬の隙。
なにか、午前中に観ていたMLBのプレーオフ・ドジャースVSパドレスの試合を彷彿とさせました。
パドレスの先発・ダルビッシュが、ほぼパーフェクトというような素晴らしいピッチング。
ただ、そのなかで、たった2球だけ失投。その2球が、2本のホームランにつながり、結果的に敗れることに。
ほんのわずかな隙が、致命的な敗戦につながってしまうーーーそんなシーンを思い出してしまったのでした。
宮崎の右SBとして奮闘していた松本 雄真ともども、元カターレ選手の活躍は、それはそれでうれしいものがあったけれど。その思いと、立ちはだかる相手チームのメンバーという事実とは、微妙に相いれないものであり。
恩返しゴールと言うには、あまりにキツい失点。
大事な勝たねばならない一戦で、ビハインド状態に。
かつてのカターレのエースであった武にしてやられたからには。今のカターレのエース・ショウセイにやり返してもらわねばーーーそう思っていたなかで。
弱り目に祟り目とでもいうのか。
同点・逆転ゴールの期待をかけていたショウセイが、接触プレーで頭をぶつけるアクシデント。
途中出場であったにもかかわらず、脳震盪の疑いで途中退場となってしまったのでした。
脳震盪による退場の特例として、交代枠がひとつ追加されることに。それによって、フィールドプレイヤーの控えメンバー全員がピッチに入り。とりわけ、吉平と松岡のアタッカー2人にはゴールへの期待がかけられました。
もはや、なりふり構っている場合ではない。
持てる力を振り絞り、宮崎を攻め立てるカターレ選手たち。
ただ、それでも。
宮崎としては、1点を守り切る戦術にシフトしていたのかもしれませんが。
守る宮崎に対し、攻めても攻めても、遠いゴール。
そんななかで、下手をうって集中力に欠ける雑なプレーをしてしまえば、たちどころにカウンターの餌食となってしまっていたことでしょう。
たとえ得点が遠くとも、焦れて自分たちからピンチを招いて決定的な追加点を奪われる、などということになれば。本末転倒どころの話じゃない。
刻々と過ぎていく試合時間。
敗戦の気配が漂うなかでも、あきらめてしまうわけにはいかない。
両チームともに7戦連続負けなしで迎えた今節。相手の宮崎に継続を譲り、カターレはあえなく敗れて記録ストップ?そんなのは願い下げ。
そんな最悪な結果など、受け入れてたまるかよ!
そうしたなかで、いよいよ試合も最終盤。
試合時間も90分を迎え、残りはアディショナルタイムだけ、という状況で。
表示されたその時間は、+9分。
1点を守り切ろうとしていた宮崎にとっては、あるいは愕然とする長さの時間であったかもしれませんが。
ショウセイの負傷によって試合が止まっていた時間からすれば、妥当とも言うべき長さ。贔屓目抜きに、それは確かであったかと。
ならば。
ショウセイの無念を思えば、やらねばならないことは、決まっている。
なんとしてもゴールを挙げ、敗戦という結末を否定してみせること!
迎えた、90+6分。
精神的にも体力的にも限界を迎えるなかで、それでもあきらめないカターレ選手たちが、力を振り絞って波状攻撃を仕掛けると。
泥臭いどころじゃない。スマートなんてとても言えないような、必死の攻撃。相手ゴール前でもつれるように繋いで繋いで。
そのボールが、松岡の足元へ。
すると、もうなりふりなんて構っていられない。効き足ではない右足で蹴り込んだシュートが、ゴールへ!
まさに、執念としか言いようのない同点劇。敗戦直前の土壇場で、まさに起死回生のゴールが決まったのでした。
それでも、その喜びもそこそこに、すぐさまに帰陣する選手たち。
まだ時間は残っている!このまま逆転までーーー。
鳴らされた、試合終了のホイッスル。
辛くも敗戦を免れたカターレ。勝ち点3はならずも、1だけとはいえ、アウェイの地で積み重ねることとなったのでした。
今節勝利した今治に、リードをひろげられてしまう結果に。勝たねばならない試合を落とした、と言われてしまえば、その通りだと応じるより他ないのですが。
正直、2位を追わねばならない立場で勝ち点2ぶんを獲れなかったダメージというものは、やはり大きいと言わざるを得ません。
一方の、宮崎も。
前節の金沢戦に続き、2試合連続で先行しながら終了間際の同点ゴールで勝利を逃すという展開に。降格圏脱出を目指していたなかで勝ち点を取りこぼし、突き抜けられずじまいとなってしまった、と。
2試合連続でゴールを決めながら、2試合ともにヒーローになり損ねた武。その心中は、いかばかりか。
かつて、彼がカターレに所属していた2020年の第30節・セレッソ大阪U23戦のこと。
スコアレスで迎えた試合も最終盤、86分に先制ゴールを決められてしまい、敗戦待ったなしという状況で。
そこから、90+3分、そして+6分に連続ゴールを決めた武。土壇場でチームを救う、まさに救世主として大逆転勝利の立役者となったーーーそんな試合がありました。
時を経て、今節。
スーパーゴールを決められ、その健在ぶりをまざまざと見せつけられた一方で、終了間際劇的ゴールで、カターレから「恩返し返し」いうのもまた・・・巡り合わせとは、なんと奇なるものかと。
巡り合わせと言えば。
昨シーズンの同カード、カターレ史上最多6ゴールを決めた試合で。
ハットトリックを達成したマテウスの3ゴール目が、5得点目。そのあと、6得点目を決めたのが、松岡でした。
私見ですが、そのゴールは、いつもであれば決まっていなかったゴールであったように思います。
いつもであれば、松岡は同じ状況ではシュートではなくパスを選択していたと思います。そんなシチュエーションでした。
ただ、それを良しとせず、シュートを選択。それが6得点目につながった、と。
そして、今節。
得意のカタチから利き足の左足で放つシュートが理想であったとするなら、それとはかけ離れたシュートでした。
利き足でない右足であろうがなんだろうが、とにもかくにも決めねば!そんな気迫が乗り移ったかのようなゴール。
去年のあのゴール同様に。あれこれ考えながらのシュートではなかったはず。
同じスタジアムで、再びのゴール。
今節の得点から、なにか成長につながるヒントを得ていたら良いのですが。
状況は、芳しくない。3戦連続ドローは、1勝2敗と変わらないーーー。
数字が示す事実は、事実。それは間違いありません。
ただ、それでも。
本当に変わらないのか?
そうじゃないだろう。
負けずに敗戦ピンチを乗り越えての、連続ドロー決着。
それが、敗戦と同じであるものか。
たとえ歩みが鈍ろうとも、それでも進み続けている。それもまた、事実であり。
車輪、タイヤというものは、静止状態から動き出すのにいちばんパワーを消費する。
完全に静止してしまった状態から再び動き出す困難を思えば。
たとえ低速であろうが、進み続けている。止まっては、いない。
ならば。
再加速について、静止からのそれと比べては、比較にならないほどにスムーズかつ確実なものともなりましょう。
だったら。
たとえ望まぬ結果だったからとて。うつむく必要など、ありはしません。
やるべきは、再加速であり。
つまり、残り試合を勝っていくこと。それ以外になにがあるでしょう。
戦いは続くのだから。勝っていく。それだけです。
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