新日本紀行で「ふぐ」の放映をしていた。何といっても、下関のふぐ。ぼたんもり。ふぐをひく技に、代々伝わる二枚切り、薄く開いて花が咲く。また、さばく包丁は特別でなくてはならない。フグのイノシン酸と、昆布のグルタミン酸の相乗効果。
セリをするときに「袋ゼリ」と言って特別なセリの仕方をする。仲買人とセリ人が袋の中で手の指を握って値が決まる。セリ値を競い合って高値がでないようにするらしい。
そして何といってもテトドロトキシン。豊臣秀吉が戦力を失うということで禁止令を出した。そんな中から落語「ふぐ鍋」が生まれた。庶民たちはひそかに食べていた。竜馬たちも食べていた。伊藤博文が解禁したという。
石川の美川のふぐの子漬けも紹介された。これも、珍味である。解毒発酵するメカニズムが今も解明されていないという。
刺身、鍋、ふぐのひれ酒、おじやで仕上げ。加えて、フグ刺しの脇役のポン酢を手作りしているところ。脇役の安岡ねぎの選別。下関の徹底したフグ料理へのこだわり。何度も旨そうな映像を見ている間に、どうしても食したくなった。
だんなと二人で盛り上がったが、下関へ行くには遠すぎる。金沢まで行かなくてはならないのも、今の状態では二の足を踏む。おまけに、最近はノロだとか、マイコプラズマだとか。ふぐの毒よりも、環境の毒のほうがこわい。
ああ、フグは食いたし、命は惜しし。