新聞記事によりますと東京都杉並区立和田中学校の教室で1月9日から始まる予定だった「夜間塾」が、東京都教育委員会からの指導で直前になって延期になった。学力向上を目指し、学習塾と公立小中の連携はここ数年、さまざまな形で進んでいるが、限界もある。平等が重視される公教育の世界に、競争に勝ち抜く塾の力を借りることはどこまで許されるのだろうか。 杉並区教育委員会に対し指導が入った翌日の8日午後、和田中では保護者代表への説明会が急きょ開かれた。「(指摘された)3点をクリアし、1月26日にスタートしたい」という説明に、「やるのかやらないのか不安だったが安心した」という声が上がった。 計画では、平日の週3日、午後7時から大手進学塾SAPIXが2年生の希望者に教える。「上位層を伸ばすことに公立校は関心が薄かったが、教師に何もかも求めるのは無理。だから塾の力を借りる」と藤原和博校長は言う。 学校を支えるボランティア団体「地域本部」の主催という形で、月謝は通常の半額程度。教材作りには学校側も注文を出す。 都教委は、(1)入室テストや有料制で機会均等と言えるのか(2)私塾に施設を利用させ、公立学校の非営利性に反しないのか(3)兼業禁止の公務員が教材の開発にかかわっていいのか――の3点を問題視。これに対し、和田中や杉並区教委は(1)補習は今後も続け、全生徒に目配りしている(2)授業1コマ500円と格安で、塾側にほとんど利益はない(3)教師にももうけはない――と反論する。 保護者への説明でも、藤原校長は「下の子への取り組みはいくらやっても批判されないのに、上の子をもっと出来るようにすると言った途端に公平性とか平等とか言われる」と不満げだった。 冬季講習・復習中心・一緒に教壇 青森県の下北半島にある東通村。三つある村立中学校は12月24日から1月14日まで冬休みだが、公営の「東通村学習塾」は29日から4日までを除き冬季特別講習が続く。 きっかけは、村に進出してきた民間塾が2002年頃撤退したことだった。当時の通塾率は10%未満で、「首都圏に遠く及ばなかった」と村教委。越善靖夫村長の諮問機関が「子どもたちの将来のため都市部のような教育環境を作るべきだ」と答申し、05年秋、公営塾は始まった。 通常の授業は3年生の場合、水曜夜の3時間と土曜日中の3時間半で、むつ市の早稲田進学会から講師が来て教える。中学校は水曜日、部活動を休止して協力する。 当初は3年生の2教科だけだったが、昨年から中学全学年の5教科に拡大。小学生に門戸を開くことも検討中だ。 長野県御代田町では、町が雇用した塾講師や元教師が土曜午後に勉強を見る。最近は大手予備校から売り込みもあった。 東京ではいくつかの区が連携を進めている。 港区立の全10中学校で土曜にある講座には、約7割の生徒が参加。区教委は「あくまでメーンは復習。基礎基本の定着が目的だ」と説明する。 平日の授業で先生と塾講師が一緒に教えるのは江東区立の小中学校だ。講師を派遣する全国学習塾協会は「外部の手が入ることで余裕ができれば、丁寧に教えられるのではないか」と話す。 こうした動きに都教委は反対してこなかった。今回、和田中に待ったをかけたことに、都教委幹部は「拙速過ぎる。塾の営業活動に丸ごと乗っかっていると都民に思われかねない」と説明する。 学校側に根強い不信、予算の壁も 東京や地方のいくつかでは連携が盛んだが、他地域に広がる気配はあまりない。その理由の一つは、学校側にある根強い塾への不信感だ。 港区立中に講師を派遣する早稲田アカデミーの大矢純さんは「最初は先生からの抵抗感が強かった」と打ち明ける。学校と同じ内容では「なぜ塾に頼むのか」と批判を受けてしまうし、先生からは「学校の進度を追い越さないでほしい」という声もある。 福岡県では、県立高校の教師が2005年から地元の大手予備校「英進館」で3カ月間研修。早稲田アカデミーの教員研修講座にも昨年秋、山梨県で200人が受講した。ここでも当初、「プロの教師が教わるのか」と異論があったという。 東京の場合、私立への対抗策という事情も見逃せない。千代田区立の中高一貫校、九段中等教育学校では土曜に全員参加の講座を開いている。私立は土曜も授業をする学校が多く、高木克校長は「中高6年間では膨大な時間差になる。公立は正規の授業ができないので、やむを得ず塾の力を借りている」と話す。 そもそも資金がなくては始まらない。港区がかける費用は年5300万円。全国の自治体が視察に訪れるが、「うちでは難しいなあ」とため息をついて帰るという。 そもそも根本原因は、公立校と私立校のと学力格差に起因しています。経済的に裕福な家庭の子供達は、私立小学校から私立の有名中高一貫校へ進学しているからです。大都市と地方の地域格差も教育格差の原因になっていると思われます。公立の中高一貫校も歴史が浅く、週休五日制も有り苦戦をしいられているのでしょう。公立中学校からの有名進学高校への合格者数が少ないのも上げられます。私塾側が、公教育施設の学校・地方公共団体の設置する『公の施設』を利用することも問題です。杉並区立和田中学校の先生方が教材を作られたのなら、現職の先生方が教えられたら問題は無いと思います。出来ない子供達には補習で、出来る子供達には夜間塾の先生に教えて貰うのでは、生徒間に「差別意識」が生まれます。私は、出来る生徒の学力を伸ばすなとは言っていません。補習費用の不足分は都民の税金で購われているのですから、本当に不平等に為らないようにして下さい。生徒や保護者が納得行くような方策を取って欲しいのです。そうでないと生徒間の「心の亀裂」が生まれます。もっと経験豊かな教育現場の先生を信頼し、土曜日や夜間授業の補習をして貰ってはいかがですか。各教科のベテランのエキスパートの先生を派遣仕合補習という形で、理解力に合わせたクラスを作り、補習授業をしたらいかがでしょうか。このまま行きますと公教育の義務教育制度が崩壊し、公立小・中学校の授業の私塾化が進みます。日本の公教育の意義と大切さを再認識すべきです。日本の義務教育は、受験勉強の成果や合格率を上げる為にあるのでは有りません。生徒一人ひとりの為に有り、改正教育基本法の第四条「教育の機会均等」一項、『総ての国民は、等しく、その能力に応ずる教育を受ける機会を与えられなければ為らないのであって、人種、社会的身分、経済的地位又は門地によって差別されない』の精神が失われてしまいます。各教科の学力向上と偏差値を上げることも必要ですが。学校教育の目的は、人間形成を目指すことを忘れてはなりません。受験中心の合格率を上げる勉強に偏りましたら、高校進学後本当の学力が伸びないのでは有りませんか。大学合格後、目標を失い、学問の学ぶ楽しさを忘れ、燃え尽き症候群になる可能性も有ります。先頃横浜の私立女子高校で、数学の教員免許状の無い塾の先生が教え問題になりました。今後このような問題が数多く起こると思います。教育の規制緩和と教育改革で、教員免許状の無い民間人の校長湯先生への任用が進みましたが。大阪の名門府立高校へ赴任した民間人の校長と教員とのトラブルで辞職事件もありました。大学進学率を上げれば良い高校になると言うものでは有りません。学校に競争原理を導入してもきょうひ教職員との信頼関係が無ければ良い高校になったとは言えません。企業と学校とは違います。かたや教員の資質向上の為に教員免許状の更新が実施されようとしています。現実には、二律背反で矛盾しているとしか言えません。高校の校長になるには、基礎資格として高等学校の一級の教員免許状が必要な筈ですが。現職の先生のなかには、授業研究もされ各教科の実力のある先生もおられます。教科の研究会で活躍されている先生も居ます。豊富な指導経験のあるベテランの先生に活躍して貰ったら良いと思います。塾の先生は、受験技術や時間内に試験問題の解答する手法には優れていますが、実際に進学指導されるのは学校の先生です。週休五日制で、授業時間が削られたのなら柔軟に土曜日も補習としたらいかがですか。私は、教育現場におられ日々生徒を直接指導されている現職の先生に頑張って頂くことが日本の教育を良くすることが出来ると信じています。教育現場におられる現職の先生を信頼することから初めて欲しいと思います。教育の再生が出来るのは、教育現場におられる先生方以外に有りません。
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